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ミンガラ春庭「サク君還俗するその1スーレーパゴダお参り」

2015-10-08 00:00:01 | エッセイ、コラム

下町のランドマーク、スーレーパヤー

20151008
ミンガラ春庭ミャンマー便り>2015ンゴン日記9月(8)サク君還俗するその1スーレーパゴダお参り

 サク君は7日間の出家修行を終えて、9月12日土曜日に還俗し、俗世間に復帰しました。出家前には、「ゲンゾクって、なんすかぁ」と言っていたサク君ですが、7日間の出家修行を終えて、徳の高い人に生まれ変わったにちがいない。
 還俗の儀式も見たかったのですが、土曜日午前中に、日本語教材売り込みの業者と面談アポイントメントが入ってしまいました。土曜日も仕事、しごと。

 午前中を日本語教材ソフト開発者との面談に費やし、さて、ようやく、サク君が還俗後の身を寄せているモモさんの家に出かけました。パスポートなどの貴重品が入ったサク君のリュックサックを預かっていたのです。

 下町のパークロイヤルホテル近くにモモさんの家があります。7階建ての4階に自宅があるけれど、当地の古いビルは、何階建てだろうと、エレベーター設置のビルは少ない、と聞いています。

 タクシーでパークロイヤルホテルへ。モモさんに迎えに来てもらい、徒歩5分ほどのモモさんの家に着きました。4階までの階段、きつかったです。2階で小休憩し、踊り場から見えるモモさんの高校のグランドを眺めました。斜め向かいが高校。徒歩1分通学です。

 モモママさんは、モモさんを「徹底的箱入り」に育てています。大学生になった今も、大学のロシア語専攻の授業時間のほかは、すべての時間がママによって、「英語家庭教師の授業を受ける時間」「フランス語話者とミャンマー語の交換教授の時間」「中国語交換授業」「韓国語交換授業」「日本語交換授業」と、空き時間がすべて、ママが管理した語学授業になっています。
 私は12月からモモさんと「ミャンマー語日本語交換教授」をする予約をしています。ミタさんから引き継ぎです。

 最初、モモさんの語学漬けの毎日を聞いたとき、わあ、すご~い、よほど語学が好きなのだろうと感心したのですが、よくよく事情がわかってみると、これはモモママのモモ管理の一環なのだとわかりました。すべての時間、娘の自由にはさせずに、ママが指定した人とだけいっしょにいるように、とのママのはからいなのです。
 私はヤンゴン大学の教師だから、ママからの信用は篤い。

 昼ご飯をUサクといただいたあと、モモさんを散歩に連れ出しました。スーレーパヤーのお参りに行くHAL先生を案内する、という名目でママのお許しが出ました。

 Uサク君は、まず、スーレー近くにあるオキナワゲストハウスに立ち寄りました。
 ゲストハウスとは、ホテルより格が落ちる安宿の呼び方。バックパッカー御用達の宿です。
 4人部屋6人部屋のドミトリーで一泊1000円10000チャット程度。シングルで1500円~2000円。バックパッカーは、旅の情報を交換するために、大部屋を希望することが多い。

 スーレーのすぐ近くにあるシャングリラホテルが、スタンダード部屋でもシングル一泊300ドル3万円~500ドル5万円くらいするのと比べると、大きな違いがありますが、当地の労働者のなかで、一日に1000円稼げる人は高給取りのほう、という事情を考えると、一泊1000円だって贅沢だと私には思えます。バックパッカーのいいところは、一日1000円の宿でもそれが贅沢だと知っていること。シャングリラに泊まる人たちは、ホテルのルームキーパーがどれほどの給料で1ヶ月を過ごしているか考えたことないと思います。

 ミャンマーの人件費は、おそらく東南アジアのなかでも、カンボジアやラオスと並んで安い。経済発展につれて、タイやベトナムの人件費が高騰していったように、これからミャンマー人の給与もどんどん高くなっていくでしょう。でも物価も高騰するから、どっちがいいかわかりませんけれど。

 サク君は、タイやラオスで知り合ったバックパッカーたちとfacebookで連絡を取り合っていたので、オキナワゲストハウスに旅仲間のシン君が到着したことを知っていました。彼に会いに来たのです。そして、サク君のゲストハウスも、トウキョーゲストハウスからオキナワゲストハウスに住み替えをしました。

