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ぽかぽか春庭「東京楽友協会第94回コンサート」

2013-04-09 00:00:01 | エッセイ、コラム


2013/04/09
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>のんびり春休み2013春(6)東京楽友協会第94回コンサート

 春休み最後の行楽。7日日曜日は、恒例の「東京楽友協会交響楽団春期コンサート」に出かけました。午前中まで強風がごうごうと吹き渡っており、テレビの天気予報では「無用な外出は避けて下さい」と注意報が出ていたので、ぎりぎりまで迷っていました。お昼近くにはお日様も出てきたので、天気も収まったかと思って錦糸町のすみだトリフォニーホールへ出かけました。コンサート開演の13:30に2分遅れて、1曲めのウェーバー:「オベロン」序曲は会場に入れず、ロビー待機になってしまいました。

 東京楽友協会ずっとコンサートを聞いてきて、私にははじめてのピアノコンチェルト。会場は1階席2階席とも満員。空いているのは3階だけというので、私は3階バルコニー席の一番前を選びました。オーケストラのすぐわきの上の席で、音のバランスは中央のほうがよく響くのでしょうが、なんと言っても、指揮者の顔が見える位置なのです。
指揮者は橘直貴さん。

橘直貴さんサイト
http://www.naotakatachibana.com/

 2曲目のベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」。客演のピアニスト、イリーナ・メジューエワさんの演奏を聞いたのははじめてでしたが、とてもすばらしいピアノの響きでした。真っ赤なロングドレスがよく似合う美人ピアニストで、ほっそりしたスタイルですが、演奏は明晰華麗。オーケストラとも相性がよかったです。

 イリーナさんは、1975年生まれ。ロシアのゴーリキー(現在はニジニ・ノヴゴロド)出身。1997年、日本人プロデューサーとの結婚を機に日本を本拠地に活躍してきました。2012年から京都市立芸術大学講師として後進の指導を行っているそうです。

 満員の会場の大拍手で、イリーナさんは、アンコール独奏をサービス。ベートーベンの「エコセーズécossaise」。
 かわいらしい曲で、ピアノの発表会などでよく聞く曲です。フランス語の「エコセーズ」とは、「アイルランド風の舞曲」という意味で、タンゴとかワルツというのと同じ、踊りの種類。シューベルトやショパンもエコセーズを作曲しています。

ベートーベンのエコセーズは、こんな曲。イリーナさんの演奏ではありませんが。
http://www.youtube.com/watch?v=igprZiKpnHs

 休憩後は、エルガー「交響曲第2番」。私は、初めて聞きました。
 エルガーのひいき筋エドワード7世への献呈曲として企画されたけれど、曲の完成前に王は崩御。エドワード7世追悼曲として演奏されました。

 普段、あまり演奏されない曲ですし、アマチュアオーケストラにはちょっと難しい選曲なんだそうですが、指揮者の橘直貴さんの指導よろしきを得て、4楽章まですばらしい演奏でした。

 アマチュアオーケストラのコンサート。無料で聞かせてもらって、とても有り難いですから、せいいっぱいの拍手をおくりました。満員の会場からのいつもより盛大な拍手だったせいか、定期コンサートではこのところ演じられなかったアンコール曲演奏があって、ますますお得。おなじみの、エルガー「威風堂々」でした。

 約100年前に作曲されたこの曲、初演から16年後に、エルガー自身の指揮による初期電気録音のレコードが残されているというので、聞いて見ました。

70歳のエルガー指揮、ロンドン交響楽団の演奏。
第一楽章  http://www.youtube.com/watch?v=sNenHUtHVwU
第二楽章  http://www.youtube.com/watch?v=9xE-n00Y78g
第三楽章  http://www.youtube.com/watch?v=Fv7XqdVfnKI
第四楽章  http://www.youtube.com/watch?v=iY3L-IcSv9E
 
 これまでクラシックコンサートでバルコニー席にすわったことがなかったので、はじめての経験で、テレビ画面のように顔を見ながらの指揮ぶりをとくと見ることができました。ピアニストは中央上手に顔を向けて演奏するのが一般的なので、通常の席だと右手の動きはよく見えるけれど、左手は見えない。でも、バルコニー席からは左手のうごきがよく見えました。

