つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

カマキリな私待つわ

2007-09-28 02:46:47 | ちょっとした出来事
久しぶりに焼却をやった。
いつもはスズメにパン屑などやりながら、スズメウオッチングを
やるのだが、今回はパン屑がなかったせいもあって、焼却の合間には
すぐそばに横たわる土手を眺めていた。

土手は今年の初夏に電動ノコギリできれいに刈り取ったのだが、
すでに青々と草が生い茂り、葛の葉が一面を覆っていた。

雑草のたくましさをまざまざと見せつけられる思いだった。
秋の彼岸だが、まだまだ暑い日差しである。

土手ではシジミチョウがあちこちでクルクルと飛び回り、
時折りモンシロチョウ・モンキチョウなどがやってきては
草をなでて行く。

のんびりした風情に眼を休ませていると、いたいた、葛の葉陰の
近くにカマキリがじっとたたずんでいる。

けっこう大きいので、オオカマキリに違いない。
葛の葉の下は枯れ草を敷きつめたようになっているのだが、
カマキリの背の翅はその枯れ草とまったく同じ枯れ草色になっている。

カマキリは鎌をグッと胸に折りたたむようにして、獲物を待っている風である。
わたしは周りを見回し、この広い土手で果たしてあのカマキリの
鎌の前に獲物の通る確率はどの程度あるのだろうか、と思った。

カマキリと1メートルぐらい離れたところに、クモが巣を張っていた。
ウ~ム、あのクモとどっちが先に獲物を捕まえることができるのか
見ものだな…と両方を見やった。

ゴミ焼きの合間にちょこちょこ覗いているとカマキリはまったく
動いていない、そののままの姿勢でいる。
果たしてヤツはいつまでああやって待つんだろうか、と思った。

そのうちになんとクモは巣に掛かった羽虫を手繰り寄せているではないか
やっぱりクモの巣のほうが範囲は広いし確率いいよなあと思った。

相変わらずカマキリはじっとそのままである。
私は15分おき程の合間に覗いていたが、よく見ると微妙に
動いていた。それも約1度ぐらいである。

しかし見た目ではそのまんまである。もうクモのほうはえさを
たいらげたのか、再び巣の真ん中でじっとしていた。

カマキリの近くには相変わらず獲物は来ない。時折りシジミチョウが
頭上をかすめて行くが、あのスピードにはついていけそうにない。

約40分が過ぎようとしていたころ、カマキリの頭上を
かすめ飛んできたものがあった。獲物としては大物の
シオカラトンボだった。

シオカラは、カマキリの存在を知ってか知らずか、後ろ20センチ
ほどのところに着地して、翅を広げてとまった。

恐るべきツーショットに、見てるこちらも緊張した。
カマキリは相変わらずじっとしていて、トンボに気づいては
いなさそうだ。トンボはじっとしているが、あの大きな眼は
キョロキョロと小刻みに動いている。

私はもう少し見ていたかったが、焼却炉には小まめにゴミを
入れて燃やさなければならないのだ。

ひとしきり入れ終わった後また覗きに行くと、すでに
トンボはそこには居なくなっていて、カマキリは相変わらず
じっと鎌を構えたままだった。

やがて仕事を終えた私は、ロッカーで焼却用の服を着替えて
帰り際に焼却炉を覗き、カマキリのほうに目をやると
まだそのままのポーズで、じっとしていた。

私が見てからすでに3時間は過ぎていた。カマキリは
一体いつまでああしているのか、私は帰りの途の車の中で
“わたし、ま~つ~わ、いつまでもま~つ~わ”という
アミンの歌のフレーズが頭を巡っていた。
コメント
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