<12月の鑑賞予定映画>
湯船にお湯を張ろうと自動ボタンを押したが、いつまで経ってもお湯が出ない。
じっとお湯の出るところを見ると、水がチョロチョロしか出てこないから
湯をはれるどころじゃない。
「電源を一度切ったら、直るかも?」
でも、直らん。
ダーリンが帰ってきたので、見てもらったが、結局原因わからず。
幸い、シャワーからはお湯が出るので、釜ごと壊れたわけではなさそう。
台所からもお湯が出ていた。
というわけで、とりあえず今日はシャワーだけですました。
しかたない、明日、業者に電話してみてもらおう。
・・・ということは、またお金がかかるというわけね。
~なぜ殺したのか。なぜ愛したのか。誰が本当の“悪人”なのか?~
2010年 日本 (10.9.11公開) PG-12指定
モントリオール世界映画祭 ワールド・コンペティション部門 出品
最優秀主演女優賞受賞作品
監督:李相日 上映時間:139分
原作:吉田修一 「悪人」 (朝日文庫刊)
脚本:吉田修一・李 相日
音楽:久石 譲
美術:種田陽平 主題歌:福原美穂 「Your Story」 (Sony Music Records)
出演:妻夫木聡・・・・・・・清水祐一 (長崎の漁村に住む土木作業員)
深津絵里・・・・・・・馬込光代 (佐賀に住む紳士服店員)
満島ひかり・・・・・・石橋佳乃 (博多のOL。祐一と出会い系で知る)
岡田将生・・・・・・・増尾圭吾 (博多に住むお坊ちゃま大学生)
樹木希林・・・・・・・清水房枝 (祐一の祖母。娘に代わって祐一を育てていた)
柄本 明・・・・・・・石橋佳男 (佳乃の父。久留米で理容店を営む)
<見どころ>
吉田修一の話題作を映画化した犯罪ドラマ。
九州のとある峠で起きた殺人事件をきっかけに、偶然に出会う男女が繰り広げる
逃避行と愛を息苦しくなるほどリアルに描く。監督は、『フラガール』の李相日。
罪を犯してしまう肉体労働者と彼と行動をともにする女性を、妻夫木聡と深津絵里が
演じる。原作で巧みにあぶり出される登場人物の心理がどう描かれるのか、
実力派俳優たちの共演に期待が高まる。
<あらすじ>
若い女性保険外交員(満島ひかり)の殺人事件。ある金持ちの大学生に
疑いがかけられるが、捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一(妻夫木聡)が
真犯人として浮上してくる。しかし、祐一はたまたま出会った光代(深津絵里)を
車に乗せ、警察の目から逃れるように転々とする。
そして、次第に2人は強く惹(ひ)かれ合うようになり……。(シネマトゥディより)
<感想>
原作は未読で鑑賞。
重い内容で、「告白」同様考えさせられちゃう作品。
人間、誰しもが「善」も「悪」も持っている。作品登場人物も、みんなどこか危うい。
気は優しいけど、一時の感情で衝動的に人を殺してしまった祐一。
真面目な女が祐一に惚れたが為、自首の機会を奪い逃避行を望んだ光代。
金持ちの男の前ではいい子ぶり(要は軽い女)、貧乏な男には冷たい佳乃。
苦労しらずのお坊ちゃまで、人を見下すことでしか表現できない増尾。
母親なのに、子育てを放棄し、祖母に押し付けた祐一の母。
娘を溺愛し、娘のことをちゃんとまっすぐ見ていなかった佳男。
祖母・房枝を執拗に追いかけ回すマスコミの人間たち。
うーん、こうしてみてみると、みんないろんな意味で悪人。
でも考えてみたら、私たちにも同じことが言えます。
作品を通して見てみると、殺された佳乃やドラ息子の増尾のように
人を見下す(けなす)ことでしか、自分の存在価値を保てない人間や
祐一のように自分の感情をどう表現していいかわからない人間が
今の世の中多いということ。
モントリオール映画祭で最優秀主演女優賞を受賞した深津絵里さんの演技は秀逸。
冴えない女が、一人の男と逃避行して関係を重ねていくたびに、「女」の表情に
変化していく様はお見事。
うーん、「告白」の松たか子さんといい勝負だ、賞取りレース混戦かも!?
もっと好評価つけたいのが、脇役の3人(樹木希林・柄本明・宮崎美子)。
特に樹木希林さんは、一見体力的にも精神的にも一番弱い祖母が
孫を愛するが為に、最後は彼女の心を強くしていく様を見事に演じていました。
この3人の演技は必見。
もっとも印象的なシーンは、マスコミに追いかけながらバスに乗り込んだ房枝。
病院のバス停に下りた時に、運転手が房江に声をかけたセリフ。
「ばあちゃん。あんたはなんも悪くねぇ。だから、しっかり生きなあかん」
これには泣けました。。。
あと、佳乃の父のセリフに、この作品の本意が語られているように感じました。
「今の世の中、大切な人さえもおらん人間が多すぎる。
自分は、失うものがないと思い込んで、それで強くなった気になっている。
そして、自分が余裕のある人間と思い上がって、失ったり、欲しがったりする
人間をバカにした目で眺めている。そうじゃないだろう?」
心にズンときました。
誰の心の中にも「悪人」は少なからずいる・・・・と感じた作品。
娯楽性はすっごく低いし、負の要素いっぱいあるけど、見て損はない映画だと
思います。
点数:8点 (10点満点)