つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

小さな嵐

2005-11-12 06:11:23 | 動物ウオッチング

ある日、車で信号待ちをしていると、車道脇に雀が飛び出してきた。
「な、何だ」よく見ると雀の回りをしじみ蝶が舞っている。いや正確にはしじみ蝶が雀に追われていたのだ。
私はいつもあのとらえどころの無い蝶の飛び方に感心していたのだが、今まさにその威力を発揮していたのだ。雀が食べようと嘴を向けるのだが、あの飛びで巧みにかわしてゆく。
ついに雀は交差点の真ん中まで出ているのに気づき、あわてて飛び去ってしまった。
しじみ蝶は何事もなかったかのように飛び回っている。
「パーパーッ」後ろからのクラクションに我に返った私は車を発車させた。
バックミラーに目をやると、しじみ蝶の姿はすでに無く次々と後続の車が映っているのみだった。

■ 書きゆける変幻自在と黒揚羽        by issei

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雀っ子

2005-11-12 00:57:05 | 動物ウオッチング

私がバイクで出勤していた頃、家の近くのゆるい坂道を登っていくと、何やらポトリと落ちてきた。
バイクを止めてよく見ると雀の子供である。
まだ羽根になっていない羽を、上げてヒョコリヒョコリと歩こうとしている。次に羽根をバタバタさせて飛び立とうとしているのだが、当然飛び立てなくてボール状になって坂道をコロコロ転がり落ちていく。羽ばたかなければ止まり、羽ばたけばまたコロコロ。
そのまま空溝に落ちてしまった。
私は拾おうとしたが会社に持っていくわけにもいかず、家に持って帰るには時間が無い。
後ろ髪を引かれる思いだったが、振り切って会社に向かった。
誰か…拾って…育てて…くれ。
帰りに溝をのぞいたのだが、なにもなかった。わたしは、ゆっくりゆっくり坂を下りて帰った。

■ 地に落ちて木漏れ日ころぐ雀の子  by  issei

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サキソフォンとおじさん

2005-11-09 05:56:00 | ちょっとした出来事
会社の慰安旅行でのこと。ホテルで食事を終えた後、めいめい一階のフロアーに集まった。アトラクションの和太鼓を見るためである。ひとしきり和太鼓が終わると、休憩に入る。
その間ホテルで働いているらしきおじさん(70がらみ)が、サキソフォンを吹き出した。
「赤とんぼ」「ふるさと」など、おなじみの曲である。
私は何とはなしに聴いていたが、ふと、不満みたいなものが込み上げてきた。
やがて再び和太鼓が始まり、おじさんは交代した。すべてのアトラクションが終わり、おじさんは何やら片付け物をしていた。
私はおじさんに近づいていって話しかけた。
「もっとわがままに吹いてくださいよ」と言うと、
おじさんは私の顔をキョトンとした感じで見たが、すぐおだやかな表情に変わり、
「あなたのおっしゃることはよく解ります」と言った。
私達はしばし無言で向き合っていたが、
「がんばってください」と声を掛けて私はその場を去った。
ちょっと悪いこと言ったかなと反省したが、ああ言わずにはいられなかったのだ。
私は聴きたかった。あのおじさんの本当に吹きたかった曲を。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カラスなあいつ

2005-11-07 06:13:38 | 動物ウオッチング

ある日、会社の3階にあるロッカーに入ろうと、外階段を上っていくと、手すりにカラスが止まっていた。そこを通らなければロッカーに入れないのだが、カラスがそこを動こうとしない。距離にして2~3m。突つかれそうな距離である。
「オイ!ちょっとそこどいてくれよ」と、思い切って声を掛けてみた。
ちょっと顔をそむけたようだが、知らん顔をしている。
「あのなぁここは人間の通るとこなの。そこどいてくれよ!」
…また
知らん顔。正直ちょっと怖かったが、なんとかにらみつけていたら、渋々といった感じで飛んで行った。
ホッとしたが、あんなに近づいても逃げないとこをみると、もしかして人に飼われていたのかもとも思ったが、まさかね…。

とろが、翌日もそこに止まっていたのである。
その嘴の太さといい、図々しさといい、あいつだ。再び声を掛けてなんとか追っ払った。
それからしばらく見なかったので安心していたのもつかの間、また止まっていた。
「この間の奴か!」声を掛けると、
なんだかてれくさそうに足踏みすると、口にくわえていた黒々としたものを、ポトリと我が足元に落として去って行った。
?恐る恐る顔を近づけて見ると、なんと、サンマの頭だった!
「それ、お近づきのしるしですよ」と、同僚達は大笑い。
ま…気持ちだけ受け取っておくことにした。その後しばらくあいつに会っていない。
会いたいような会いたくないような…、ウ~~~~ム。

■ ハシブトの跳ねてゆずらぬ冬日向        by issei

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雀と遊ぶススメ

2005-11-05 07:08:41 | 動物ウオッチング

確か秋晴れのすがすがしい日だったと思う。チュンチュンと雀の声が大きくするので、見るとはなしにその方向に目をやると、雀が数羽青ススキに乗っていた。
ススキに乗っているのでススキはその重みでゆっくりしなう。すると上に乗っていた雀の足が、茎の上をス~ッと滑り降りるのである。
はは…と、妙におかしく見ていたら、その雀がしないで下がった茎から飛び上がったかと思うと、またそのススキの上に乗って、しなった茎の上を滑り出した。これを他の雀も繰り返したのである。明らかに遊んでいるのだ。
そうか雀も遊ぶのか…と、一種の驚きにも似た発見だった。
また後日再び雀の遊ぶ姿を見た。
柳の枝を捕まえた足で、スルスルと伝い降りてゆくのである。雀の体もクルクルと回りながら降りてゆく。2~3羽いた雀もこれに続いた。
そのときは一度ずつだったが、私はニンマリしながら落ち着いていた。
最初に見て以来、雀に限らずあらゆる動物に向ける我がまなざしは、
変わっていたのである。
今まさに雀と一緒に遊んでいた。

■ 影たちの雀と遊ぶ冬日向        by issei

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする