20190103
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2019十九文屋日記正月(2)しし年
干支もお国柄によってさまざま。日本では亥年であり、イノシシのかわりに獅子の図柄も喜ばれます。
しかし、中国台湾朝鮮半島東南アジアでは今年は「豚年」。豚は金運上昇を象徴する縁起のよい動物で、豚の置物、豚の貯金箱などは、例年にも増して競って買い求められます。
干支が中国から伝わったとき、日本では豚から猪に変えられた事情には諸説ありますが、家畜としての豚よりも、山野を駆け巡る猪のほうに「神とのつながり」を感じる心情を持つ民俗が定着していた、という説に一票。
神社の「神の使い」として、鼠から犬まで、それぞれの像を見ることができます。一般的な狛犬狛狐のほか、京都の大豊神社には「狛鼠(こまねずみ)」がいますし、太宰府天満宮の神使は「牛」、住吉大社やさいたま市の調神社 は「狛兎(こまうさぎ)」、伊勢神宮はニワトリです。
干支にはない狛狐、狛狼も神の使いとして神社に鎮座しています。秋の京都旅行での最後に行った松尾大社の使いは亀。毘沙門天の神の使いはなんとムカデ。しかし、豚の石像などを神社で見た人は少ないんじゃないでしょうか。
対して猪は、摩利支天の乗り物であり、京都南禅寺の塔頭のひとつ聴松院では、「三面六臂で頭に宝塔宝冠を戴いた摩利支天が甲冑を着け、七頭の亥(猪)の背に座す」という華々しさ。(秋の京都旅行では聴松院は拝観しませんでしたけれど)
牛馬、犬猿、鶏兎、それぞれ家畜にはなっているけれど、国土の70%が野山であった日本の地で、それぞれの動物は野生のものも山にいて、神の使いと信じられてきました。しかし、豚だけは日本に「野ブタ」の生息地は見当たらず、海外の野ブタも、家畜が逃げ出して再野生化したものが知られるのみ。私たちには、山に野生動物としているものが神の使いと感じられ、もともと家畜である豚に神性を感じられないのかもしれません。
神社に祭られている豚の像は、全国でも武蔵御嶽神社にあるのみ。この豚像は左右一対の神使猪像が1808年に奉納されたのち、1996年に復元されたさい、左像だけが豚像になったそうで、なぜ猪を豚に変えたのかは不明。
武蔵御嶽神社の狛豚

昨今、若い人もパワースポットめぐりがはやりとか。今年は、全国の「神社にある猪像」めぐりなぞしてみたら、金運上昇かもしれません。あ、金運がつくのは豚のほうですよね。
では、猪に乗る摩利支天めぐりを。
摩利支天は、古代インドの女神マーリーチがもとになっています。「陽炎、威光」の神格化。常に陽光(天日・月日)の先を進み、進路の障害になる災難や厄を払うことができます。陽炎のように実体がないので、他から害されることなく光や時間を守るからです。
京都南禅寺聴松院の摩利支天像。7頭の猪がなんともいさましく猪突猛進していく勢いです。

皆様の2019年のご運も、摩利支天のお守りによって災難も厄も打ち払い、ずんずんと進んでいかれますように。ただし、マーリーチは本来実体がない。ないものを信じるか否かは、それぞれの心持によります。
私は多神教で、この世におわすすべての神仏は、私を守るために存在していると信じていますから、もちろん摩利支天もイノシシも私を守ってくれると信じております。信じよ。さらば進みゆかん。
箱根の山道、山の神、がんばれ。今年も正月はニューイヤー駅伝と箱根駅伝応援。今年ふるさと群馬は駅伝日和。箱根駅伝は私、娘、夫の出身校揃い踏みで応援も熱が入ります。
猪突猛進とはいかないでしょうが、ゆるゆると歩んでまいります。
<つづく>
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2019十九文屋日記正月(2)しし年
干支もお国柄によってさまざま。日本では亥年であり、イノシシのかわりに獅子の図柄も喜ばれます。
しかし、中国台湾朝鮮半島東南アジアでは今年は「豚年」。豚は金運上昇を象徴する縁起のよい動物で、豚の置物、豚の貯金箱などは、例年にも増して競って買い求められます。
干支が中国から伝わったとき、日本では豚から猪に変えられた事情には諸説ありますが、家畜としての豚よりも、山野を駆け巡る猪のほうに「神とのつながり」を感じる心情を持つ民俗が定着していた、という説に一票。
神社の「神の使い」として、鼠から犬まで、それぞれの像を見ることができます。一般的な狛犬狛狐のほか、京都の大豊神社には「狛鼠(こまねずみ)」がいますし、太宰府天満宮の神使は「牛」、住吉大社やさいたま市の調神社 は「狛兎(こまうさぎ)」、伊勢神宮はニワトリです。
干支にはない狛狐、狛狼も神の使いとして神社に鎮座しています。秋の京都旅行での最後に行った松尾大社の使いは亀。毘沙門天の神の使いはなんとムカデ。しかし、豚の石像などを神社で見た人は少ないんじゃないでしょうか。
対して猪は、摩利支天の乗り物であり、京都南禅寺の塔頭のひとつ聴松院では、「三面六臂で頭に宝塔宝冠を戴いた摩利支天が甲冑を着け、七頭の亥(猪)の背に座す」という華々しさ。(秋の京都旅行では聴松院は拝観しませんでしたけれど)
牛馬、犬猿、鶏兎、それぞれ家畜にはなっているけれど、国土の70%が野山であった日本の地で、それぞれの動物は野生のものも山にいて、神の使いと信じられてきました。しかし、豚だけは日本に「野ブタ」の生息地は見当たらず、海外の野ブタも、家畜が逃げ出して再野生化したものが知られるのみ。私たちには、山に野生動物としているものが神の使いと感じられ、もともと家畜である豚に神性を感じられないのかもしれません。
神社に祭られている豚の像は、全国でも武蔵御嶽神社にあるのみ。この豚像は左右一対の神使猪像が1808年に奉納されたのち、1996年に復元されたさい、左像だけが豚像になったそうで、なぜ猪を豚に変えたのかは不明。
武蔵御嶽神社の狛豚

昨今、若い人もパワースポットめぐりがはやりとか。今年は、全国の「神社にある猪像」めぐりなぞしてみたら、金運上昇かもしれません。あ、金運がつくのは豚のほうですよね。
では、猪に乗る摩利支天めぐりを。
摩利支天は、古代インドの女神マーリーチがもとになっています。「陽炎、威光」の神格化。常に陽光(天日・月日)の先を進み、進路の障害になる災難や厄を払うことができます。陽炎のように実体がないので、他から害されることなく光や時間を守るからです。
京都南禅寺聴松院の摩利支天像。7頭の猪がなんともいさましく猪突猛進していく勢いです。

皆様の2019年のご運も、摩利支天のお守りによって災難も厄も打ち払い、ずんずんと進んでいかれますように。ただし、マーリーチは本来実体がない。ないものを信じるか否かは、それぞれの心持によります。
私は多神教で、この世におわすすべての神仏は、私を守るために存在していると信じていますから、もちろん摩利支天もイノシシも私を守ってくれると信じております。信じよ。さらば進みゆかん。
箱根の山道、山の神、がんばれ。今年も正月はニューイヤー駅伝と箱根駅伝応援。今年ふるさと群馬は駅伝日和。箱根駅伝は私、娘、夫の出身校揃い踏みで応援も熱が入ります。
猪突猛進とはいかないでしょうが、ゆるゆると歩んでまいります。
<つづく>