20160913
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>台風散歩(3)古代ギリシャ展
9月になれば、さしもの残暑も少しはひくかと、出かけてみれば、こはいかに。やっぱり暑かったです。
暑いとき、建物の中に入ればなんとかすごせる美術館博物館はありがたい。無料観覧券で一日遊べるとなれば、ましてたっとし。
コハイカニとは。これは一体どうしたことだろう、という意味の語。浦島太郎の歌にでてきたのを、60年前のわれら小学生は「怖い蟹」と思って歌っていた、という笑い話なのですが、いまや小学生は浦島太郎の歌も知らない。
yokochannが、「くわばらくわばら」という瀕死語を書いていたので、たまには、現代の若者は使わない語をつかっておかないと、いずれ滅びるだろうと思って言ってみただけ。「こはいかに」はすでに完璧死語ですね。
今のこどもには、60年前は大昔。「それは古代か」と聞かれる。なんのなんの、古代ってのはね、紀元前6000年くらい前、いまから8000年も前のギリシャあたりから始まる。
9月3日土曜日は、古代ギリシャ展へ行きました。
土曜日だけれど、人の頭越しに見なければならないほどの大混雑ではなかったし、土曜日は8時までやっているので、7時半に入場ストップになったあとは、ひとりで一品独占して眺めていられました。
目玉作品の「漁夫のフレスコ画 テラ(サントリーニ島)、アクロティリの集落、「西の家」(5室)より出土 前17世紀 テラ先史博物館 」ミノス文明期
漁夫のフレスコ画のマネして、神への捧げものの魚を手に持って撮影できるコーナーがあったので、さっそくまねっこ。自撮り大好きの私ですが、カメラを置く台になるものがなく、カバンの上にカメラを置いて撮影したので、ちょっと角度がわるかった。
どう見ても、古代の女神でも漁夫でもなく、「魚食べ過ぎた老婆像ですが、いいんです。自撮り大好きですから。
展示は
第1章 古代ギリシャ世界のはじまり
第2章 ミノス文明
第3章 ミュケナイ文明
第4章 幾何学様式~アルカイック時代
第5章 クラシック時代
第6章 古代オリンピック
第7章 マケドニア王国
第8章 ヘレニズムとローマ
紀元前6000年の時代から、ヘレニズム、ローマを経て、クレオパトラ7世の死に終わるギリシャ世界。時代順の展示でわかりやすい並べ方でした。(クレオパトラはエジプトの女王ですが、マケドニア人プトレマイオスが建てた王朝の最後の女王。ギリシャ、マケドニアの文化を引き継ぎました)
<ミノス文明>
・牡牛像 1個 クレタ島、フェストスの神域より出土 前1200~前1100年頃(後期ミノスIII期) イラクリオン考古学博物館
<幾何学様式アルカイック時代>
・幾何学様式ピュクシス 1合 アッティカ工房、「アテネ1668の画家」のグループ アテネ、ケラメイコス墓地より出土 前750~前725年 アテネ国立考古学博物館
入れ物下部の模様、卍のかたち、古代インド発祥ですが、ギリシャでは太陽光線をあらわしたのだとか。日本の地図記号では寺院をあらわしましたが、ナチスハーゲンクロイツのマークと誤解されるのを恐れて、外国人向けの地図記号は三重塔に変わるそうです。古代ギリシャだって卍マークを壺に描いていた、というようなことも知らない西欧人のために、日本は「お・も・て・な・し」の心で、地図マークも変えるし、日本語よりも英語教育に力をいれるみたいだし、次の五輪準備もたいへんね。
・セイレーンを表わした装飾留め具 1個 アルゴス工房
古代オリンピアの競技場より出土 前775~前750年前 オリンピア、オリンピック歴史博物館
・セイレーンを表わした装飾留め具 1個 コリントス工房
古代オリンピアの競技場より出土 前7世紀初め オリンピア考古学博物館
その歌声の魔力で、船乗りを海や川の中に引き込んだと言われるセイレーン。英語だとサイレン。私の子どものころのギリシャ神話挿絵では、すでにセイレーンは下半身魚でした。古代ギリシャでは、鳥だったのね。
・古典時代
奉納浮彫り アポロン、アルテミス、レト 1基 アテネ、プラカ地区より出土 前5世紀後半 大理石 高70㎝ 幅69㎝ アテネ国立考古学博物館
こどものころ、子ども向けにアレンジされた「ギリシャ神話」は大好きなお話でしたし、大人になって、ホメロスもギリシャ悲劇も読んで親しみ、古代ギリシャは日本の原始時代や古代に比べてずっと親しんだ文明でした。
こうして、博物館に並んだ300点以上のギリシャの陶器や彫像、金貨、アクセサリーを眺めてきて、家に帰ってみれば、さて、どれが何だったっけ、とさっぱりわからないのです。
椅子に座っているのはアポロンで、アポロンの方に手を置くのがアルテミスだとして、さて、ゼウスとの間にアポロンとアルテミスを生んだレトは、どんな顔だったのかしら。この浮き彫りもきっとゼウス正妻ヘラの嫉妬のためにレトの顔が欠けてしまったのだろうな。
五輪年であるからして、古代オリンピックが第6章として、特集されていました。古代オリンピック競技の復元ビデオが上映されていました。しかし、再現ビデオとしては不満。古代オリンピックでは、競技者は神の前にひとつの偽りもなく競技を奉納するために、完璧全裸で競技した、と解説が書いてあるのに、再現ビデオではふんどしを絞めていました。ま、神じゃなくて人間に見せるためのビデオだからいいんだけれどね。やっぱりここはひとつ古代のまんま再現してほしかった。って、裸を見たいだけじゃん、ってか。いえいえ、古代ギリシャに敬意を表しているのですよ。
<つづく>