2013/10/05
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>街の歌声(4)東京ヘブンアーティスト
大道芸人、ストリートアーティストとは、世界中のどの国でも、どこからかふらりとやってきて、いっとき街や村の人々に音楽を聴かせたり芝居を見せたりして投げ銭を乞い、またふらりととなりの町へと過ぎ去っていく。そういう放浪のイメージを持っていました。フェデリコ・フェリーニ「道」のアンソニー・クインとジュリエット・マシーナのイメージです。
しかし、なんでもエラソーに権威付けることが好きだった東京都の前知事は、大道芸人に審査を施して選別することにしました。東京都が「これなら東京都にとってふさわしい」と認めた芸人に「東京ヘブンアーティスト」というお墨付きを与えて、街なかでの上演を許可しました。
私は、この許可制度には反対です。大道芸とは、本来「芝居小屋などでは表現できない異端も時の権力者への反逆も、すべて飲み込んで上演される」のが本当の姿だと思うからです。
お上に審査してもらって、許可されて演じるというのでは、本来の大道芸ではないだろうという気がするのですが、なんでも官許が好きなお国柄です。たとえば、大道芸オーディションの場で「東京五輪開催反対」をネタにした芸を披露して、その芸が標準以上のできのとき、合格するものかどうか知りたいです。
フランスでの、大道芸人のオーディションを見習ってのことだろうと思います。フランスではロマ(ジプシー)の大道芸人とその他の芸人の間に軋轢が生じたりするのを防いだり、執拗に投げ銭をせがむ行為が観光客に不安を感じさせフランスの評判をおとすことを防ぐなどの意味合いもある措置だったと思います。
東京の大道芸官許は、「質の高い娯楽を都民に提供できるようにするため」だそうです。
でもまあ、上野や代々木、井の頭などの公園などにいくと、「お墨付き大道芸」が見られるので、楽しませてもらっています。「お墨付き」で、どのグループも「質の高い娯楽」です。
ある日の上野公園。「東京楽竹団(とうきょうらくたけだん)」というグループのパフォーマンスを見ました。
楽竹団ホームページ http://www.tokyo-bamboo.com/
楽竹団は、楽団名のとおり、「竹」をつかった楽器を手作りして演奏しています。楽器用途に合う音色の竹を探し、山に入って竹を切り出すところからの手作りだ、とMCが言っていました。
インドネシアの民族楽器「アンクルン」は、留学生の演奏を聞いたこともあるし、知っていました。
東京楽竹団のアンクルン
日本では、もともと竹製の楽器は馴染みのものです。尺八は、竹をつかった日本の代表的な管楽器ですし、雅楽の篳篥(ひちりき)は、漆を塗った竹。鳳笙(ほうしょう=しょうの笛)は、いろいろな長さの17本の細い竹管を組み合わせています。
竹の鳴子をお土産にもらって、風鈴がわりに窓辺に吊るしていたこともありましたし、竹にさまざまな音色があることはわかっていました。しかし、竹の楽器だけの演奏グループをはじめて聞きました。楽竹団の演奏で初めて見た楽器もありました。
http://www.tokyo-bamboo.com/inst.html
この日は、「八木節」「「童神~天の子守唄」「花」などの曲が演奏されました。
たいていのヘブンアーティストが最後の曲の前「私たちは大道芸人です。みなさまのおこころざしで演奏活動を続けています。演奏がお気に召しましたら、お気持ちを丸い形にしていただけますと幸いです。まるいのもいいですが、長方形の形はもっとうれしいです」なんて挨拶します。
私の方針は、10年前から「10分間立ち止まって演奏を聞いたら100円。30分で500円のワンコイン主義。
ヘブンアーティストは、「四角いほうが、、、、」と言いますが、東京には、無料または千円500円の料金で屋内ホールでの演奏会がたくさんあります。2時間のホールコンサートで千円なら、ホール賃貸料がなしの演奏で30分500円はそう悪くはないかなと。
楽竹団の演奏もとてもよかったですが、すみません、投げ銭はワンコイン。
「じょんがら」がとてもよかったです。(youtube での楽竹団の演奏は、上野公園ではなく、舞台での公演です)。
http://www.youtube.com/watch?v=8rBJTl7ZGGU
上野公園での演奏「島唄」(youtube映像は、昨年の演奏です)