 トウキョーゲストハウスは、オーナーが日本人なのですが、居丈高な人で、「部屋に南京虫がいる」と、宿泊客が文句をつけると、掃除をするよりも「そういうことを言うと、うちの評判が悪くなるから出て行ってくれ」と、客を追い出す、という人なのだそうです。
 トウキョーと名がつけば、日本人バックパッカーが寄ってくる。営業努力せずとも一定の宿泊客があるので、とても横柄な態度なのだ、と、ネットの評判記に書いてありました。ネットの書き込みだと信用できないときもあるけれど、モモさんの友達のミタさんも、一度泊まったときに、シャワー室を覗かれたので文句をつけたら、追い出された、と話していました。評判を落とすようなことを口にする客は追い出すという、トーキョーゲストハウスのオーナーの方針らしいです。

 で、オキナワゲストハウスで、シン君とサク君は感激の対面を果たす。ふたりは全く逆のコースでカンボジアマレーシアシンガポールなどを回って、それぞれが勝手なバックパッキング旅を続けていたのだけれど、こうして再びミャンマーの地でめぐり逢うことができた。これはきっとサク君が修行してきたお寺のホトケ様のお導きに違いない。

 サク君は、モモママさんに「晩ご飯のご招待、友達を連れて行ってもいいか」と、申し入れてあったので、スーレー参拝にいっしょに出かけることにしました。シン君は昨晩ヤンゴンに到着したばかりなので、まだどこにも出かけていない、ということでした。

 スーレーバゴダは、シュエダゴンバゴダと並んで、ヤンゴンで最も有名なお寺のひとつ。 観光客は、シュエダゴンバゴダの中に案内されますが、スーレーはたいてい外からいわゆる「車窓観光」するだけですませることが多いです。
 スーレーの中に入り、お参りすることにしました。ミャンマー人のお参りは無料ですが、外国人はひとり3ドルとられました。シン君サク君はバックパッカーらしく「タッケー」と言いますので、私が3人分を支払う。9ドル9000チャット。私だってタッケーと思いますよ。1500チャットの学食なら、6回食べられる。



 お賽銭を船の形の入れ物に乗せて塔の上までロープで届ける、という装置があったのでサク君はポケットから小銭(5円札、10円札など)をありったけ出して、賽銭係のおばちゃんに「まけてくれ。オレたちは貧乏な日本人なんだ」と、賽銭を値切っている。おばちゃんも笑ってOKしてくれました。ハンドルをぐるぐる回すと、ロープにつるされた船がどんどん上に登っていく。3人で交代でハンドルを回しました。モモさんは、笑ってみているだけ。はたして、値切った賽銭は来世をよくする御利益があるのか。

 スーレーの中は、例によって白塗りのお顔、唇赤くおめめばっちりのマネキン人形風仏像が並んでいます。上座仏教の仏像はすべて釈迦牟尼です。いっぱい並んでいるのはそれぞれ役割が違うお釈迦サマだから。
 お参りの人々は、みな熱心に床に額をつける拝礼を繰り返している。

 3人は、それぞれの曜日のお釈迦様にお水をかけてお参りしました。私は月曜日、虎が守護している釈迦にお参り。
 小さなコップが並んでいて、年齢プラス1回だけ水をかける。プラス1回っていうのは、仏教関係のことは、旧暦、年齢は数え年でいうためだと思います。
 私は66回も水をかけるのは面倒なので、バースデイケーキのように、太い蝋燭が6本と細いのが6本方式で行きました。コップに大小はなかったけれど。

 シン君は22歳大学3年で休学中。兵庫出身、サク君は23歳大学卒業した京都人。ふたりが話していると、いつも掛け合い漫才になります。さすが関西人。どの人も吉本に入れる素質もっているなあと、感心する。
 ミホトケに水をかけながらも、「オーオー、そんなに水かけたら、お釈迦さん風邪ひいてまうがな」「そやな、釈迦がオシャカになる」てなことを話し合っています。
 モモさんの日本語は初級レベルなので、私が笑い転げているこんな掛け合いにもすましています。

<つづく>
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