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ぽかぽか春庭「留学生の帰国」

2013-11-10 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/11/10
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>授業参観の一日(2)留学生の帰国

 毎年、始めて出会う国の学生に教えるのを楽しみにしています。2014年度前期に新しく出会えた国、タジキスタン、モーリタニア、シオラレオネでした。「教え子の出身国コレクション」が増えました。
 後期は、新しく出会えた国はありませんでしたが、「この国出身の留学生、二人目」の国がありました。モザンビークとマケドニアです。

 前回のマケドニア留学生は、お父さんがマケドニア国籍、お母さんは日本人という留学生だったので、純マケドニア人は今回始めて、ということになります。頭も性格もとてもよい学生なのですが、周囲の日本人がマケドニアのことを全然知らない、ということに最初はちょっと腹を立てていました。

 「マケドニアの学生を迎えるのは二人目です」という私も、「日本といえばゲイシャふじやま」という程度の「マケドニアといえばアレキサンダー大王」としか思いつかなかったのです。彼は「アレキサンダーは、今から2400年も前の人物。現代にも著名なマケドニア人がいます」と主張しましたが、私は「著名なマケドニア人」を一人も知らず、申し訳ないことでした。しかも、「もとはユーゴスラビアでしたよね。あれれ?チェコスロバキアから別れたんでしたっけ」というお粗末さで、顰蹙を受けました。

 大多数の日本人のなか、マケドニア共和国、どこにあるどんな国か、正確に言える人は少ないかも。ギリシャの近くにあることは知っていた私など、まだしもましなほうかと。まして、アレキサンダー大王の名をいえる人でも、アレキサンダー大王の時代の古代マケドニア王国と現在のマケドニア共和国と直接のつながりはない、ということを知っている日本人は、さらに少ない。

 古代マケドニア王国には「古代マケドニア語」を話す人々が住んでいたのに対して、現在のマケドニア共和国の主な居住民族は「南スラブ語」を話しており、民族的なつながりはありません。ために、「マケドニアの国名を勝手に使うな」と息巻くギリシャとマケドニア共和国は仲が悪い。
 
 さまざまな出身の留学生を平等に扱うことは日本語教師にとって当然の心得ですが、どの国についても平等に知悉しているかというと、やはり手薄な国も出てきてしまい。マケドニアは知識少ないほうの国なのです。申し訳ない。

 モザンビークも、最初のモザンビーク出身留学生に出会ったときは、「織田信長につかえていた黒人はモザンビーク出身」という以外には「私は、前モザンビーク大統領シサノ氏の講演を聞いたことがある」ということしか、留学生に言えることがありませんでした。

 今回のモザンビーク出身留学生に対しては、「前回出会ったモザンビーク留学生は、もう国に戻りました。今後、有能な人材として活躍するでしょう」と言ってやれます。今回のモザンビーク留学生も、おそらく国で一二を争う優秀な学生だったと想像されます。教師たち一同、「なんて頭のいい学生なんだ」と感服しており、彼はとても賢そうな瞳を輝かせて日本語学習に取り組んでいます。

春庭教え子の国名コレクション2013(これまでに出会った国)
「アジア」=韓国、中国、台湾、モンゴル、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、バングラディシュ、インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスタン、イラン、イラク、トルコ、レバノン、シリア、ヨルダン、パレスチナ、イスラエル、サウジアラビア、クエート、アラブ首長国連邦、オマーン、バーレーン。
 アジアの国で、まだ出会っていないのは、中央アジアのいくつかの国と、ブータンの出身者。ブータン出身の学生、うちのクラスに来てくれないかな。

「アフリカ」=エジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、セネガル、モーリタニア、シオラレオネ、マリ、ガーナ、ナイジェリア、カメルーン、コンゴ共和国、エチオピア、スーダン、ケニア、ウガンダ、モザンビーク、南アフリカ。
 アフリカの赤道以南の国との出会いが少ないです。アフリカは第二のふるさとと思っているのに。

「ヨーロッパ」=ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、ラトビア、エルトリア、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、アイルランド、イギリス、オランダ、ベルギー、ドイツ、ポーランド、ハンガリー、スイス、オーストリア、フランス、スペイン、ポルトガル、イタリア、チェコ、クロアチア、ブルガリア、ルーマニア、ボスニアヘルツェゴビナ、ユーゴ、マケドニア、ギリシア。
 まだ出会っていない、モナコ、リヒテンシュタイン、アルバニアの留学生と出会う日はいつかしら。

「南北アメリカ」=カナダ、USA,メキシコ、キューバ、ドミニカ共和国、ジャマイカ、グァテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、パナマ、コロンビア、ベネズエラ、コスタリカ、ペルー、ブラジル、チリ、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン

「オセアニア」=オーストラリア、ニュージーランド、西サモア、パプアニューギニア、ソロモン
 まだ教えていない、バヌアツやパラオ共和国など、太平洋諸島からの留学生に会いたいです。

 我ながら、ずいぶんたくさんの国名だなと思います。国費留学生コースの教師をしていなかったら、ぜったいに覚えることがなかったろう、と思う国名も多い。

 留学生には、さまざまな困難が伴います。
 この10月に、日本にはほとんど報道されなかった交通事故がネパール山中でありました。ネパールの首都カトマンズから60kmほど離れた山岳地帯、ネパール西部ドティ地区で、10月12日未明、山中の道を走行中のバスが道路脇にはみ出して、数百メートル下に転落しました。地元警察当局者は30人が死亡、13人以上が負傷したと発表しましたが、死亡者負傷者はもっと増えたことでしょう。30名定員のバスに60名も乗っていたということで、負傷しないままの人がいたとは考えられませんから。