3階バルコニー席からはこんなふうに見える。演奏が終わったところです。

第1パイオリンは、身を乗り出さないと見えないのが難点ですが、指揮者の顔はよく見えた。

コンサート終了後、指揮者は会場外に出て、プログラムへのサインとか、握手とかファンサービスにつとめていました。

気さくにファンからの「サインして!」に応じる橘さん、すてきでした。

 よい音楽にひたって、美人ピアニスト見てハンサムな指揮者見て目の保養もできたので、さあ、8日からは新学期。がんばります。
 
<おわり> 
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ぽかぽか春庭「はじめの一歩スタートのさくら咲く」

2013-04-07 00:00:01 | エッセイ、コラム
3月20日

013/04/06
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>のんびり春休み2013春(4)はじめの一歩スタートのさくら咲く

 この時期、美術館博物館は、桜にちなんだ絵を展示することがおおいです。桜散歩とともに、桜アート散歩も楽しい。 
 東京近代美術館工芸館では『花咲く工芸』という花をモチーフにした工芸作品を展示していました。(2013年2月19日(火)~5月6日(月))
 着物の絵柄、焼き物の意匠、さまざまな工芸品に、桜模様が花開いています。


 松岡美術館も、春の会期はたいてい「花鳥画」をテーマにして展示します。今年の「花・鳥しあわせの予感」は、2月にぐるっとパス利用で見て、4月5日に招待券もらったので見て、2度みました。


 4月の新入学新入社、転勤など、人生の節目が桜に彩られてきました。9月入学を開始する大学も出てきて、外資系などでは4月一斉入社というのを行わないところもあるしで、桜に祝われるスタートに郷愁を覚える人も少なくなっていくのかも知れません。でもやはり、ひとり散歩で花を見歩くにも、新しい門出の人たちに出会うと、心はずむ思いがします。

 この春は、4月5日に芸大美術館に見に行ったら、芸大の入学式に行きあいました。音楽学部内の(新)奏楽堂での入学式を終えた人たちが、ごったがえす正門前で、親子家族並んで写真を撮っているようすを見ていると、ちょっぴり緊張もある新入生に比べ、親御さんの手放しのうれしそうな表情が印象的でした。
 クラブ勧誘のために庭でサンバチームやアイルランドバグパイプなどのサークルが演奏しているのを聞きました。

上野公園に移築された旧奏楽堂の前の桜


 今期の「コレクション展」おめあては、上村松園『序の舞』一点ですが、ほかにも見応えのある所蔵作品が並べられていました。(4月5日-5月6日)


 芸大は1898年以来、100年にわたって卒業制作自画像を買い取るのが慣例になっていました。100年の自画像のうち、展覧会のたびに貸し出されて展示される作品もあるし、まったく忘れ去られている顔もあるでしょう。
 さて、2013年の新入生たち、音楽家の卵美術家の卵のうち、100年後に大きく羽ばたくのはどの自画像でしょうか。むろん、新入生つきそいの両親家族たちは、「うちの子が一番」と思っているにちがいありません。

 私が芸大コレクション展を見ていたその日、我が息子は、文学部歴史学科新入生歓迎行事のひとつである「歴史民俗博物館見学」案内つきそい係として佐倉まで出かけていました。博士後期課程に所属する学生に課せられたお仕事なんだそうです。
 新入生お世話係の仕事をめんどうくさがる息子に「あなただって新入生のときは、先輩にいろいろ世話してもらったのだから、おかえしでしょ」と言うと、「ぼくは、学部新入生歓迎行事なんかに行かなかった」と答えます。
 そういえば、2007年の息子入学式のとき、私は中国赴任中で、息子が入学する気になったのやらも知らずに仕事していたのでした。

 16歳で高卒認定試験に合格して、以後は2年間ひきこもり、だった息子。センター試験で受けられる私立の歴史学科に合格しても、大学に行く気になるかどうかはわからないと、暗い顔をしていました。3月に中国へ赴任し、はたして入学式にいったのやらと思っていたら、入学式の写真を姉娘が送ってくれました。一応入学したことはわかりましたが、その後大学に通っているのかどうかもまったくわからないまま帰国。
 入学後も人づきあいせずにすごした息子が、卒業式には総代に選ばれたと聞いて、それなら卒業式は出たいと思ったら、3.11のあと、卒業式中止。

 「バス見学についていくのがしんどい」なんぞとほざいている息子は、それでもちょっとは明るくなって、人付き合いもできるようになったのかと思います。
 はたして無事に博士号がとれるのやら、これから先も思いやられますが、ぴかぴかの新入生たちといっしょに輝いてほしいです。

