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ぽかぽか春庭「劇団匂組公演「あかつき」

2013-04-18 00:00:01 | エッセイ、コラム


2012/04/18
ぽかぽか春庭感激観劇日記>演じられた母たち(1)劇団匂組公演「あかつき」

 何年か前、友人のK子さんが演劇講座に通っていたとき、いっしょに勉強した仲間がいます。わこさんという方。わこさんは、若い頃演劇に関わり、その後結婚生活のために演劇活動は「冬眠」状態でウン十年。自由な時間がとれるようになって、演劇への情熱を復活させました。「自作の戯曲を上演したい」と、演劇を勉強しなおし、2010年に「劇団匂組」を結成、2011年に第1作を上演しました。

 第1作上演のとき、私は見に行けませんでした。わこさん第2作目の上演にあたって、K子さんは、「劇団匂組公演制作助手」という立場で公演の裏方を勤めました。そして、劇団匂組第2回公演、「あかつき」に招待してくれました。
 2012年11月19日、午後の公演を見てきました。
 劇団匂組第二回公演「あかつき」椎名麟三「永遠なる序章」より 作:大森匂子 演出:三浦剛

 私は椎名麟三の小説をひとつも読んだことがなく、『永遠なる序章』についても、あらすじすら知りませんでした。椎名の作品が、なにやら哲学的でむずかしい小説ということのみ聞きかじっていて、「そんなむずかしい小説の戯曲化で、ぜんぜん内容がわからなかったらどうしよう。ゆうべは夜11時に寝て、1時半に目がさめてしまって、そのあとぜんぜん寝られなかったので、きっと寝ちゃうな」と、心配でした。

 仕事帰りに、荻窪駅で降りてアトリエだるま座へ向かいました。私が見る回は夜7時からなので、まだ早いのですが、初めての場所へ行くとき必ず迷うので、ややこしそうな場所にある新しい演劇スポットを確かめておこうとしたのです。一度場所を確かめて、駅に戻り、駅前のカフェとか本屋でで時間をつぶして、招待を受けた7時からの公演を見ようと思いました。しかし、駅前からまっすぐな道を、ただまっすぐ行くだけの場所にあったので、迷わずに着いてしまいました。

 3時からの公演が始まるところでした。受付で3時からの公演を見てもいいかと聞いたらOKだったので、50席ほどのアトリエ劇場の一番前に座りました。制作助手のK子さんは、公演本番中は「会場案内係」です。

 配布されたパンフレットを見たら、演出家のことばとして、「今回の演出は、原作である椎名麟三の『永遠なる序章』を読まずに構築した」と書いてあったので、「あら、演出家も原作読んでないのなら、私が原作読まずに理解出来なかったらどうしようと心配することはなかった、と、胸をなで下ろしました。原作とは別物として演劇を見ればよろしいってことでしょう。

 「この作品は、あくまで大森匂子の「あかつき」であり、演じる俳優達も、観劇してくれる皆様も、平成24年の今に生きる現代人だ。我々が作り上げてきた昭和22年の群像劇を現代人である皆様と共有し、想像力の限りを尽くして、麟三が見た戦後を、そこでこそ見えてくる人間の光と闇を再発見して頂けたら最高だ
というのが、公演パンフレットにある演出家のことばです。

 パンフレットには、現代人にはわからないであろう戦後の語彙が解説されていました。「外食券食堂」「新宿の二幸」「PX」「省線電車」「夢の島遊園地」「船橋に湧きでた温泉」「麻布に志願」「キンカン」が解説されていました。
 戦後すぐの生まれである私も、戦後史のことばとして、闇市とか外食券食堂などのことばは知識として知っていましたが、ゴミの埋め立て地「夢の島」に遊園地設立計画があったとは知りませんでした。

<つづく>
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