 このバスの乗客に、私のクラスの学生の家族がいました。家族全員が乗ったバス。最初の知らせでは、祖父母は即死、他の家族の安否不明。学生はすぐに帰国しました。
 同国人の友人に、葬儀などで1ヶ月は日本に戻れないと連絡があったそう。日本に戻れたとしても、家族全員が事故にあったというショックから立ち直るには相当の時間が必要と思います。
 クラスに戻ったら、いないあいだの手当を含め、手厚く配慮しなければと思うのですが、留学中の家族の事故、なんとも気の毒なことでした。

 去年教えた学生、何人かは、1年間の交換留学を終えて、この夏に帰国しました。10月22日にスイスの合唱団の歌声を聞いたので、スイス出身の学生に「歌声を聞いて、スイスの学生を思い出しましたよ」というメッセージをfacbookに書き込んだ返信です。2013年10月31日に届いたメール、漢字大好きの日本史専攻の学生の日本語文。原文のまま紹介します。
 2012年10月に来日し、初級クラスからはじめて、1年間の日本語学習で、すばらしい進歩を見せた学生です。
~~~~~~~~~~
 「先生!返事、ありがとうございます!
 ヘエエ!本当にたくさんの知らない人の前に、マイケルジャクソンの曲を踊りましたか?素晴しそう!おめでとうございました!!!
 私は、論文について、ちゃんと頑張っています!信じてくれてありがとうございます!
 日本に戻るとき、必ず連絡します!よろしくお願いします!
 こちらこそ、もしスイスに来たら、連絡してくださいね!」

~~~~~~~~~~
 実際に食べる前に「おいしく感じられる」と思ったら、「おいしそう」、実際に見ていない映画についてのコメントなら「おもしろそうです」と、「形容詞base+そうです」と言いなさいと教えたことを忠実に守って、実際に見ていない私のダンス舞台について、「素晴らしそう!」と、感想を述べています。

 他校学生の授業参観で不出来な授業を見られて、落ち込んで家に帰りましたが、留学生からのメールで「うん、私の授業を楽しんでくれた学生もいたのだから、これからもがんばろう」と、元気が出てきました。

 2009年に中国に赴任して教えたときの教え子たちは、その後4年間の日本留学生活を終えて博士号を取得し、それぞれの進路を得ています。日本の会社に就職してロボット研究を続けるという人、故国の大学に赴任して教師となるもの、それぞれが羽ばたいていきます。教え子の活躍、嬉しいです。

 ふるさとに帰った教え子からのメール(11/09受信)です。(地名を「赴任地」として変換したほかは、原文通り)
~~~~~~~~~~
 こんにちは。帰国から、もう一ヶ月経ちました。先生に連絡遅くなって、すみませんでした。
 僕は帰国後、すぐ赴任地に行くつもりでしたが、結局まだ故郷にいるんです。

 赴任地に行く前に、博士号の認定という手続きが必要です。その認定は二ヶ月頃かかりますので、その前に、待たなければならないです。大体今月末ぐらい、赴任地につけます。

 僕は日本で博士号を取って、順調に帰国して、両親はすごく嬉しいです。今、秋の末、僕の故郷では、サツマイモ、大根、里芋の収穫の季節です。僕は母と一緒にサツマイモ、大根、里芋を採って、すごく嬉しいです。

 時間がすごく速いです、四年の留学もう終わりました。その間に、日本政府と日本国民から、大変お世話になっておりました。帰国後、中日友好に協力したいです。
 先生もし時間があれば、ぜひ赴任地の大学に遊びに行きましょう。
 添付しているのは、僕の卒業式の写真です。

~~~~~~~~~~~

 息子の帰国を4年間待ち続けた母といっしょに、サツマイモや大根の収穫を手伝う姿を思い浮かべて、ご家族は博士号を得て帰国した息子がどれほど誇らしく嬉しいだろうと、私もいっしょに「すごく嬉しいです」の気持ちを味わいました。

 留学生活、日本で楽しい毎日をすごす学生もいます。バス事故で家族を失うというつらい思いの中帰国する学生もいます。
 どうか、日本での留学生活が人生に有意義なひとときであるようにと願っています。
 私は、私のできることを、ひとつひとつやって、できる限り彼らの日本語能力が伸びていくように、老骨鞭打って、克己奮励努力邁進します、、、、と言いながら、「授業参観したくなかったのに、嫌だって言えなかった」とか、愚痴もこぼすけれどね。

<おわり>
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ぽかぽか春庭「フルーツバスケット」

2013-11-09 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/11/09
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>授業参観の一日(1)フルーツバスケット

 10月31日に、授業参観がありました。他大学の日本語教師養成課程で学ぶ学生たちに対して自校の教師の授業を公開する、という「教育拠点校」の事業があり、仕事の一環として私の授業を公開せよと命じられました。

 私としては実に不満で、私の3倍以上の給与を得ている常勤の教授が授業参観に応じればいいでしょう、時給いくらでパートの授業を請け負っているしがない非常勤教師にそういう負担をさせるのは、いかがなものかと。
 しかし、「先方の希望日時は、木曜日です。初級クラスを見せて欲しいということなので、該当は先生のクラスですから、よろしくお願いします」と命じられれば、「はい、承知しました」と答えるしかない、弱い立場。

 常勤の先生の覚えめでたくなかったために、「来年カリキュラム変更になるので、来年度の先生の受け持ち授業はありません」とか、「当大学の留学生入学の定員を減らすので、先生のコマ数は1コマだけになります」と、これまでにも簡単に切られてきたのでね。
 1年契約のしがない非常勤講師。来年も同じコマ数を受け持てるとは限らず、いつ仕事がなくなるかもしれない弱い立場。「授業参観なんて、いやです」とか、文句言えない立場なんです。

 引き受けたものの、ずっと重い気分でした。「授業参観なんぞ、常勤の先生たち、教授や准教授が引き受ければいいじゃないの」という本音が言えない、その程度の人間なんだ私は。
 そこまで飛躍しなくてもと思うかもしれませんが、そういう人は、いじめられたことがない人。「いじめがいやなら、いやだと言えばいいじゃないか」と、大人たちがいじめられっ子を責めるのは間違っている。「いやだ」と言い出せるくらいなら、何も問題なんかおきない。

