<2月の鑑賞予定映画>
~愛のために戦え!~
「ヤマト」でアニメに目覚めた私なので、やはり観ようかと思い行ってきました。
2009年 日本 (東宝) 09.12.12公開
監督・企画・原作・製作総指揮:西崎義展
原案:石原慎太郎
キャラクターデザイン・総作画監督:湖川友謙
メカニックデザイン・副監督:小林誠
音楽:宮川泰、羽田健太郎 上映時間:135分
声の出演:古代進 (宇宙戦艦ヤマト艦長)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・山寺宏一
古代美雪 (進と雪の一人娘。父に葛藤を抱く)・・・・・・・・・藤村歩
古代雪 (謎の異星人艦隊の急襲を受け、消息不明)・・・・由愛典子
島次郎 (17年前、戦死した島大介の弟)・・・・・・・・・・・・・置鮎龍太郎
大村耕作 (新ヤマト副艦長、航海士)・・・・・・・・・・・・・・・・茶風林
真田志郎 (地球連邦宇宙科学局長官)・・・・・・・・・・・・・・・青野武
佐渡酒造 (かつてのヤマト船医)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・永井一郎
アナライザー (かつてのヤマトのマスコット的ロボット)・・・・緒方賢一
上条了 (新ヤマト戦闘班長)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・伊藤健太郎
桜井洋一 (第一戦橋レーダーパネル担当)・・・・・・・・・・・・・野島健児
小林淳 (新ヤマトチーフハイロット)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・浪川大輔
徳川太助 (機関班長)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・古谷徹
折原真帆 (第三戦橋・電算室チーフナビゲーター)・・・・・・・柚木涼香
佐々木美晴 (戦闘機パイロット兼船医)・・・・・・・・・・・・・・・・大浦冬華
<見どころ>
1983年公開の『宇宙戦艦ヤマト 完結篇』から26年、移動性ブラックホールの
脅威と人類の移住計画を阻止する謎の星間国家連合という二重の危機に
立ち向かうヤマトの姿を描く復活編。戦艦本来の重量感を表現するため、
フルCGでヤマトがよみがえるほか、38歳になった主人公・古代進を軸とした
壮大なスケールのドラマが大宇宙を舞台に展開。斬新なデザインのメカの
戦闘シーンや新キャラの登場など、新旧ファンを刺激する演出が満載だ。
<あらすじ>
西暦2220年、太陽の300倍の質量を持ち、光をも飲み込む暗黒の天体、
移動性ブラックホールが宇宙から地球へと迫っていた。
地球連邦政府は、移民船団を組織。サイラム恒星系アマールへの移民を
決行するが、謎の大艦隊の攻撃に遭い、船団が壊滅。
古代進は移民船団の護衛艦隊司令としてヤマトに乗り込み、大艦隊に戦いを挑む。
<感想>
久しぶりに夫婦でレイトショーで観賞。
夫婦とも「宇宙戦艦ヤマト」をタイムリーに観ていた世代。
NAOさんは、「さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士」で本格的にアニメに
没頭してしまった思い出深い作品でもあるので、正直、この復活は
微妙~な面持ちで観賞したわけです。
ヤマトファンならお分かりになると思いますが。「さらば~」で完結している
と確信している私にとっては、それ以降の「ヤマト」はヤマトであってヤマトでない。
松本零士さんのヤマトが好きな私には、あとに出てくるヤマトは、どこみても
プロデューサー:西崎氏のヤマトにしか見えてこないんですよ。
そんなふくざつ~な思いで、本編をみたわけですが。。。。
言っちゃっていいですかね・・・・「なんじゃ、こりゃ?」でしたわ。
だってね~冒頭、いきなり「原案:石原慎太郎」ですよ?
ここで、すでにドン引きですわ。
加えて、松本零士さん作画タッチじゃないじゃん。
今回、原作の松本零士さんは、関与していないようですが、それにしても
この絵は、ちょっと線が硬すぎやしませんか?
梶原一騎さんの絵かい?と思いましたよ。。。。。
昔のあのやわらかい顔はどこへいった?どれもこれも線がかた~い!