http://www.youtube.com/watch?v=-gJZT0df3AI
私は公園を散歩することが好きなので、ヘブンアーティストに出会うことが多いですし、そのほかの場所でも「無料公演」というのがあると、時間がある限り聞くことにしています。「無料」というのが大好きなので。
夏休み中、「今日は、火曜日。泉屋博古館は月曜休館だから、開館しているだろう」と六本木駅に降りたら、改札口前のコンコースから三味線の音が聞こえてきました。「HIDEHIDE」という和楽器デュオの駅構内演奏会でした。美術館は逃げていかないから、演奏を聴いてから行こうと思って、いすに腰をおろす。
若くてイケメンのデュオ、とてもかっこいい。尾上秀樹(中棹三味線)と石垣秀基(尺八)のおふたり。ふたりのヒデキなので、HIDEHIDE。
六本木では、「はげ山の一夜」や子供向けサービスで「崖の上のポニョ」などが演奏されました。
舞台公演の映像youtubeです。
・ノスタルジア http://www.youtube.com/watch?v=xx4xEj9PkdU
・(たぶん)ロシアでの演奏 http://www.youtube.com/watch?v=WqH74-oXqQI
・http://www.youtube.com/watch?v=WPbYJRtIkXo
この日火曜日でしたが、泉屋博古館は展示入れ替え中で休館。確認しないででかけたおかげで、HIDEHIDEの演奏を偶然聞くことができました。
ほかにも、東京芸大の学生がワンコイン500円で月一回のコンサートを続けていますし、アマチュアオーケストラのコンサートも多数開催されます。無料で音楽を楽しめるという点で、東京は世界で有数の音楽都市です。
オリンピックでたくさんの外国の方が来日するチャンス。スポーツとともに、アート(音楽も美術もダンスも)をもっともっと街角で楽しめるようにしてほしいです。
ヘブンアーティストもいいと思いますが、たまには「自由な天国」でだれでも自分の芸を披露できる場所を設けておくとか。もちろん投げ銭OKで。
私も街角で踊りたくはあるのですが、投げ銭おひねりのかわりに、石礫とんできそうです、、、、、
<おわり>
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>街の歌声(4)東京ヘブンアーティスト
大道芸人、ストリートアーティストとは、世界中のどの国でも、どこからかふらりとやってきて、いっとき街や村の人々に音楽を聴かせたり芝居を見せたりして投げ銭を乞い、またふらりととなりの町へと過ぎ去っていく。そういう放浪のイメージを持っていました。フェデリコ・フェリーニ「道」のアンソニー・クインとジュリエット・マシーナのイメージです。
しかし、なんでもエラソーに権威付けることが好きだった東京都の前知事は、大道芸人に審査を施して選別することにしました。東京都が「これなら東京都にとってふさわしい」と認めた芸人に「東京ヘブンアーティスト」というお墨付きを与えて、街なかでの上演を許可しました。
私は、この許可制度には反対です。大道芸とは、本来「芝居小屋などでは表現できない異端も時の権力者への反逆も、すべて飲み込んで上演される」のが本当の姿だと思うからです。
お上に審査してもらって、許可されて演じるというのでは、本来の大道芸ではないだろうという気がするのですが、なんでも官許が好きなお国柄です。たとえば、大道芸オーディションの場で「東京五輪開催反対」をネタにした芸を披露して、その芸が標準以上のできのとき、合格するものかどうか知りたいです。
フランスでの、大道芸人のオーディションを見習ってのことだろうと思います。フランスではロマ(ジプシー)の大道芸人とその他の芸人の間に軋轢が生じたりするのを防いだり、執拗に投げ銭をせがむ行為が観光客に不安を感じさせフランスの評判をおとすことを防ぐなどの意味合いもある措置だったと思います。
東京の大道芸官許は、「質の高い娯楽を都民に提供できるようにするため」だそうです。
でもまあ、上野や代々木、井の頭などの公園などにいくと、「お墨付き大道芸」が見られるので、楽しませてもらっています。「お墨付き」で、どのグループも「質の高い娯楽」です。
ある日の上野公園。「東京楽竹団(とうきょうらくたけだん)」というグループのパフォーマンスを見ました。
楽竹団ホームページ http://www.tokyo-bamboo.com/
