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ぽかぽか春庭「ハッピーバースデイ89回目」

2014-02-20 00:00:34 | エッセイ、コラム


2014/02/20
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十四事日記2月光の春(4)ハッピーバースデイ89回目

 2月4日節分の日は、姑の89歳誕生日を祝ってお食事会。姑の誕生日は7日なのですが、7日は私が仕事に出る日なので、4日に前倒し。ランチを食べてお祝いしました。
 姑希望の駅前フレンチの店へ。姑があまり和食好きでないのを知っていて、これまでお祝いごとには中華の店を選ぶことが多かったのですが、一度駅前フレンチの小さな店に入ったら、すっかり気に入ってしまい、「お誕生日もあそこがいい」というので、食べに行きました。2階の店へ入るのに、エレベーターがなく、足元が弱っている姑を連れて上がるのが一苦労ですが、娘息子が介護して席につきました。

 誕生日プレートに「Happy biruthday ゆきこさん」とチョコで書いてもらいました。メインは各自好きなものを頼むというコースで、デザートのピスタチオクリームのロールケーキもおいしかったです。

前菜

ポタージュ
姑のメインはお肉、私のメインは魚
デザート

 2月11日、夕方姑の家へ。3時ごろまで姑とすごした夫とすれ違い交代。大根人参こんにゃくの煮物と、ブロッコリーとトマトのサラダを作って帰る。私が行けるのは休日しかないけれど、姑は病院通い歯医者通いをしながらも、一人暮らしを続けています。
 寒いさむいと言って、雪だるまのように着膨れしている姑。エアコンやガスストーブは嫌いで、一番好きな暖房は昔ながらのこたつ。年をとればとるほど、新しいものは受け付けなくなっていて、昔風の生き方を続けたがります。
 「こたつで昼寝」が一日のうちの一番大きな仕事です。

 料理はすきじゃないHALですが、2月18日には豚肉の煮物を作りました。「冷蔵庫の中のタッパにまだ入っていますから明日も食べてね」と、いうのですが、姑は、冷蔵庫の中に入っていることを忘れてしまうこともあるのです。

 少量の服でも一日に2回も3回も洗濯機を回すのですが、どうしても昔ながらの手動二層式洗濯機を使い続けたいと言うのです。「全自動に変えたほうが水が節約できるから」という意見を受け入れません。そして、すすぎ水を流していることを忘れてしまうので、一晩中、水を流しっぱなしにして、水道代が一ヶ月に4万円とか5万円になって、一昨年の夏以来、全自動洗濯機の数台買えるくらいの水の無駄遣いをしています。

 それでも「死ぬ前には食欲が衰えるって聞いたけれど、私、すぐおなかがすいていくらでも食べられるから、まだ死なないわね」といいながら、豚肉の煮物で夕食を食べたあと、夫が来たら「いっしょに焼きおにぎり食べよう」と言って、もういちど夕御飯を食べていました。まあ、息子といっしょに食べたいのでしょうけれど。

 娘がいうには、「毎回病院の行き帰りに付き添って介護しているのは私なのに、おばあちゃんはお父さんが一番かわいいみたい。お父さん、薬の管理をするだけで、あとはなんにもしてくれないのに。世の年寄りって、子供よりも孫をベタ可愛がりするって聞くのに、うちのおばあちゃんは、孫を猫可愛がりするってことがなかったね」

 足が弱ってからは、習いに通っていた書道教室も童謡を歌う会も詩吟もみなやめてしまって、病院通いとデイサービスの体操教室のほかは出歩かなくなってしまいました。ああ、年寄りはこうやってひとつずつ社会との接点を失っていくのかと、これからの老いの行くすえの参考になりますが、洗濯機のこともそうですが、いっさい新しい物、新しい考え方を受け付けなくなってくるようすを見ていると、年を取るって寂しいことだなあという気になります。

 70歳からスキューバダイビングをはじめたレニ・リーフェンシュタールとか90歳から詩を書き始めた柴田トヨさんはやはり例外なのでしょうか。
 私は、毎年何かしら新しいことに挑戦していきたいと今は思っているのですが、心身気力衰えればそうも言っていられなくなるのかも。少なくとも、89歳の姑が、最後まで「私は、家族に恵まれて幸せだ」と言うのを聞いていたいと思います。

<つづく>
コメント (4)
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