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ぽかぽか春庭「棟梁たちの明治」

2013-10-12 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/10/12
ぽかぽか春庭アート散歩>近代建築めぐり2013(2)棟梁たちの明治

 「擬洋風建築」と呼ばれている、明治の大工さんが建てた洋風建築は、外観こそ塔楼やバルコニー、洋風窓などを備えた「見た目は洋館」ですが、内部の構造は、長年の大工修行を重ねて身につけた伝統工法が使われています。

 新潟県議会議事堂(現・県政記念館)を1883(明治16)年に建てたのも、大工の星野総四郎でした。県令(現在の県知事)永山盛輝が議事堂建設を命じたとき、星野は棟梁として意気盛んな年頃36歳でした。

旧新潟県議会議事堂正面


旧新潟県議会議事堂入り口

旧新潟県議会議事堂裏側


 星野はその後、関西で鉄道省関連の建設、鉄道敷設などに従事し、鉄道省を退いてからは新潟に戻り再び建築を請負いました。最晩年の仕事として、東京下落合の御留山にあった相馬子爵邸を建てたのですが、残念ながら相馬家が1939昭和14)年に所有地を売却した際に解体されてしまったそうです。
 星野総四郎の仕事として現在も見ることができるのは、現在の憲政記念館のほか残っていないようですが、相馬子爵邸などの写真はネットでも見ることができます。
http://chinchiko.blog.so-net.ne.jp/2008-07-13

 新潟市郷土資料館みなとぴあ内の旧新潟税関庁舎のほうは、設計施工が誰だったのか、資料が残されていないようです。1896(明治29)年竣工




 私が「建築探索」という歩き方があることを知ったのは、藤森照信の一連の著作によります。最初に読んだのは『建築探偵の冒険・東京編』ちくま文庫(1989)だったと思います。それまでは、「文学散歩」が中心で、「一葉の引越し先をたどる散歩」や「荷風の日和下駄散歩」などを楽しんでいました。

 現在は、建物散歩趣味の人も大勢いるし、ネット上にはさまざまな建築写真がUPされています。また、設計施行の建築家や大工棟梁の伝記なども、郷土史研究家らによってくわしく調べられています。建物の写真も、私がデジカメで手ぶれしながら撮った写真よりもよほど上手なものがたくさんUPされているので、私がUPしなくてもいいかなと思うのですが、私自身の記念のためにあげておきます。

 幸田露伴の『五重塔』に、上野不忍池のほとりに五重塔を建てた大工の心が描かれています。また、山口県瑠璃光寺の五重塔の建築をめぐって久木綾子『見残しの塔』で読むことができます。
 明治の洋風建築を請け負った大工さんたちの話もぜひ読んでみたいです。

<つづく>
コメント (2)
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