 スタートに立ったどの子にも、その家族にも「花咲け、鳥鳴け、しあわせの予感」を感じてほしいと思いつつ、今年は入学式に名残の桜が間に合った芸大の門を出ました。

ご近所散歩の桜
音無川

旧醸造試験場

十条倉庫

新宿文化センター付近。水織ゆみコンサートへ行く途中


<つづく>
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ぽかぽか春庭「桜散歩」

2013-04-06 00:00:01 | エッセイ、コラム
東御苑

2013/04/06
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>のんびり春休み2013春(3)桜散歩私の好きな桜景色

 今年は、寒い冬のあと、思いがけず早めの開花宣言が16日に出ました。月末までに花は全部地ってしまうだろう、と思ったら、咲いた後寒さが戻ったために花が長持ちして、私は、18日から31日まであちこちを歩きまわって桜を楽しむことができました。

 私の花見は、文字通り見て歩くだけの「おさんぽ花見」ですが、人々が皆で集まってシートを敷き、食べたり飲んだりするようすを見物するのも好きです。平和だなあと思います。よい光景です。
 花見は、豊作の予祝行事。秋の実りを願う人々の祈りが込められています。私も「みんなの人生がそれぞれに豊作であれ」と思いながら、歩きました。

 都内にも桜名所はいろいろありますが、私が好きな桜たち。

飯田橋ラムラ西口

近代美術館前

平河門

東御苑

工芸館

千鳥ヶ淵

北の丸公園北桔梗門前のしだれ桜


『女うたの桜』
・清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人みなうつくしき(与謝野晶子・みだれ髪)
・桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命(いのち)をかけてわが眺めたり(岡本かの子・浴身)
・城門の閉まるを告げて打つ太鼓夕桜なほ燿ひてあり(初井しず枝・夏木立)
・昔とはどこより昔 桜より遠くは見せぬ春の曇りは(築地正子・鷺の書)
・山辺には万朶のさくらひとりねて夢に風吹くなにぞさびしき(山中智恵子・喝食天)
・さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり(馬場あき子・桜花伝承)
・抱(いだ)かれてこの世の初めに見たる白 花極まりて桜なりしか(稲葉京子・槐の傘)
・警報機鳴るやもしれぬうつし世のさくらのやみのにほふばかりを(永井陽子・なよたけ拾遺)
・さくらさくらさくら咲き初め咲き終わりなにもなかったような公園(俵万智・サラダ記念日)
・三百五十の闇夜を抜けて桜勁しかならず年の雨に遭ふ花(辰巳泰子2005)
・押しひらくちから蕾に秘められて万の桜はふるえつつ咲く(松平盟子)


上野山
・一葉も見し上野山の糸桜明日質入れの帯締めて見る(春庭2005)

近代美術館前(皇居一周マラソンが盛んな日)
・しだれ桜垂れてお堀に枝うつす平河門まえランナーとび去る(2013)
近代美術館(中村彝の作品前で)
・ニッポンの桜をいかに刻みしかエロシェンコ像目つぶりしまま(2013)
新宿二丁目(チーママにかわりて詠める)
・老いてなお夜桜に寄す秘め心あの人はいまあの人は今(2013)

 さまざまな桜。
 3月30日に歩いた大手町駅-東御苑-北の丸公園-飯田橋。歩いたといっても、せいぜい2km。
 歩いているうちにはおなかがすきますから、途中の露天店で鮎の塩焼きとさざえ串焼きを買いました。シートを持ってきていないし、ベンチはカップルがすわっている。3人掛け4人掛けぐらいの幅のベンチで、あとひとりくらいかけられそうなスペースはあると思っても二人寄り添っているベンチにおじゃまするのは、遠慮しちゃいます。結局、ほおばりながら歩きました。お行儀悪いけれど、ものを食べながら歩いてはならぬとしつけてくださった父さん母さんに、いまは時代が変わったのよ、と、言い訳しながら。
このぶらぶら歩きの消費カロリーは200カロリー程度。お団子一本食べたら元の木阿弥とがまんして帰ったけれど、家に帰ってから甘納豆一袋とアーモンドチョコ一箱食べました。やせないね。

<つづく>
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ぽかぽか春庭「けんちく体操やってみた」

2013-04-04 00:00:01 | エッセイ、コラム
エッフェル塔 

2013/04/04
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>のんびり春休み2013春(3)けんちく体操やってみた

 3月16日土曜日。東京には開花宣言も出て、16日はぽかぽかの暖かい一日でした。地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅に集合した「埼玉県立美術館主催 都内建築見学会」の一行。案内役の建築学者米山勇先生の説明をうかがいながら、拓殖大学国際教育研究所(旧東方文化学院 内田祥三設計)、小石川銅御殿(北見米造設計施工)、文京区スポーツセンター(大谷幸夫設計)の三ヶ所を見学しました。建築見学報告はのちほど。

