福山雅治という男

「とうとうピークをむかえちゃったねえ」とわたしが言うと、「そうなんだよなあ…」と
親友の福山雅治が困ったような顔をしつつ答えた。そんなやり取りの後に目が覚めた。…夢である。

常々、俳優でもあり歌手でもある福山雅治に対して、こんな人生を送れる人間がいるんだなあ…と
理想の人生像として憧れていたのである。決して大きな山を作らず、たまに曲を出せば、けっこう
ヒットするし、時折やるドラマでは、それなりの個性を発揮する主演を演じている。結婚したい
男の投票では、常に上位に君臨しているのである。まるで自分の人生の演出をしているような
生き方に見えるのだ。憎いのは、何が何でも１位を取るぞ、というガツガツしたものを感じない
ところなのである。

まあ…あの顔と声とスタイルがあれば出来るさ…。という声もあるだろうが、ほかの者には
あまり感じないのである。かく言うわたしは、若いころ、けっこう上昇志向が強かったのだが、
NO２を目指す人間だったのだ。そんなところもあって、なんだかそれを実現しているような福山に
心酔を覚えたのかもしれない。

人生の浮沈変転の振幅を大きくしないように配慮して、ピークを作らず、常に真ん中の平均値を
意識して生きているように思えるのだ。いわば人生の達人なのかもしれない。
そんな福山が、NHKの「竜馬伝」の主演に抜擢され、今まさにピークをむかえようとしいている
ようにみえるのである。

そこで、わたしが密かに心配していた「とうとうピークをむかえちゃったねえ」という冒頭の
言葉を夢の中で言ったのでありましょう。

はてさて…福山雅治の今後の身の処し方、生き方を興味深く見守ろうではないか…。