つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

花より人を見るならば…

2010-04-10 06:12:57 | 
オチョコがないのに気づいたのは、すでに駅のホームに入ってからだった。おまけに
箸も忘れてる。きょうは豊川佐奈川ベリの桜を見に行こうと、身内を伴い出かけて来た
のである。

弁当は巻き寿司に寿司と出来合ですませ、ポットには熱燗にした酒が入っている。
これを桜を見ながらオチョコで一杯というのをやりたかったのである。幸い佐奈川べりには
大きなスーパーがあるので、何でも現地調達できるという安心感があった。

豊川は一年ぶりとあって、豊川稲荷駅からの歩きは、つい道筋を一本間違えてしまい、
あらぬ方向へ…。お陰で30分遅れるは、身内が靴ずれ起こして靴を買いに走るは…で、
予定より1時間以上も遅れて目的地の佐奈川に到着した。

予想したより人手は少なく、これならゆっくり花見が出来るとほっとした。
佐奈川の両土手数キロにわたる桜は満開で、まさに今が見ごろの頂点である。おまけに
両岸辺には菜の花が一面に敷き詰められ、さらに彩を添えていた。

すったもんだあったが、岸辺の菜の花の中に身を沈めると、我らもそのあやどりの
自然の中に溶け込んでいく気がした。脚を伸ばせば、川のせせらぎがさらさらと体に
昇ってくる。菜の花の間から見える桜はこれまた美しく、荘厳な感じさえした。

すでにポットの熱燗は人肌に下がっていたが、まあ…これはこれでいいか…とオチョコに
ついだ酒をゆっくりと喉をくぐらせれば五臓六腑がじんわりとゆるんだ。

もうこれで、浮世のしがらみやら、あつれきやらの屈託がうすれていって、心地いい
気分が満ちてくる。花の力はすごいなあと改めて思うのだった。このためにはるばる
やってきたのだ。今夜あたり日本各地の桜の下で、人々が宴やら狂乱に酔いしれるに
違いない。

ふと…各地の桜は花を咲かすたびにこの狂乱を見ているんだろうなあ…と思い、
果たして桜はこの様子をどう感じているのだろうか、花の気持ちに思いを馳せてみた。

        満開の 花より人を 見るならば

                       issei

トンネル状に覆っている土手の桜をくぐりながら、佐奈川を後にした。






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