 今回の報告は、「けんちく体操」について。
 けんちく体操とは、米山先生が主宰する「建築物を身体で表現するパフォーマンス」です。

レインボウブリッジ

 世界中のユニークな建築物を、体を使ってその形や構造を表してみようという試みで、DVDも発売されています。各地でワークショップが行われて、身体による表現の楽しさを味わうとともに、建築に対する興味を引き起こす一石二鳥の教育プログラムです。

 3月9日に、埼玉県立美術館で今回の見学を前にしてレクチャーがあり、米山先生の講演の最後に、けんちく体操の紹介がありました。参加者は、建築を見学することを楽しむ人たちが集まっていますから、見ることが主体で、体を動かすことには興味がない。ほとんどの人は「けんちく体操」といわれても、「ええ~っ、ほんとうにやるのぉ」という反応でした。

 私は「身体表現命」のダンスおばはんですから、さっそくyoutubeで「けんちく体操」をチェックしました。うん、楽しそう。
http://www.youtube.com/watch?v=gz7hE6Wd4qQ
 東京タワーや都庁なら、私にもできそう、と、見学会さいごのワークショップで、どんなお題が出るのか、楽しみにしていました。

 文京スポーツセンター、外観について米山先生の解説を聞き、内部見学を終えて、スポーツセンター脇の公園でワークショップがはじまりました。レクチャー時に「動きやすい服装で来るように」という指示があり、みな、上着も脱いで、最初は「なんで建物見る会なのに、体を動かさなきゃなんないんだろう」という顔をしていましたが、まず、例題の「東京タワー」を一人ずつ、自分の形を作ってみました。
 「これ、イイネ賞」が米山先生から紹介されると一気に盛り上がり、あとは、皆生き生きと取り組みました。

 形は自由に表現していいので、建築への自分のイメージ、自分はこの建物をどう見たか、ということを表現するのだ、というヨネ先生の解説。アサヒスーパードライホール(通称ウ○コビル)のウ○コの形を、それぞれが体を斜めに倒したり、手をそよがせたりして表現するうちには、皆すっかり楽しい顔になっていました。

 二人組になると、お題は「東京ゲートブリッジ」。湾岸の新名所の橋です。恐竜のように見える部分の表現がちと難しくて、なかなか、「これ、イイネッ」にはなりませんでした。

  
 6人組で「築地本願寺」など、複雑な形をどう表すか、グループでああでもない、こうでもないとアイデアを出し合いながら形を作り、6人並んで合わせていきます。築地本願寺は、「これ、いいね次点」でした。

築地本願寺

 いつもなら60分から90分かけて行われるけんちく体操ワークショップですが、建築見学会終了後の時間をとってのことなので、30分のミニワークショップということで、参加者が「もっとやってみた~い」という気分になったところでおわりになりました。
 もとよりやる気満々だった私は、むろん「もっと続けてもいいのに」と思いました。茗荷谷駅への帰り道、「最初は、何やらせんだろって思ってたけれど、やってみたら、楽しかった」と、いう声が回りから聞こえました。

 新学期の「自主的な学びをうながす授業プログラム」に関して、アイディアが浮かびました。これまでも、日本語学や日本語教授法の教室で、「ゲームを取り入れた日本語学習」というワークショップを実施してきたのですが、私の授業でも、この「けんちく体操」をアレンジした「ことば体操」が出来ると思うのです。

 これまでも、漢字の基本を教えるために、留学生の前で「大」の字や「小」の字などを体を使って教えてきました。「大」の字は、前を向き、両手を水平にして、足を思い切って横に開く。「足」という字のときは、横を向いて手を前に突きだし、後ろ足を跳ね上げる。非漢字圏の学生に漢字の形を印象づけるための身体表現です。
 これを日本語教授法のクラスで、文字だけでなく、単語を一人で、ペアで、グループで表現するというワークショップをしてみようと思いつきました。

 「闘争」「雲」「愛」など、身体を使って表現させる。ジェスチャーではなく、ひとつの「形」で言葉の内容を表す身体表現、、まずは4月に実験してみましょう。「考える」という動詞をお題にしたら、みな、ロダンのあの形になるやもしれず、おもしろいものになるか、大失敗か、やってみなければ。
 「日本語について考える」という動機づけとして、これをやってみて、果たして日本語学を学ぶことに興味が持てるかどうかわかりませんが。