 万が一、再び大政翼賛の時代になって町内会長なんぞに「町内の意向に合わせてちゃんという事きいてくれないと、あんたんとこの配給を止める」と脅されたとする。「家族を飢えさせないために」と、たちまち「原発輸出バンザイ」とでも「特定秘密保護法さんせ~い」とでも言い出すような人間なんだ、私は、、、、。今、私が「原発反対」「戦争ぜったいに嫌だ」と言っていられるのは、生活を脅かされていないからに過ぎない、という現実をつきつけられて、落ち込むおちこむ。
 反論できなかった自分が情けないと嘆きつつ、参観者のために最近はとんと書いていない授業案など書き上げました。

 10月31日、他大学の学生の前でガタガタの下手な授業を披露しました。いつもの教室ではなく、見学者が入れるような大教室の授業だったので、AV機器やパソコンが普段とは異なる環境で、パソコン入力がうまくいかずにあせりまくり、留学生も見学者の前で緊張して声が小さいし、さっぱりうまく運ばない授業になりました。

 「動詞マス形から辞書形を導入する」というメインの教授項目もドリルの変換練習が中途半端だったし、読解授業もパソコン入力がうまくいかず、なんだかしまりのない授業になって、反省点ばかりが残りました。まあ、25年やっていても、この程度にしかならぬのだ、という反面教師としては役立ったかも。
 唯一楽しげにできたのは、フルーツバスケットゲーム。毎期1回は実施する「フルーツバスケット」を見学者も含めていっしょにやりました。 

 フルーツバスケットは、学習者が既習の文をいい、それに該当する参加者は「Be honest正直に」席をたち、椅子を交換するというゲームです。例として、はじめに「私は学生ではありません」と言う。学生ではない教師は席を立つ。引率者の教授と、お目付け役で授業を見ていた教授は椅子を交換。次は、「きのう、お寿司を食べました」と言うと、クラス留学生が席をたちました。クラス全員で回転寿司屋へ食べにいった、という話をきいていたので、お題を出したのです。空いた席に私がすわり、あとは、椅子がなかった学生や教師が発言していきます。「日本の食べ物が好きです」など。

 見学者からまだ習っていない単語が出てくることもありましたが、そのときは英語で解説して、10~15分くらい、フルーツバスケットを続けました。
 ま、これだけでも「留学生に既習の文を言わせたり聞き取らせたりする練習」を見てもらえたので、何らかの参考にはなったでしょう。

 見学者たちは初級のクラスをはじめて見たそうで、10月初旬に来日してたった1ヶ月で日本語での自己紹介や対話、文のききとりができていることに驚いた、という感想だったそうです。確かに、1ヶ月の学習で、日本の中学生が中1の4月から英語を習い始めて2学期終了時点で覚えたくらいの分量は、日本語の文法や単語を詰め込んでいるのです。集中コースという名称以上の詰め込みをやっているのに、よくついてきて学習している留学生たち。

 優秀な学生たちのおかげで、なんとか授業参観も無事おわり、11月の連休に入れたのでした。

 終わってみれば、嫌だ嫌だと思っていた授業参観も、自分の不出来さを確認する自省のためにはよい機会でした。学生からは「先生のクラスはいつも楽しい」なんぞと言われて、ついつい自分のダメな部分の反省が少なくなっていたところなので。

 それに、「いやだと言えない自分」についても、当初とは違う感想も出てきました。授業参観はいやだと言ってみた場合、不利益をこうむるのは私だけです。せいぜい来年の仕事が減るかもという程度の不利益。
 でも、原発反対、戦争反対、秘密保護法反対、というのは、私の生存に関わるだけの問題ではありません。仕事のあるなしは、私が食っていけるかどうかの問題で経済問題ですが、大政翼賛に賛同するかどうかは、私の存在理由アイデンティティの問題です。自分が決めた自分の方針を曲げるくらいなら、私の存在理由がなくなってしまう。

 「授業参観いやです」は言えなかったけれど、原発反対、秘密保護法反対は、私がどうなろうとも、言います。もう娘息子も成人し、私が食べさせなくてもなんとか生きていくでしょうし、本人が生き方を選ぶでしょう。私はわたしの生き方を選ぶ。「秘密保護法に反対」「原発に反対」これは、私の生き方です。

<つづく>
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ぽかぽか春庭「作文発表会・10年前の日本語教室4」

2013-11-07 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/11/07
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003年11月の日記(4)作文発表会ニッポニアニッポン語教師日誌4

 10年前の日本語教室の記録です。

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2003/11/27木 晴れ 1063
ニッポニア教師日誌>作文発表会

 作文、日本事情2コマ。今日は作文の後半で「いままで書いた作文の発表会」を行った。
 今年、システム変更で作文クラスの学生数が半分になった。おかげで、添削する時間もとれたので、今までになくたくさんの作文を書かせた。

 学生は「A4版原稿用紙50枚つづりを買ったときには、こんなにたくさん紙があっても余ってしまうだろうと思った。まさか50枚全部紙が終わるとは思わなかった」という。下書きと清書で全部で50枚が終わり、足りなくなった人もいる。

 丸谷才一の持論「子どもに作文を書かせて、添削してやろうとか、感想を一言かいてやろうと思うから、教師は子どもに作文を書かせたがらなくなる。添削も感想もいらないから、ただひたすらどんどん書かせれば、自然に上達する。」

 私は自分の方針として、書かせたら必ず添削をして、つまらないコメントでもひとこと書き添える。時間がかかるが、どんどん書かせる。
 それで、「読めば読んだ分だけ読解力がつく」「書けば書くほど作文力があがる」と、いうことは実感できる。量が質をたかめることといういうことは、2チャンネルロゴだけでなく、いくらでもあある。

