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ミンガラ春庭「金箔仏像ネオンサイン光背」

2016-04-17 00:00:01 | エッセイ、コラム
20160417
ミンガラ春庭ミャンマースーベニール>ブツブツしい日々(2)金箔仏像ネオンサイン光背

 ミャンマーの寺の中に、仏像がたくさんあります。ひとつの寺の中に1千体の仏像があるとして、そのほとんどが釈迦像です。日本の大乗仏教(古代仏教の大衆部仏教より分派)のように、阿弥陀様やら観音様やらお地蔵様などの像は、皆無とは言わないまでも、めったにお目にかかることはありません。
 ただひたすらお釈迦様に来世のよき転生を祈るのが、ミャンマーの上座部仏教です。

 四天王像や日光菩薩月光菩薩薬師様に阿修羅さま、などおわしませぬかわり、お釈迦様は8つの種類があり、月曜日のお釈迦様、火曜日のお釈迦様と、生まれた曜日の担当おシャカがおわします。水曜日の担当は、午前中釈迦と午後釈迦にわかれて、八方向の担当をすべく、菩提樹のまわりなどには、8体のお釈迦様がすわっていらっしゃる。
 生まれ曜日計算方法によると、私は月曜日、娘は水曜日午前中、息子は土曜日でした。(計算方法を知りたい方は、『地球の歩き方』などに載っていますから、本を買ってください。ネット内にもさまざまな計算式が出ていますが、ややこしいのが多いので、旅行ガイドブックが簡単です)

八曜日のお釈迦様


 ミャンマーの人々は、大切なものを金色にするのが好みなので、新しい仏像はたいてい金ぴかです。作られた時代が古い仏像のなかには、石の像も銅像もあるのですが、修復するとなれば、金色にする。
 たいていのお寺には、金箔を売っていて「これを仏像に貼れば、御利益あらたか。来世には今よりもっとよい人生をおくれる」と、売っています。10枚で千円くらいだったので、それほど純度の高い金ではない金箔だろうと思いますが、みな、競って仏像に貼り付けていました。金箔でぼこぼこになっている仏像も多かったです。

シュエダゴンパヤーで。坊やもお父さんの言いつけ通りに、仏像に金箔を寄進しています。


金箔の重ね貼りでデコボコになっている仏像


 妹と2008年に旅行したときのこと。タイの仏像も、アユタヤなどの古跡では石のままの仏像も並んでいましたが、観光地になっている有名寺院の中の仏像はたいてい金ぴかでした。東南アジアの上座部仏教では、金ぴかが好まれているのでしょう。
 なにを尊いアリガタイと感じるかは、それぞれの文化。私が「金ぴかの仏様よりも、木像や石像のほうが落ち着いて拝める」と感じるのは、そういう文化の中で育ってきたからです。

 私には、白いお顔で睫毛ばっちりの仏像や金ピカピカの仏像、ネオンサインぴっかぴか電飾の光背には親しみが感じられないのですが、仏教伝来時にはそうではなかった。奈良東大寺の大仏さまも、聖武天皇が作らせたときには、全体重量380トンの金銅仏に9トンもの金を水銀アマルガム法でまとわせて、金ぴかの大仏像だったということです。ようは、なじみがあるかないか、の違いかも。美男におわす鎌倉大仏も、頬のあたりに、当初の金箔貼り付けの痕跡があるそうですし。

金ぴか仏像に金糸銀糸ぬいとりの袈裟を着せて、光背はネオンサイン式でぐるぐるに光らせる。ミャンマー標準仕様のお釈迦様。


 現代日本の人々は、近世近代の感性を主導したワビサビという美意識のため、どうも秀吉が作らせた黄金茶室とか、某温泉ホテルが名物にしている純金湯船なんぞに対して、斜めに見る癖があります。下賎出身をひけめにしていた秀吉のせいいっぱいの虚飾であろう、と思ってしまう。
 私なんぞは、泉の女神に「お前が落としたのは金の斧か銀の斧か」と問われたら、たとえ錆び鉄の斧一本すら落としていないとしても、「金です、きんキン、もちろんキン」と、大声を上げそうなんですけれど。金は欲しい、されど美意識のうちでは、金が欲しいという俗な気持ちを人様には知られたくない、というねじくれた感情になってしまうのです。ミャンマーの人々のように「金」は大切な物、その大切な物は真っ先に仏様に寄進したい、という素直な行動のほうがずっと気持ちよいと、わかっておりますが、、、、、私に、純金湯船につかる機会があるとしたら、とても気恥ずかしい思いをしながら湯につかることでしょう。

 バガンの仏教遺跡群のお寺のひとつにある、金箔貼り付け釈迦像。高い位置にあって、上になかなか届かず、足下の台座に貼り付ける人も多い。


 では、ありがたい金ぴか仏像や白塗りお顔のお釈迦様に、礼拝。

シュエダゴンパヤー、一千体のお釈迦様のなかの、いくつか






 シュダゴンパヤーの中にも寝釈迦があります。シャカが横たわる姿、日本だと涅槃仏が多く見られますが、上座部仏教では、横たわった姿で説法するシャカの姿が「寝釈迦」として礼拝されることが多いです。


 ヤンゴン市チャウタージーパヤーの寝釈迦


 寝釈迦の足裏も金色を光らせて仏教の教えを伝えています



 ヤンゴン市ローカチャンター・アーバヤー・ラバムニ・パヤー。オン先生に連れて行っていただいた「アメイジング!テンプル」のひとつ。
 軍政時代2000年に、政府が威信をかけて建立した寺のなかに、大理石500トンという大仏が安置されています。高さ11.5m、幅7.3m、厚さ3.4mtの巨大な仏像です。乾期の乾燥により大理石がひび割れをおこすので、大仏は空調つきガラスケースで覆われています。ガラスが光ってしまってうまく撮影できませんでした。
 大理石仏としては世界一で、ここより大きい大理石仏はどこにもないという「アメイジング!」でした。みな、熱心に来世のために祈っていました。



ヤンゴン市ダラ地区のお釈迦様



<つづく> 

 地震でお身内を亡くされた方、被害にあわれた方、祈りが届くと信じております。来世も大事なことでしょうが、私はただひたすら、現世でつらい人々のために、祈り続けます。
コメント (6)
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