楽竹団は、楽団名のとおり、「竹」をつかった楽器を手作りして演奏しています。楽器用途に合う音色の竹を探し、山に入って竹を切り出すところからの手作りだ、とMCが言っていました。
インドネシアの民族楽器「アンクルン」は、留学生の演奏を聞いたこともあるし、知っていました。
東京楽竹団のアンクルン
日本では、もともと竹製の楽器は馴染みのものです。尺八は、竹をつかった日本の代表的な管楽器ですし、雅楽の篳篥(ひちりき)は、漆を塗った竹。鳳笙(ほうしょう=しょうの笛)は、いろいろな長さの17本の細い竹管を組み合わせています。
竹の鳴子をお土産にもらって、風鈴がわりに窓辺に吊るしていたこともありましたし、竹にさまざまな音色があることはわかっていました。しかし、竹の楽器だけの演奏グループをはじめて聞きました。楽竹団の演奏で初めて見た楽器もありました。
http://www.tokyo-bamboo.com/inst.html
この日は、「八木節」「「童神~天の子守唄」「花」などの曲が演奏されました。
たいていのヘブンアーティストが最後の曲の前「私たちは大道芸人です。みなさまのおこころざしで演奏活動を続けています。演奏がお気に召しましたら、お気持ちを丸い形にしていただけますと幸いです。まるいのもいいですが、長方形の形はもっとうれしいです」なんて挨拶します。
私の方針は、10年前から「10分間立ち止まって演奏を聞いたら100円。30分で500円のワンコイン主義。
ヘブンアーティストは、「四角いほうが、、、、」と言いますが、東京には、無料または千円500円の料金で屋内ホールでの演奏会がたくさんあります。2時間のホールコンサートで千円なら、ホール賃貸料がなしの演奏で30分500円はそう悪くはないかなと。
楽竹団の演奏もとてもよかったですが、すみません、投げ銭はワンコイン。
「じょんがら」がとてもよかったです。(youtube での楽竹団の演奏は、上野公園ではなく、舞台での公演です)。
http://www.youtube.com/watch?v=8rBJTl7ZGGU
上野公園での演奏「島唄」(youtube映像は、昨年の演奏です)
http://www.youtube.com/watch?v=-gJZT0df3AI
私は公園を散歩することが好きなので、ヘブンアーティストに出会うことが多いですし、そのほかの場所でも「無料公演」というのがあると、時間がある限り聞くことにしています。「無料」というのが大好きなので。
夏休み中、「今日は、火曜日。泉屋博古館は月曜休館だから、開館しているだろう」と六本木駅に降りたら、改札口前のコンコースから三味線の音が聞こえてきました。「HIDEHIDE」という和楽器デュオの駅構内演奏会でした。美術館は逃げていかないから、演奏を聴いてから行こうと思って、いすに腰をおろす。
若くてイケメンのデュオ、とてもかっこいい。尾上秀樹(中棹三味線)と石垣秀基(尺八)のおふたり。ふたりのヒデキなので、HIDEHIDE。
六本木では、「はげ山の一夜」や子供向けサービスで「崖の上のポニョ」などが演奏されました。
舞台公演の映像youtubeです。
・ノスタルジア http://www.youtube.com/watch?v=xx4xEj9PkdU
・(たぶん)ロシアでの演奏 http://www.youtube.com/watch?v=WqH74-oXqQI
・http://www.youtube.com/watch?v=WPbYJRtIkXo
この日火曜日でしたが、泉屋博古館は展示入れ替え中で休館。確認しないででかけたおかげで、HIDEHIDEの演奏を偶然聞くことができました。
ほかにも、東京芸大の学生がワンコイン500円で月一回のコンサートを続けていますし、アマチュアオーケストラのコンサートも多数開催されます。無料で音楽を楽しめるという点で、東京は世界で有数の音楽都市です。
オリンピックでたくさんの外国の方が来日するチャンス。スポーツとともに、アート(音楽も美術もダンスも)をもっともっと街角で楽しめるようにしてほしいです。
ヘブンアーティストもいいと思いますが、たまには「自由な天国」でだれでも自分の芸を披露できる場所を設けておくとか。もちろん投げ銭OKで。
私も街角で踊りたくはあるのですが、投げ銭おひねりのかわりに、石礫とんできそうです、、、、、
<おわり>