 ひとつずつ気に入った作文を選んで、朗読発表を行った。本当はひとこと感想を言うことができたらよかったが、来週文集作りの時間があまったら、感想コーナーを作ろう。

本日のかみ:原稿用紙50枚書くうちに上達する作文。教師の指導ではなく紙のおかげ

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2003/11/28 金 曇り 1062
ニッポニア教師日誌>デパート買い物シーン

 ビデオ会話3コマ。
 今日から中国からの学生がひとり増えた。ちょうど12課のビデオに「ひさしぶりに会った友人に、新しい友だちを紹介する」というシーンがあったので、ビデオを見てから「ともだちを紹介する」という練習。

 新入生は食品安全学専攻。中国にとって、必須の学問だろうと思う。農薬や添加物の混ざった食品を輸入したら、自分のクビを絞める結果になりかねないから、中国の農産業にとって必要不可欠。

 大学院院生として留学している他の学生と異なり、彼女は研究留学生だから、日本語学習は必須ではない。しかし、研究のためには日本語学習が必要と自分で判断し、指導教官を通じて申し込んできたのだという。「みんなのにほんご」を7課までしか終わっていないが、熱心な人なのでこれまでの遅れに追いつくだろう。文法事項の理解はしているが、会話経験がないので、まだ発話に慣れていない。

 今日は、SFJ10課のビデオのデパートシーンを見てから、買い物ごっこを再現。新入生に客の役を、ジジとニューにデパート店員の役をやらせる。私がエレベーターガールの役。
 行き先の階をエレベーターガールに告げるところから、スタート。「東京デパートご利用ただきましてありがとうございます。はい、3階でございますね。かしこまりました。3階紳士服売り場、とまります。おあとございませんか。」と、エレベ-ターガールの口調で。新入生ショウおずおずと「5カイ」「はい、5階、婦人服売り場へまいります」

 婦人服コーナー担当のニューは「いらっしゃいませえ」とはりきる。ショウさんもまわらない口でいっしょうけんめい「もう少し大きいサイズのセーターがありますか」「色はいいけど、デザインがちょっと」など、10課の文型を言う。

 ジジはレジ係りの役。「○○円お預かりします」「○○円のおかえしです」などの、買い物ごっこセリフはすっかり忘れていたが、なんとか無事買い物がすんだので、「ジジさんはとてもよいデパート店員でした。ジジさんは、国にかえったら、デパートの店員になります」と、今日のもうひとつの新文型「~になります」を使ってほめると、みな笑う。
 将来ジジがなるとしたら、デパートのオーナーか、商業大臣くらいであろうと、学生達は承知している。

本日のひがみ:教える教師は、しがない非常勤講師でも、教わる学生たちは、各国家よりぬきのエリートたち
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2013/11/06 
 25年間に教えた留学生たち、それぞれの母国に帰って活躍している学生もいるし、日本に残って就職した学生もいる。日本語を学び続ける学生もいるし、就職の手段に使ったあとはすっかり日本語を忘れてしまう学生もいる。
 学生との出会いはさまざまで、その後の音沙汰も、クリスマスカードを送ってくる人、メールで近況を知らせてくる人、さっぱり音沙汰なしの人。いろいろです。

 でも、「日本語と格闘した日々」が人生の一コマとして心の中に残っていればいいなあ、と思います。
 「日本にいたとき、そういや、やけに元気いっぱいで、大声で話す先生もいたっけなあ」なんていうおぼろな思い出の中に私の姿があれば、それで私はうれしいのです。

<おわり>
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ぽかぽか春庭「模擬授業・10年前の日本語教室3」

2013-11-06 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/11/06
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003年11月の日記(3)模擬授業・ニッポニアニッポン語教師日誌3

 10年前の日本語教室記録です。
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2003/11/26 水 晴れ 1060
ニッポニア教師日誌>模擬授業

 教授法2コマ。今日から3週連続で、模擬授業を行う。
 学生には、
 1)日本語学校、ボランティア日本語教室、大学の日本語別科など、どこでもいいから日本語教育機関のクラスを見学し、レポートを提出(日本語学校へ電話をかけ、見学申し込みを受け入れて貰うのも、勉強のうち
 2)4人組の班ごとに「自分たちが運営しようとするクラスのコースデザイン」を提出 
 3)50分授業の個別指導案提出

 以上の3点セットを義務づけた。それだけでも相当ハード。
 それに加えて「表現力」養成として「自慢じゃないけど自慢です」という自慢話コーナーで、3分のスピーチ。ほかの人の発表を聞いたら、必ずコメントを書いて提出、というスケジュールを組んできた。

 模擬授業、前半の班は、先週急遽ピンチヒッターで順番をかわったHiチーム。Yaチームのひとりがインフルエンザでずっと欠席なので準備の連絡がとれないというので、順番を変更してもらった。

 ピンチヒッター、しかもトップだったので、準備不足の部分もあったが、チームティーチングを3人でやった。「動詞の名詞化」を教える授業。「こと」と「の」の使い分けなど、留学生には混乱が起きやすい文法項目だ。泳ぐという動詞を名詞化(nominaraization)すると、「泳ぐこと」「泳ぐの」のふたつの名詞ができる。
 
 「泳ぐのが好きです」は、「泳ぐことが好きです」と、言うことができる。しかし、「私の趣味は泳ぐことです」という分を「私の趣味は泳ぐのです」と、言うことはできない。

 そのあたりの文法事項を、学生もきちんと把握していないから、もし、留学生が「私の趣味は泳ぐのです」という発話をしたときに、教師として対処できなくなる。名詞化の「の」は、コピュラ「だ」「です」と共起できないことを、教授者が把握している必要がある。