ご承知のとおり、「ヤマト」は、「さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士たち」で
登場人物のほとんどは亡くなっています。ところが、TV「宇宙戦艦ヤマト2」で
みんな生き返ってしまった時点で、ありえない世界に入ってしまいました。
案の定。松本零士さんが関わっていないヤマトには、やはり魅力がなかった。
ストーリーもご都合主義が目立つのなんの。昔から「ヤマト」はそういう傾向
だったが、もう少しましだった気がする。ところが今回はひどいにも程がある。
2時間強の大作なのに、なんと話が薄っぺらく演出の陳腐なこと。
17年の眠りからヤマトが復活するのに、それがあっさり復活即発進とは。
人物描写も乏しい、話の展開もなんの掘り下げもなく、主人公:古代進が
いかにすごいか、というのばかりが目立って仕様がない。
新メンバーも出てくるのだが、結局おいしいところはオリジナルの
古代と真田さん、佐渡先生が持って行ってしまう始末。
「お前たちに任せた」と言っておきながら、肝心要の最後の波動砲を撃つときは
ちゃっかり古代艦長が撃ってるし。。。これでは、復活の意味がない。
新しい世代にも観てもらおうとするなら、若い世代が活躍する場面も
作ってほしかった。結局、新メンバーで活躍した、といえば折原真帆ぐらい。
彼女は、最後死亡したと思われるが、またそのアングルの長いこと。
結局そのアングルのまま終了~となってしまったのには、呆れてしまう。
西崎さん、このキャラが好きだったんですかね?
逆に良いことも。まず、画像が圧倒的によくなっています。
最新のアニメ技術でヤマトが復活して、地球を旅たっていく姿はやはり感動モノ。
↑の波動砲エンジンの画像も、すっごい綺麗だったし。
でも良かったのはそれだけ。
お馴染みのテーマ曲はささきいさおさんでなくアルフィーが歌うから軽いのなんの。
ヤマトはあの重厚感が売りなのに、あんな高音で歌われちゃかなわん。
BGMで流れる音楽も、ピアノ中心のクラシック音楽が目立っていたが
作品とどうもしっくりこない。戦闘シーンで、流暢なピアノが流れる違和感は
最後までぬぐいきれなかった。戦闘シーンは、もっと重厚あるメリハリの聴いた
音楽が似合う。
もっと解せなかったのが、画像の統一感がないこと。
地球の風景、とりわけアフリカ大陸の映像が何回か映し出されていたが
その作画が、「ジャングル大帝でも出てくるんかい?」というような
手塚作品のような絵。ヤマトのあのクールな作画とまったく違うのにも
大きな違和感を感じた。エンドロールで観てみると、手塚プロダクションも
少し入っていたので、おそらくこの部分は手塚プロダクションが関わったのでは
ないか?と思われますが、観ていてなんとも苛立ってしまった。
ブラックホールが近付いているというのに、地球は平穏な感じ。
リアリティのかけらもない。そんでもって、物理的に回避不能なんて
言っておきながら、最後の最後で折原ちゃんお解析であっけなく
そしてお決まりの波動砲でブラックホールが消滅・・・という結末。
所詮、西崎氏のヤマト。エンドロールもこれみよがしに
西崎氏の名前がデカデカと何回も出てくるのは正直不愉快だった。
で、とどめが、「復活編 第1部完」ですと。
会場内、失笑でしたよ。 この失笑が、すべてを語ってるでしょう。
こんなんで続編作る気なんですかね?
申し訳ないけれど、やっぱり「さらば~」でヤマトは終わるべきでした。
ヤマトの根底には、「滅びの美学」、「自己犠牲愛」というのがあります。
だがそれを描くには、そこまで到達するまでの背景・心の描写がないと。
松本零士さんの手がけたヤマトには、それがあった。
今回は、それが描かれず安易に人が亡くなりすぎ。感情移入なんて入るものか。
夫婦でガックリ肩を落として帰ってきました。
映像だけお金かけても、中身がないとなんの意味もない。
西崎氏の思いと、ファンの思いは結局温度差がありすぎたようです。
だけど、最新画像でヤマトを見ることが出来たのは、感動でした。
でも、もし続編が間違って作られたとしても、もぅ足を運ぶことはないでしょう。
点数:2点 (10点満点)