カット原画②（コン吉）

「茶房じゅん」と１年おきに作品展示していただくギャラリー喫茶「奈邪」の近くに
豊川稲荷というところがある。

昨年「奈邪」へは車ではなく、電車で通ったのだが、その参道沿の店に、キツネのぬいぐるみが
店頭に並べてあるのだ。たいがい大・中・小５体ぐらい一緒なのだが、一番小さいキツネの中に、
一体だけ目をつぶっているのがあった。おまけに右手の指をくわえているのである。
それがものすごくかわいくて、わたしは勝手に「コン吉」と名前を付け、そこを通る度に
「コン吉」と呼んで「欲しいなあ…」と思っていた。

しかしぬいぐるみなど買ったことなかったので、何となく照れくさく、ただ眺めては
「可愛いなあ…」と思っていたのだ。何度目かの帰り道、ついに我慢できず、意を決して
購入したのである。（実はこれが大正解だったのだ）これが思っていたよりもいい品物で、
何が入っているのか、手触りも気持ち良く、造りも丁寧ですばらしかった。

家族にも大人気で、当分の間いじりまわされていた。そのぬいぐるみを描いたのがこのカット
である。わたしは勝手に呼んでいた「コン吉」をそのまま命名した。

カット原画②（コン吉）

あれからしばらくしてまた「奈邪」へ行った時に、もう一体「コン吉」を購入しようと
参道沿の店頭を覗いたのだが、どの店にもキツネのぬいぐるみは並べてあるのに
あの目をつぶった「コン吉」だけが置いてないのである。さすがに気になって店の人に
聞いたところ、どうも今製造してないらしいというのである。あの「コン吉」だけほかの
工場で作っていたらしいのだが、どういう事情か知らないのだが、入荷できなくなった
というのだ。「え～」と驚いたが、買ってて良かった…という思いと、残念…という
入り混じった思いで、豊川稲荷を後にしたのだった。

店の人によると、やはりよくお客に同じことをよく聞かれたそうである。さもありなん…
んたって可愛いのだ「コン吉」は…。