 学生発表が終わってから、「私が、『こと』と『の』を導入するときは、こうやります」というサンプルを見せる

 「動詞の名詞化」を教える授業。「こと」と「の」の使い分けなど、留学生には混乱が起きやすい文法項目だ。泳ぐという動詞を名詞化(nominaraization)すると、「泳ぐこと」「泳ぐの」のふたつの名詞ができる。
 
 「泳ぐのが好きです」は、「泳ぐことが好きです」と、言うことができる。しかし、「私の趣味は泳ぐことです」という文を、「私の趣味は泳ぐのです」と、言うのは不自然だ。

 そのあたりの文法事項を、きちんと把握していないと、もし、留学生が「私の趣味は泳ぐのです」という発話をしたときに、教師として対処できなくなる。名詞化の「の」は、コピュラ「だ」「です」と共起できないことを、教授者が把握している必要がある。

 cf:「だれがなんと言おうと、私はいくのです」という場合の「の」は、また別。「いくんです」「だれが撮っても上手に写るんです」の「ん」は、説明的終助詞(ecplanated finel particle)の、「の」である。あ、話がややこしくなった。逃げないで下の授業実践を読んでね。春庭、「横綱土俵入り」を披露しているから。

 「私が、『こと』と『の』を導入するときは、こうやります」というサンプル。あくまで一例であり、さまざまな授業方法が存在する。

 以下の授業実践は、直接法(日本語だけで授業をする)に、媒介語(このクラスでは英語)を加えた、「折衷直接法」の授業である。

1,文字カードを準備。
 カードに「ピンポン」「バレーボール」「バスケットボール」「テニス」「ボクシング」「すもう」「Swimming」「Walking」「Watching」「Standing」「Taking photograph」などと書いてある。

2,日本語学習者をふたつのチームに分ける。カードを配り、ふたり一組になってジェスチャーを出題し、相手チームに何をしているか、あてさせる。あたったら、ポイントゲット。
 これは、カードの語句の意味を理解しているかどうか、確認するための遊び。

 「泳ぐこと」「写真をとること」などは、ジェスチャーで当てられるが、「立っていること」「見ること」などは、ジェスチャーが巧みでないと、答えが出にくい。ただ、じっと立ち続けるジェスチャーでは「立っていること」という答えが出ないのだ。

 「すもう」のジェスチャーなどは知らない学生もいるので、できそうな人にあてておく。学生ができないときは、教師がジェスチャーすると、みな大喜び。私は調子にのると、横綱土俵入りのジェスチャーまでサービス。

3,「I'd like you ask a question. Do you like this sports. Please answer it。質問します。答えてください.スポーツが好きですか」スポーツが好きそうな学生に質問する。学生は「好きです」と答える。

①テニスが好きそうな学習者に質問「テニスが好きですか」学習者の答え「はい、好きです」

②女子学生に質問「ボクシングが好きですか」好きだと答えたら「ボクシングがができますか」「いいえ、できません」「そうですか、○○さんは、ボクシングができません。○○san can not play boxing.」

③ わざと、すもうができるか聞いてみたりする。冗談で「できる」と答える学生がいたら、「Let's play the game. I am a Takamisakari , You are Asashoryu.」と、のせる。ふたりで、立ちあい「みあって、見合って、はっけよいのこった」と、立つまでをジェスチャーでやったり。がっぷり四つに組むのは、ちょっと遠慮。

4,教師「○○san, do you like watching TV?」
  学生「Yes, I do」
 教師「そう、好きなのね。日本語で言ってください」
 学生「好きです」
 教師「Please say full sentence.」
 学生「わたしはテレビを見るが 好きです」

5,教師「今の日本語は正しい日本語ではありません。もういちど、言ってください」
 学生「わたしはテレビをみるが、、、、」
 教師「ちがいます。『みるが』は、正しい日本語ではありません」
 学生「Ah!わかりません」

6,学生が間違えたら、すかさず、「こと」「の」を導入する。「Japanese verb nominaraization」の説明。「の」と「こと」の使い分けなどを説明。

7,「こと」を用いた、動詞の名詞化の練習。カードをみせながら、あるいは口答練習で「Walking →あるくこと」「Watching →みること」の変換練習

8「動詞~のが好きです/~のは好きじゃありません」の代入練習。「公園を歩くのが好きです」「テレビを見るのが好きです」「電車の中で立つのは好きじゃありません」などの文型を練習。

9「趣味は、動詞~ことです」の代入練習。
①「趣味はお酒を飲むことです」「趣味は映画を見ることです」「趣味は絵を描くことです」などの例文を練習。

②調子にのりやすい男子学生がいるクラスだと、「趣味は、女の人の写真をとることです」「趣味は女の人と話すことです」「趣味は、女の人といっしょにホテルへ行くことです」まで、エスカレート。

③乗りやすいクラスと、そうでないクラスでは、例文を使い分ける。やたらに「うけねらい」の文を発表しようと、はりきる学生がいるクラスがある。また、ちょっとでもふざけた文を言うと、ブーイングを出すまじめ学生のいるクラスも。
 教師も、クラスの個性にあわせて臨機応変に。

 今回の、私のデモンストレーション授業でも、いちばん受けたのは、すもうのジェスチャーだった。学生のひとりが、「日本語教師はジェスチャーの練習もしておかなきゃなりませんね」というので、「日本語教師は芸人を目指さなければ、やっていけません!」という、私の持論を披露。

 後半のOhチームは、各人工夫をこらして上手に授業をしていた。絵カード、復習プリント、CDプレーヤーなどの「教材教具」を使って、それぞれが持ち時間いっぱいに授業した。

 今日の学生の「自慢話」発表も、面白かった。
 3000円しかお金がなかったけど、大阪のたこやきを食べたくなって、京都までヒッチハイクで行き、帰りは夜行鈍行を乗り継いで、品川駅で駅員に「大井町から乗ったけど、切符落とした」といって、150円払って家に帰ったという話。

