時折うちの周りで、ウイ〜ンウイ〜ンと
変な音がするのだ。
多分、管理人さんが、何か掃除機を使って、
掃除をしているのだろうと思っていた。
というのも、暫くすると、その音はしなく
なってしまうので、気にはなるものの、
その正体は分からないままだった。
しかし、ついにこの間、その正体が
分かったのである。
ちょうど昼時の暇なときに、あの音を
聞いたので、よ〜し、今度こそあの音の
正体を突き止めてやろうと、音のしている
方向の玄関のドアを開けて、外の通路へ
出てみた。
しかし、そこには誰も居なかったし、何も
見当たらないではないか。
どういうこと?と辺りを見廻すが、人の
気配は全く無い。
しかし、例の音は続いていたのである。
おかしいなあ、とよくよく周りを見渡すと、
近くにある電線が揺れていた。
そういえば、今日は風が強く吹いていたのだ。
そうか、あの音はあの電線がもたらして
いたのか、と合点がいった。
いわゆる虎落笛(もがりぶえ)という
やつである。
風の強い日に、電線や垣根の隙間などを
吹き抜ける際に発する音のことで、俳句の
季語では、冬の季語になる。
通常は、ビュービューとかヒューヒュー
なのだろうが、なぜかウイ〜ンウイ〜ンと
いう音に聞こえていたのである。
どうして虎落笛と、虎が付いているのかと
いうと、中国で、虎の侵入を防ぐために
設けた竹垣の事だと言う。
我が地域では、電線だったので、人工的な
音になったのかも知れないが、それが枯木の
枝であったり、竹林などではまた違った
虎落笛になったのかも知れない。
そう思うと、現在の農作物を守る人達にとっては、
虎の部分が、熊であったり、猪であったり、
はたまた猿であったりと、所や地域によって、
いろいろな文字のもがり笛があるのではないだろうか。
怪音の 正体見たり 虎落笛
issei