2012/12/22
ジャンボ春庭アフリカ通信>1979年ケニア便り(50)イスラム女性の割礼
1979年アフリカ通信第19号 1979年11月1日~11月4日
11月1日
アルフィの家へイディの祭りに招かれました。イディというのは、日本のお正月のようなもので、イスラム教の正月みたいなもんです。別に歌や踊りではなく、正月のように着飾って、ごちそう食べて、初もうで、という感じ。
まず、朝のうち、神様に感謝しつつ羊を一頭殺し、肉を作ります。私は11時ごろ行ったのですが、もう、レバーとか肉とかに仕分けられていました。せっかくだから、殺すところも見ておけばよかったと思います。
アルフィは、男2人と女2人の子の母親です。一番下の子は三カ月の赤ん坊で、下から二番目のフィラヒィアは、3歳くらいで、私のことをマミーマミーと呼んでなつくので、ついついチョコを買ったりおもちゃの時計を買ったりしてしまいす。
アルフィがごちそうを作っている間、寝室の方で、米のより分けを手伝ったりしながら、女たちと話をしていました。米に石やら混じっているので、選別しなければ食べられないのです。
イスラム教の男が割礼を受けるのは、知っていたけど、女もするのだということを聞き、おどろきました。今はもうしないけど、少し前まで、嫁入り前の女は、割礼を受けないと一人前に結婚できなかったそうです。私が、日本には昔も今もそういう習慣はないと言うと、17歳になる女の子が、やおらパンツを脱いで、切ったあとを見せてくれるというのです。見ろみろと言われても、そうまじまじと見るわけにもいかず、しかし、産婦人科の医者でもないのにこういう事実を見て、幸運というべきか。
しかし、困ったことに、「日本のはどうなっているのか、見せろ」と言われてうろたえました。こればっかりは「ではおかえしに、どうぞ」というわけにもいかないので、あきらめてもらいました。
11月2日
買い物をして一日おわり。
<つづく>
もんじゃ(文蛇)の足跡:2012/12/22
33年前、日本には女性割礼のことはほとんど知られていませんでした。私は、この1979年に初めて女性割礼のことを知ったのです。このときは、割礼の意味が分かっていなくて、男性割礼と同じようなものと捉えていました。
男性割礼は、亀頭を蔽う皮膚を切り取り、男児の健康な発達に役立つものです。割礼をしないと、「包茎」のままになり衛生上もよくないとされています。
しかし、女性割礼は、女性の陰核を切り取り、女性の健全な発達を損ねるものです。結婚前の女性の処女性を護り、結婚後は、女性の性欲を減らして夫への貞節を守らせるものと考えられていました。女性は男性に従属するというイスラムの教えにのっとる行為として、行われていた慣習です。
現在では、女性の人権をおとしめ、女性の健康状態を悪くすると捉えられて、国際的には廃絶がもとめられている慣習です。しかし、現実問題として、イスラム社会で一般的な男性が結婚しようとするとき、女性割礼をほどこした女性を求めることが続く限り、すなわち男性の意識を変えない限り、女性割礼はなくならなりません。
日本では、この人権侵害があまり知られていません。女性はむろんのこと、男性にも割礼の習慣がない国ですから。
ジャンボ春庭アフリカ通信>1979年ケニア便り(50)イスラム女性の割礼
1979年アフリカ通信第19号 1979年11月1日~11月4日
11月1日
アルフィの家へイディの祭りに招かれました。イディというのは、日本のお正月のようなもので、イスラム教の正月みたいなもんです。別に歌や踊りではなく、正月のように着飾って、ごちそう食べて、初もうで、という感じ。
まず、朝のうち、神様に感謝しつつ羊を一頭殺し、肉を作ります。私は11時ごろ行ったのですが、もう、レバーとか肉とかに仕分けられていました。せっかくだから、殺すところも見ておけばよかったと思います。
アルフィは、男2人と女2人の子の母親です。一番下の子は三カ月の赤ん坊で、下から二番目のフィラヒィアは、3歳くらいで、私のことをマミーマミーと呼んでなつくので、ついついチョコを買ったりおもちゃの時計を買ったりしてしまいす。
アルフィがごちそうを作っている間、寝室の方で、米のより分けを手伝ったりしながら、女たちと話をしていました。米に石やら混じっているので、選別しなければ食べられないのです。
イスラム教の男が割礼を受けるのは、知っていたけど、女もするのだということを聞き、おどろきました。今はもうしないけど、少し前まで、嫁入り前の女は、割礼を受けないと一人前に結婚できなかったそうです。私が、日本には昔も今もそういう習慣はないと言うと、17歳になる女の子が、やおらパンツを脱いで、切ったあとを見せてくれるというのです。見ろみろと言われても、そうまじまじと見るわけにもいかず、しかし、産婦人科の医者でもないのにこういう事実を見て、幸運というべきか。
しかし、困ったことに、「日本のはどうなっているのか、見せろ」と言われてうろたえました。こればっかりは「ではおかえしに、どうぞ」というわけにもいかないので、あきらめてもらいました。
11月2日
買い物をして一日おわり。
<つづく>
もんじゃ(文蛇)の足跡:2012/12/22
33年前、日本には女性割礼のことはほとんど知られていませんでした。私は、この1979年に初めて女性割礼のことを知ったのです。このときは、割礼の意味が分かっていなくて、男性割礼と同じようなものと捉えていました。
男性割礼は、亀頭を蔽う皮膚を切り取り、男児の健康な発達に役立つものです。割礼をしないと、「包茎」のままになり衛生上もよくないとされています。
しかし、女性割礼は、女性の陰核を切り取り、女性の健全な発達を損ねるものです。結婚前の女性の処女性を護り、結婚後は、女性の性欲を減らして夫への貞節を守らせるものと考えられていました。女性は男性に従属するというイスラムの教えにのっとる行為として、行われていた慣習です。
現在では、女性の人権をおとしめ、女性の健康状態を悪くすると捉えられて、国際的には廃絶がもとめられている慣習です。しかし、現実問題として、イスラム社会で一般的な男性が結婚しようとするとき、女性割礼をほどこした女性を求めることが続く限り、すなわち男性の意識を変えない限り、女性割礼はなくならなりません。
日本では、この人権侵害があまり知られていません。女性はむろんのこと、男性にも割礼の習慣がない国ですから。