 ジャンボ尾崎の出身高校に在学していたという学生。「スポーツが盛んな学校で、自分も高校のとき剣道大会で優勝した」という話。

 そして演劇をやっている女子学生は練習を続けている殺陣を披露。
 始める前に黒板に殺陣と書いたので「ああ、たてやるの」と尋ねたら、「もう、先生は、すぐ言っちゃうんだから、これクイズなのに。ま、仕方がない、みなさん、これ、なんと読むかご存じですか、今のセンセのつぶやきは聞かなかったことにして考えてください」と、おこられちゃった。
 で、殺陣の型を見せてくれて、とてもかっこよかった。彼女が出演する次の公演も見にいく約束をしている。

本日のうらみ:「殺陣」の文字がクイズと思わなくて、つい読んでしまった。ごめんね、たまに読める漢字があると、うれしくて

2003/11/27木 晴れ 1063
ニッポニア教師日誌>作文発表会

 作文、日本事情2コマ。今日は作文の後半で「いままで書いた作文の発表会」を行った。
 今年、システム変更で作文クラスの学生数が半分になった。おかげで、添削する時間もとれたので、今までになくたくさんの作文を書かせた。

 学生は「A4版原稿用紙50枚つづりを買ったときには、こんなにたくさん紙があっても余ってしまうだろうと思った。まさか50枚全部紙が終わるとは思わなかった」という。下書きと清書で全部で50枚が終わり、足りなくなった人もいる。

 丸谷才一の持論「子どもに作文を書かせて、添削してやろうとか、感想を一言かいてやろうと思うから、教師は子どもに作文を書かせたがらなくなる。添削も感想もいらないから、ただひたすらどんどん書かせれば、自然に上達する。」

 私は自分の方針として、書かせたら必ず添削をして、つまらないコメントでもひとこと書き添える。時間がかかるが、どんどん書かせる。
 それで、「読めば読んだ分だけ読解力がつく」「書けば書くほど作文力があがる」と、いうことは実感できる。量が質をたかめることといういうことは、2チャンネルロゴだけでなく、いくらでもあある。

 ひとつずつ気に入った作文を選んで、朗読発表を行った。本当はひとこと感想を言うことができたらよかったが、来週文集作りの時間があまったら、感想コーナーを作ろう。

本日のかみ:原稿用紙50枚書くうちに上達する作文。教師の指導ではなく紙のおかげ

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2003/11/28 金 曇り 1062
ニッポニア教師日誌>デパート買い物シーン

 ビデオ会話3コマ。
 今日から中国からの学生がひとり増えた。ちょうど12課のビデオに「ひさしぶりに会った友人に、新しい友だちを紹介する」というシーンがあったので、ビデオを見てから「ともだちを紹介する」という練習。

 新入生は食品安全学専攻。中国にとって、必須の学問だろうと思う。農薬や添加物の混ざった食品を輸入したら、自分のクビを絞める結果になりかねないから、中国の農産業にとって必要不可欠。

 大学院院生として留学している他の学生と異なり、彼女は研究留学生だから、日本語学習は必須ではない。しかし、研究のためには日本語学習が必要と自分で判断し、指導教官を通じて申し込んできたのだという。「みんなのにほんご」を7課までしか終わっていないが、熱心な人なのでこれまでの遅れに追いつくだろう。文法事項の理解はしているが、会話経験がないので、まだ発話に慣れていない。

 今日は、SFJ10課のビデオのデパートシーンを見てから、買い物ごっこを再現。新入生に客の役を、ジジとニューにデパート店員の役をやらせる。私がエレベーターガールの役。
 行き先の階をエレベーターガールに告げるところから、スタート。「東京デパートご利用ただきましてありがとうございます。はい、3階でございますね。かしこまりました。3階紳士服売り場、とまります。おあとございませんか。」と、エレガ口調。新入生ショウおずおずと「5カイ」「はい、5階、婦人服売り場へまいります」

 婦人服コーナー担当のニューは「いらっしゃいませえ」とはりきる。ショウさんもまわらない口でいっしょうけんめい「もう少し大きいサイズのセーターがありますか」「色はいいけど、デザインがちょっと」など、10課の文型を言う。

 ジジはレジ係りの役。「○○円お預かりします」「○○円のおかえしです」などの、買い物ごっこセリフはすっかり忘れていたが、なんとか無事買い物がすんだので、「ジジさんはとてもよいデパート店員でした。ジジさんは、国にかえったら、デパートの店員になります」と、今日のもうひとつの新文型「~になります」を使ってほめると、みな笑う。
 将来ジジがなるとしたら、デパートのオーナーか、商業大臣くらいであろうと、学生達は承知している。

本日のひがみ:教える教師は、しがない非常勤講師でも、教わる学生たちは、各国家よりぬきのエリートたち
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<つづく>
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ぽかぽか春庭「動物園授業・10年前の日本語教室2」

2013-11-05 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/11/05
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003年11月のニッポニアニッポン語教師日誌(2)動物園授業

 10年前の日本語教室の記録です。
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2003/11/13 木 晴れときどき雨 1047
ニッポニア教師日誌>動物園で授業

 先週約束したとおり、1時に図書館の前で待っていたが、誰もこない。雨が降ったりやんだりしていたので、皆通常授業だと思って教室にいったのかな、と思ってベンチにすわっていたら、ぼちぼちと集まってきた。教室でお弁当を食べてしまった人もいる。

 雨のなか、こども動物園へ。徒歩で5分で到着。遠足の小学生保育園児が帰宅する時間。入り口で入場券買っているときは雨が強かったが、屋根のあるレスト広場へ行くころにはやんでいた。

 最初私が引き馬にチャレンジ。「みんなも乗りなさいよう」と勧めてみたが、「こわい」と言う人、バドのように「内モンゴル草原で馬を走らせてきたんだから、ここで引き馬に乗ることないです」という人も。内モンゴル草原か。いいなぁ。
 各自持参のお弁当を食べ、私はりんごとチョコレートを配り、「はい、食べながらレポート発表をやりましょう。」