 ぽかぽか陽気の春の一日、とても有意義で楽しかったです。
 
<つづく>
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ぽかぽか春庭「水織ゆみコンサート春」

2013-04-03 00:00:01 | エッセイ、コラム


2013/04/03
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>のんびり春休み2013春(2)水織ゆみコンサート2013春

 ダンス仲間のシャンソン歌手、水織ゆみさんの歌、たびたび紹介してきましたが、今回は、サンケイリビング社主催の「シャンソン プチ・コンセール~printemps(春)」

 コンサートは、松任谷由実の「春よ来い」から始まりました。パステルカラーのピンクやオレンジの衣裳は、お花畑のよう。
 「花祭り」「パリのお嬢さん」などのおなじみの歌のあと、「商売やめた」という、すぐ客にほれてしまう港町の娼婦を主人公にした歌。ユーモアに包んだ水織さんの表現力に笑いながらも圧倒されました。

 一部の最後は、シャンソン教室のお弟子さんのひとり佐々木芙美子さんといっしょに「あなたがいれば」という曲を歌いました。
 第二部は、オーシャンゼリゼから。赤い帽子、赤いサングラスがかわいかった。

 水織さんの創作曲「喪中ハガキ」は、年末に届いたハガキを目に、さまざまな人の人生をしのぶ歌ですが、身近な人を亡くした人はみな泣いてしまう歌です。今回も私の両脇の女性がハンカチで目をぬぐっていました。
 フィナーレの曲では、最前列に座っているイケメンを舞台にあげて、ビニール袋に入ったさくらの花びらを「わたしの後ろから桜を咲かせて」と渡し、観客大爆笑のうちに、花吹雪が舞台に降りました。

 水織さんは、慶応大学哲学科美学卒業という歌手には珍しい出身ですが、フランス語の歌の訳詞、東京都北区の「ことぶき大学」の講師を勤めるなど、多彩な活動をしています。
 残念なことは、会場に若い世代はほとんどいなかったこと。若い人は、「おばあちゃまの介護で付き添ってきた孫」あたりがいるだけででした。
 シャンソンを聴いて楽しむ、歌って楽しむ世代は、圧倒的に「高齢化社会」です。

 水織さんは、毎年7月にNHKBSで放映されてきた、シャンソンの宴「パリ祭」にはここ20年来出演してきて、熱烈なファンもいるとはいえ、全国どこに行ってもその名が知られている、という歌手ではありません。これまで、自主リサイタルやコンサートを開き、また地方のイベントに呼ばれて地方のホールでコンサートを開いてきましたが、シャンソンという現在では地味な分野の歌手ですから、若い世代にも浸透するという歌手ではなかった。

 そもそもシャンソンとは、フランス語で「歌」という意味ですが、地元のフランスでも、もはやシャルル・アズナブール、イブ・モンタン、など一世を風靡した歌手の名を知らない世代が増えています。エディット・ピアフの名は、近年マリオン・コティヤールが演じた映画で復活しただろうけれど。

 戦後の一時期、ジャズとシャンソンは日本の「洋楽」の双璧として各地にジャズ喫茶やらシャンソンバーやらができました。しかし、21世紀の現在、メディアにはほとんど登場せず、若い世代の新しいスターは育たない。多くのシャンソニエは経営不振。シャンソンを愛好して聞き続ける人は高齢化。

 2012年末のNHK紅白歌合戦には、美輪明宏が77歳の「初参加歌手」として登場しました。美貌のシャンソン歌手としてデビューした美輪。 紅白では、存在感がすごかったですし、ヨイトマケの唄、感動的でした。
 来年も出場するなら、ぜひシャンソンを歌ってほしいです。
 サンケイリビング社のスタッフは「水織ゆみが紅白に出るまで応援する」と、連続コンサートの主催を決めたのだそうです。実現しますように。
 
 サンケイリビングと水織さんの御縁は、「専業主婦から歌手へ」という転身を取材したことから始まったのだそうです。
 水織さんがシャンソンコンクールで優勝したことをきっかけに歌手として活動をはじめたのは、30代も後半になってから。それから26年がすぎた、と、しみじみ歌の合間に語っていました。

 歌手になってからも、家業の失敗、住んでいた家も手放すという苦難の中、サンケイリビング社が運営しているカルチャースクールにシャンソン教室の講師として招かれました。
 水織さんは、歌のあいまのトークで、「歌声には人生や人格が表れます。わたしもっともっと人格を磨いていくことで、歌をよくしていきたい」という意味のお話をしていました。

