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ぽかぽか春庭「カンテレ&馬頭琴コンサート森と草原の響き」

2019-06-22 00:00:01 | エッセイ、コラム
20190622
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2019十九文屋日記夢音楽(4)カンテレ&馬頭琴コンサート森と草原の響き

 6月16日日曜日。会場1時半開演2時。北区田端ふれあい館ホールで、カンテレ&馬頭琴コンサートを聞きました。私の好きな無料コンサート。北区文化振興財団の主催で、ボランティアが進行を務めます。めったに演奏を聞くことのない馬頭琴とカンテラのデュオというので、楽しみにして出かけました。

 田端ふれあい館ホール


 ラウマは、2009年に結成。フィンランドの伝統楽器カンテレ(木の胴に張った弦を、指でつま弾いて奏でます)と、モンゴルの馬頭琴のデュオユニットです。ラウマは、フィンランドの世界遺産都市Raumaから命名。 

 デュオ:ユニット・RAUMA(ラウマ)画像借り物
・嵯峨治彦:馬頭琴。
・あらひろこ:カンテレ


  嵯峨治彦さんは、1971年青森県生まれ。大学進学時1989年から北海道居住。北海道大学理学部物理学科修士課程修了。宇宙物理学を専攻した異色のミュージシャンです。モンゴルの伝統歌唱法ホーミーを習得し、馬頭琴は、2001年にゴビ在住の遊牧民馬頭琴奏者ヨンドン・ネルグイ(モンゴル国人間文化財・第一文化功労者)から後継指名を受けた本格派です。ホーミーは、喉歌と訳され、のどの奥で共鳴させてふたつの音を同時に発声する、独特の歌い方をします。

 あらひろこさんは、1990年に北海道フィンランド協会の事務局を手伝い始めたことをきっかけに、カンテレという楽器を知り、5弦カンテレを弾き始めました。
1994年からフィンランドの民族音楽の地として知られる中西部の町カウスティネン(Kansanmusiikkiinstituutti)に一ヶ月滞在。またヘルシンキのシベリウスアカデミーにて、ハンヌ・サハ、シニッカ・ヤルヴィネン(コンティオ)らにカンテレとフィンランド民族音楽を学びました。帰国後、北海道を拠点に各地で演奏活動とカンテレ演奏指導を行っています。

 2時開演の前に、あらさんは、20分くらいかけて調律を念入りに行っていました。同じような撥弦楽器「楊琴」を中国の楽器屋さんで買おうとしたとき、演奏も簡単ではないが、調律がとてもむずかしい、と聞いて購入をあきらめたことがありました。あらさんの調律の丹念さを見ていて、私には無理だったと納得。チェコのチター、中国の楊琴などの撥弦楽器、とても好きな音色だけれど。

 調律中のあらひろこさん


 曲目リスト
・サリーガーデン:アイルランド伝統曲
・イェプアの行進曲:フィンランド伝統曲
・ハールガ:嵯峨治彦
・夏は来ぬ:小山作之助
・蚊取り線香とスイカ:嵯峨治彦
・茶摘み:唱歌
・夏のワルツ:アレ・メッレレ(スウェーデン)
・深い海:モンゴル伝統曲
・カルダクハマル峠:トカ・サルチャク(トゥバ)
・小さな空:武満徹
・トナカイの子守歌:マルティ・ポケラ(フィンランド)
・赤い鳥青い鳥白い鳥:成田為三・フィンランド伝統曲
・ナイト・フラワー:あらひろこ

 マイクを通してはありましたが、私は一番前の席でたぶん生の音を耳にできたと思います。カンテレはとてもひそやかな音でした。
 おふたりで曲目の解説をしながらの演奏。私はトゥバの伝統楽器チャンズの音色をはじめて聞きました。

 トゥバは、モンゴルと国境を接するロシア連邦内の共和国です。中国の清時代には「タンヌ・ウリャンカイ(唐努烏梁海)」と呼ばれて中国領土に編入されていましたが、ロシアと中国のせめぎあい、侵略の歴史を経て、現在はロシア連邦トゥバ共和国。バイカル湖の西に位置します。共和国内の7割がトゥバ族、3割はロシア人。

 モンゴルや中国内モンゴルの喉歌ホーミーと同じ、のどを共鳴させて二つの音程を発声する歌い方フーメイ(ホーメイ)があり、伝統楽器のてっぺんに馬の首がついているところも似ています。

 馬頭琴とトゥバの伝統楽器チャンズ
 

 チャンズは、ハート形の胴に三本の弦。中国の三絃から伝わったものが、日本(琉球)では三線(サンシン)、モンゴルでは シャンズ、 ロシア・バイカル湖あたりの チャンザ(チャンズ)となってそれぞれの伝統楽器になりました。

 馬頭琴のてっぺんについている馬の飾り。馬の下は龍が口を開けて、楽器を咥えています。


 ラウマはデュオとしての初CD「深い海」を発売中で、演奏後にはサインを入れながらCDを手売りしていました。私はCDを買わなかったのに、「馬頭琴を撮影してもいいですか」とお尋ねしたら、どうぞどうぞと撮らせてもらいました。

 フィンランドの夏の風、モンゴルやトゥバを渡る草原の音を感じられるようなすてきなコンサートでした。

 ひとつだけ残念なこと。わたしの右隣のおばさんは、嵯峨さんが曲の説明をはじめると、眼鏡ケースに入れてあったボールペンを取り出し、プログラムにメモを書き込む。それはいい。曲が始まって、カッチンという強い音をたててボールペンのふたをする。それからパッチンという音を立てて眼鏡ケースにボールペンをしまう。

 曲の説明のたびにメモ。そしてパッチン。私が隣だから気になるのだろうと思って我慢していましたが、コンサートが終わってから、私の左となりのふたりのおばさんが、「あの方、ひどかったわね。ご自分がすごい音だしているのは気にならないのでしょうけど、小さい子がちょっと声をだしたら、すごい顔でうしろ向いてにらみつけていたの」と、話し合っていました。ああ、あのパッチンが気になった人、私だけじゃなかったんだ。
 でも、幸いなことに、第2部がはじまったあと、パッチンのおばさんは気持ちよさそうに寝ていましたから、パッチンは、最初の一曲だけ。2部でもパッチンが続くようなら、ひとこと言ってしまうところでした。

 無料コンサートだから、いろんな人が聞きにくる。がまんも必要と思いましたが、次にこのパッチンおばさんを「まちかどコンサート」でみかけたら、近くに座らないように気をつけます。

<つづく>
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