 ウ-さんの日本文化発表は「国名の由来」先週私が学生になぜ日本という国名ができたのかを概略話したとき、うーさんは欠席していた。話題がだぶってしまい、学生へのうけはイマイチ。しかし、一番日本語ができないウーさん、インターネット資料を切り貼りして、3頁のレジュメを作ってきた。「レジュメはA4一枚にまとめること」という「レポート発表の注意事項」を理解していないための3頁なのだが、いっしょうけんめいやったということでよしとしましょう。

 それからコアラ舎へ行く。コアラは寝ていたが、一匹はときどき動くので、留学生達「かわいい」と大喜び。
 コアラ舎の前で写真をとっていたら、飼育係のおじさんがユーカリの枝を持ってきて、葉っぱをとり、「においをかいでごらんなさい」と言う。強い特長のある香り。「ユーカリメンソールと言って、薬品にも使われている成分です」と教えてくれた。話し好きそうなので、コアラについて生息地やユーカリのことなどいろいろ質問した。
 質問への答えの中で、留学生に理解がむずかしそうな言葉を私が「留学生にもわかる日本語に翻訳して伝える。ところどころに茶々をいれ、学生はどっと笑う。

 コアラは、一生をほとんどユーカリの木のうえですごす。水を飲みに2週間に一度くらい木からおりるほかは、樹上生活を続けるというので、「落ちたりしないんですか」と私が質問。飼育係の答え「年寄りになって、身体が弱ると落ちることもあります。若いコアラでは、交尾期に雄が雌を追いかけて無理矢理迫ると、雌がいやがって落ちたりします」というので、「ほらね。コアラも若いと下手なのよね、何事も経験よねえ」とチャチャを入れる。留学生、経験ありの人は、げらげら大笑い。何をいっているのかわからず、ぽけっとしている学生も。

 冗談と笑いの連続。飼育係に「詳しい説明をありがとうございました」とお礼をいうと、飼育係は「先生、お話、おじょうずですねぇ。全国を公演して回れますね」と言う。「お笑い芸人めざしてます!」と答えた。
 わたし、女流落語家、女流講談師になればよかったと、思う。修行の道はつらかろうが、二十歳で入門したとしても、30年続けていれば、いまごろは真打ちになれたかもしれないのに。う~ん、気づくのがおそすぎた。いや、私の場合万年前座か二つ目か。

 ワラビー、カンガルーだちょう、エミューを見る。カンガルーの赤ちゃんがおなかに入っているのをみて、学生たちまたひとしきりはしゃぐ。

 広場でハンカチ落としをして遊んだ。ぼうっとしているので、私は数回鬼になった。鬼は円周を走らなければならない。遊ぶのは大好きだが、疲れた。最後に私が鬼になったところで、おしまい。鬼の罰ゲームとして、お得意の前後開脚を披露。どこでもすぐ足を前後に180度開く芸を披露する。っていうか、これしかできないんだが。ホントは32回のグランフェッテくらいやって見せたいけどね。足が回らず目が回るだけ。

 園内移動のミニトレインに乗って正門へ。キリンに「葛の葉」をやる体験をした。きりんは一番ちいさいのが小夏ちゃん。長い舌で葉っぱを食べる。

 写真をとって、解散。雨でどうなるかと思ったが、楽しい一日になった。最後に「今日の作文宿題は、タイトル動物園でもいいし、コアラを見た日でもいいし、」と、言うと「えっ、そんなあ、書くんですかあ」とブーイング。「日本語の授業なのに、遊んだだけでおしまいになるわけないでしょ。宿題宿題!」

本日の負け惜しみ:コアラよりは経験豊富
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2003/11/18 火  晴れ1052
ニッポニア教師日誌>雨かんむりの漢字

 漢字会話2コマ。漢字クラス。キンニ君は遅れてきたけど、私の漢字の説明を聞くと「I understund!」と、うれしそうに言う。

 今日は草冠の漢字と、ウ冠、雨冠の漢字。
 「電」を教えるのに、田から復習。田に雨が必要。雨を降らせるには雷だ。「Thunder!!」言って稲妻を書き、「雷」を「This Kanji is thunder.The rain puls rice field.」次に「Thunder make electricity」と、稲光を示して、雷から電気のしっぽを伸ばす。そこにコンセントの先をくっつけて見せる。これで、電の文字が学生の頭にインプットできる。

 それで、明日のテストのために復習してみると、「好き」が書けない。
 好きを教えるときにあれほど「Women love her children」と強調し、皆うれしそうに、うんうん、と頷いていたのに。3週間たつと、すっかり忘れている。もう、ザル頭め!

本日のうらみ:先週教えたことが全く記憶にのこっていない。女という字と、子という字を、ゴルゴ松本よりうまい体文字で教えたのに

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2003/11/19 水 晴れ 1053
ニッポニア教師日誌>学生自慢話2

 午後教授法2コマ。
 今日の「私の自慢話」発表もおもしろかった。
 短大卒業時の就職活動と教員採用試験のグループ面接の話。グループに「水族館を表現しろ」という課題が出される。話し合いをして、水族館のアシカショウを演じることにした。要するに表現の出来がいいか悪いかが重要なのではなく、グループ話し合いの際の、役割を見ているのだという。リーダー的に話し合いをまとめる人、積極的にアイデアを出す人。皆の発言をフォローする人などを観察されているらしいと。

 もうひとりは磐梯青年の家で開催された少年キャンプに指導員として参加した話。社会指導主事資格のための実習。

 そして、いつもユニークなミトくんは、なんと自慢話として「僕は先週の日曜日、結婚しました!」
 メキシコ留学中に日本人同士で仲良くなり、プロポーズ。3年生だから、成人しているとはいえ、学生結婚でやっていけるのか。「スーツを着て、彼女の親に挨拶に行った」という。みな、興味津々で質問していた。プロポーズの詞は何か、とか。とりあえず、結婚式を挙げて、就職活動が終わってから入籍すると言う。

 ゲーム教材発表は、「一文字変えて」のことばあそび。

本日のむつみ:21歳の花婿が末永くむつみ合えるよう乾杯!