 1984年にジャズダンス仲間の忘年会で水織さんの歌をはじめて聞いて以来、水織さんの苦労も間近で話を聞いてきました。家業の倒産、ご主人の病気など、つらい出来事も多々あったなか、ダンスのレッスンでのゆみさんは、いつもはつらつとしていました。
 「流れゆく水を織り上げるように歌いたい」という水織ゆみさん、これからも応援していきたいです。

 2013年6月、四谷区民ホールで行われる「水織ゆみプチコンセール夏」のチラシです。ローソンやチケットぴあで、チケット買えます。



<つづく>
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ぽかぽか春庭「オペラ君と見る夢」

2013-04-02 00:00:01 | エッセイ、コラム
区民オペラ「君と見る夢」

2013/04/02
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>のんびり春休み2013春(1)オペラ「君と見る夢」

 ダンス仲間のカメママさん、ダンスの他合唱団にも所属して歌ってきましたが、定年退職して以来、ますますいろいろな活動に加わっています。去年の秋からは「区民オペラ」の出演に情熱を傾けて練習してきました。
 「デパートのマネキン人形の役だから、20分もポーズとったままじっとしていなきゃならないの」というので、いったいどんなオペラなのかしら、と思いました。

 主役級はプロのオペラ歌手が選ばれましたが、合唱役も応募者の中からオーディションで決定するということでした。「厳しいオーディションなので、落とされるかも」と言いながら応募したカメママさん。
 応募者の多くは、区民合唱団に所属している人で、指揮者の坂本先生の指導を受けている人たち。「フタ開けてみたら、応募者が思ったより少なくて、応募した人はほぼ全員採用だった」とのことです。

 このオペラのための「君夢合唱団」、練習は最初は週2回でしたが、本番前は連日のリハーサルが続き、応募しようかどうか迷っていて見送ったほうのミサイルママは「私、こんな厳しい練習だと、仕事持ちながらじゃ無理だった。今回は観客のほうでよかった」と、言っていました。
 出演者の「参加代」は、12000円で、2日間の公演のチケットが2枚ずつ、4枚貰えます。

 ミサイルママといっしょに、3月9日に、区民オペラ「君と見る夢」を見ました。
改装された東京芸術劇場、大ホールは何度か入りましたが、プレイハウスは初めて入りました。私の席は2階バルコニー席。舞台に近く、出演者もよく見えました。

音楽監督・指揮:坂本和彦、台本・演出:高木達、作曲:吉岡弘行

 マサオとカズミは恋人同士。クリスマスのデートに、カズミはプロポーズを期待していましたが、マサオは待ち合わせの時間に遅れ、プレゼントも持っていませんでした。気まずいふたりがケンカしているうちに、デパートは閉店。店から出られなくなったふたりは、警備員の巡回を隠れてやりすごし、マネキンだけが立ち並ぶ無人の店内で一晩すごすことになってしまいました。

 些細なすれ違いから、お互いに相手の愛を疑うようになってしまったふたり。その猜疑心がミッドナイトキングという魔王を呼び出してしまい、カズミがさらわれます。サイとギとシンという三人組は、マサオに3つの試練を与え、マサオが試練を乗り越えられたらカズミを解放するというのですが、、、、やがて、そのデパートのマネキンが動きだし、、、、

 ふたりは、お互いの本当の姿を理解していなかったことに気付き、真の愛とは何かと考えるようになります。最後は、めでたく愛を確認するという「明るい希望に満ちたハッピーエンド」な物語ですが、これは「区制80周年」というお祝いのためのオペラなので、ラストシーンでは「この町で暮らしていこう」というわが区讃歌で終わります。演劇好きだという区長が、デパートの警備員役で出演するなど、お祝いムードもたっぷりでした。

 カメママさんは、デパートマネキンの役とこどもたちを迎えに行くママさんたちのひとりを演じました。マネキンたちはオペラが始まってから15分もじっとしている役です。片手を上げたままの人、腰を曲げたままの人。カメママさんは片手を頭に上げたまま見事にマネキンになりきっていました。
 ママさん役のときは、舞台前列中央の立ち位置で、このシーンでは主役。すごく目立ついい役でした。元高校の先生だったカメママさんが、子どもたちを温かく迎えるママという役柄にぴったりな雰囲気であることを、演出の先生が見抜いての抜擢だったのだろうと思います。

 カメママさん、たのしいオペラをありがとう。

<つづく>
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