つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

元某エスニック料理店のママへ

2010-05-19 04:07:20 | つらつら思うこと
以前A郵便局で作品展示をさせていただいたとき、置かせていただいた感想帳に、
気に入った作品名が書かれてあり、「今度展示会などひらくときは案内をください」
と記され、住所氏名それに店の屋号らしきものが書かれてあった。その住所の店を
見つけたので1度だけお邪魔したことがある。

店の表にはエスニック料理や飲み物・デザートの案内のポップが、失礼ながら、ほとんど
中・高校の学園祭のノリのように描かれてあった。店に入るとプーンと強い
東南アジア系の香の匂いが立ち込め、異国に踏み入った感じがした。

キョロキョロと店内を見渡すと、30代とおぼしきママがいて、わたしに鋭い一瞥をくれると、
ニコリともせずメニュー表を置いて立ち去った。まるで「エスニック料理を知らない奴が何しに
来たの」と言わんばかりの態度である。確かに初めてなので、メニュー表を見てもさっぱり
わからず、戸惑ってママに質問しても、つっけんどんな返事と態度にますます戸惑って、これなら
何とか…と「タイ風焼きそば」なるものを頼んだ。

しかしその態度とは裏腹に料理は見事で、ほぼ完ぺきな味だった。わたしは食べ物を一欠けらも
残さず平らげ、「旨かったッス」と言うとやっとニッコリといい笑みを見せてくれたのだった。
わたしは自分のことは伏せたまま、ただの一見客として立ち去った。

その店が無くなっていたのだ…。ポップはすべて剥がされ、閑散とした空家になっていた。正直
「ああ…」とガックリきてしまった。多少なり縁ある方なので、応援していたのである。
なんとなくいやな予感がしていて、「がんばってよ」と前を通る度に願っていたのだ。

事の仔細は知らないが、わたしのように、一度食べただけの一見客でもこんなに惜しむのに、
常連にいたってはなおのことだろう…。それほどの味だったのだ。

老婆心ながらママに言いたいのは、あれほどの味をもっと大切にしてほしいということである。
一人でも多くの人にそれを味わせてほしいのである。「そんなのわたしの勝手でしょう」と
言われればそれまでなのだが、料理に真摯に向かっている姿勢を、客にもとってほしい
のである。食べていただく…という謙虚な気持ちの大切さも知ってほしいのである。


いずれ、またどこかで店を出すとき、あるいはすでに出しているかもしれないが、自分の料理を、
それを食べてくれるお客を尊敬し、もてなせばそれが自分に返ってくる。そういうものだと思う
のである。わたしが最後に見たあの笑顔…惜しみなく最初から見せていただきたいものである。

謙虚さは決して損はしません、わたしが保障致します。デス、ハイ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする