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ぽかぽか春庭「大妖怪展」

2016-09-11 00:00:01 | エッセイ、コラム


20160911
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>台風散歩(2)江戸東京博物館・幽霊展&大妖怪展

 8月24日水曜日。台風10号迷走中。Uターンしてついには上陸大暴れした10号ですが、24日は、東京には影響なかったし、台風9号は北海道に上陸後、北の海に抜けていきました。雨でもかんかん照りでもなく、曇り日、まあまあな天気かと、江戸東京博物館に出かけました。息子がもらった招待券を「あんたは、どうせ行かないままにして、招待券を無駄にしそうだから」と、横取りしたのです。無料大好きの母は、招待券を無駄にするようなことはしない。

 妖怪といえば、私には「一匹の妖怪がヨーロッパを徘徊している」という共産党宣言冒頭が思い浮かびます。司馬遼太郎の小説『妖怪』もすきです。司馬遼太郎作品、街道シリーズや「この国のかたち」などエッセイは好きだけれど小説はあまり読まずにいたのですが、彼の小説には数少ない室町代を描いた『妖怪』は、2度読みました。

 イマドキのお子様方には、なんと言っても妖怪ウォッチですし、ゲゲゲの鬼太郎に出てくるキャラを愛するアニメ世代もいることでしょう。
 私も小学生のころ、ノートのはじっこに自分なりの妖怪をデザインして描いていたことを思い出しました。どうやら、われわれには、「異界のもの」を愛するDNAが続いているらしい。
 
 江戸東京博の展示は前期後期で入れ替えがあり、見たかった奈良国立博物館が所蔵している国宝 「辟邪絵 (へきじゃえ)神虫」は、前期展示だったので、見ることができませんでした。江戸東京博の入り口に立ててある看板には、神虫が大きくでているのですが。



 伊藤若冲の「付喪神」も、前期だったので、私が見た8月24日には展示なし。


 私、ものを捨てずに使うほうなので、大事に使われた道具が99年たつと心を持つという付喪神が大好き。

 「これが見たい」と思った作品は展示替えになっていた妖怪たちですが、そのほかの妖怪たちも、かわいらしいのもあり、おどろおどろでおそろしいのもあり、楽しめました。

 会場の最後の展示は、土偶&妖怪ウォッチに出てくるキャラ「ジバニャン」たち。
 夏休み最後の「自由研究」に来たらしい親子連れ。子どもは「妖怪ウォッチがいちばんいい」と言っていました。そりゃそうだよね。
 でもさあ、だったら、江戸東京博じゃなくて、アニメやゲームに専念した方がよかったか。いやいや、きっといつか夏休みに親子で見た大妖怪展のことを思い出して、博物館解説が述べているように、「日本人が古くから抱いてきた、異界への恐れ、不安感、また〝身近なもの〟を慈しむ心が造形化されたもの、なる妖怪たち」を思い出すこともあるのでしょう。

 常設展の一角に、「山岡鉄斎と江戸無血開城」関連の展示があり、鉄舟遺愛の品や、鉄舟が設立した禅寺、全生庵が所蔵している伊藤晴雨の幽霊絵が展示されていました。



 伊藤晴雨の幽霊絵は、落語家五代目柳家小さんのコレクションで、禅生庵に寄贈されました。円朝幽霊絵と並び、幽霊絵の全生庵、私は山門前には行きましたが、中に入って円朝の墓参りなどしたことなかったので、次の谷中散歩のおりにはぜひ。


 晴雨といえば「責め絵」ということしか知らなかったので、幽霊絵もたくさん残していることを知らずにいました。寄席や芝居小屋との関わりも深く、芝居の看板絵なども描いていた晴雨。江戸風俗をあざやかに画の中に残しています。

 この企画は、スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫氏が伊藤の幽霊絵に惚れ込み、展示企画を持ち込んだ、ということで、江戸東京博物館所蔵の作品とともに、全生庵伊藤晴雨コレクションが特設コーナーとして並んでいました。

伊藤晴雨「明治時代の寄席」


<つづく>
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