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2003/11/20 木 曇りときどき雨1054
ニッポニア教師日誌>学生から学ぶこと

 作文と日本事情2コマ。
 朝、メール返信を書いていて、授業に遅刻した。日本語教師になってから、はじめての遅刻。よろしくないね。
 学生に電話して、教室で待っているように指示。

 大学の暗黙の了解では授業開始から30分たっても教師が教室に現れなかったら「自然休講」ということになっているが、なんと28分おくれで教室に到着。学生は、本日提出分の作文清書をしながら待っていた。 教師人生をはじめて最初の遅刻を、学生にあやまると、みんなニヤニヤしながら、「あと、2分でアウトでしたね。惜しかった」と、許してくれた。

 発表は、ロンさんの「台湾に残る日本のインフラ」について
 台南のダムを造った日本人、八田興一の話。はじめてきく話だった。全人生をかけて台南の地「嘉南地方」の水利のためにダムを造った日本人もえらいが、彼が亡くなった後、彼を忘れず顕彰し続ける台湾の人もえらい。

 日本の植民地占領は、数多くの悲劇を生んだ。韓国の創氏改名も、傀儡満州国設立も、間違っていたと私は考える。
 しかし、政治的な間違いはあるものの、多くの志ある技術者が占領地へ出かけていき、幾多の困難を乗り越えて、現地のために仕事をしてきた。これも事実だ。

 仕事をした人々は、単に日本の占領政策のためだけに仕事をしたのではないだろう。本気で「現地の人の役に立とう」という、強い気持ちがなければ続けられない困難をも克服して、仕事をしてきたのだ。

 これらの人々のこと、日本の人々は忘れている。私もこのダムを造った人を知らなかった。毎年、学生に発表をさせている「日本の文化」と「自国と日本の交流史」
 毎回タイの学生発表は「山田長政」になってしまう。ほかに交流をみつけられない悲しさ。しかし、韓国、中国台湾などの学生の発表で、私が知らなかったことがらを学ぶこともある。今回の八田興一ダムも、そのひとつ。
 教師の楽しみは、教えた学生が成長すること、そして学生から多くのことを学べること。学生から学べて給料ももらえる。いい商売だ。と、それにつけても、時給はもっとあげてほしい。なんのこっちゃ。話はすべてそこに落ちる。

本日のうらみ:メールもらうと、うれしくって、つい。日頃いかにコミュニケーションに飢えているか
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<つづく>
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ぽかぽか春庭「イメージキャラクター・10年前の日本語教室」

2013-11-03 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/11/03
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003年11月のニッポニアニッポン語教師日誌(1)イメージキャラクター

 10年前の日本語教室の記録です。
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2003/11/06 木 朝雨、午後晴れ 1040
ニッポニア教師日誌>イメージキャラクター

 日本事情作文2コマ。来週はこども動物園に行くことになった。
 学生に、日本近代史の話をしながらも、「今日娘と息子はディズニーランドへいったんですよ。私はこうして仕事に励んでいるのにねぇ」と、こぼして、笑われた。なんでディズニーランドの話になったかというと、明治維新の話から。

 明治時代、天皇は神であった。昭和天皇が「チンはホント言うと神じゃなかったのサ」と、人間宣言して戦後復興がはじまったこと、などを話す。「私は人間です」宣言のことを話すと、たいてい留学生は笑う。「本当に昔の日本人は天皇を神と思っていたのか」と質問する。

 私も以前は信じられなかった。建前「神」でも、本音ではそう思っていなかった人も多かったのだろうとは思う。だが、本気で信じていた人の精神がどうだったのか、さっぱり理解できなかった。オームの「ソンシー」を本気で信じていた人を知って、ようやく「信じたい人を本気で信じる人間」が存在するのを知った。「天皇は神」と本気で信じていた人もいたであろうと納得できた。
 戦後象徴天皇も、イマイチ留学生に理解できない部分を含む。タイのように政治権力を保持している王様は、理解できるが、象徴天皇とはいったい日本人にとって、何なのだ。と、質問してくる。

 わかりやすいたとえ。ディズニーランドのミッキーマウスのごとし。ミッキーが存在しないディズニーランド。ミッキーに握手してもらえない、パレードでミッキーが杖をふらない、夜、花火を指揮しない、ほら、なんだか楽しくないでしょ。
 ある場所を統合するには、イメージキャラクターが必要だって、ほとんどの国民は思っているんです、と解説する。むろん、ミッキーじゃなくてミニーを女帝にすべきだ、とか、いやいやグーフィあたりをニューメインキャラにと思っている人もいるのかもしれないが。私の好みはアリスの三月兎よん。

 明治天皇は、16歳で即位するまで、お化粧して女の衣装をきて育てられた。昭和天皇も、白いワンピース姿の女の子の衣装を着た写真が残っている。これは、男の子の幼児死亡率のほうが女児の死亡率よりも高くて、女の子として育てた方が生き残る率が高いと信じられていたため、男児の跡取りが貴重であった階層でかなり広く行われていた風習である、と、猪瀬直樹のミカドシリーズの受け売りをやる。三島由紀夫も女の子の衣装を着て育てられた。などの話。

 文化研究の受け売りができて、近代国家成立期の歴史授業は、私のお得意分野。限りなくトリビア語りをしたくなり、少しも近代が進んでいかない。文明開化殖産興業富国強兵、話し出したら止まらない。学生は私の冗談混じりの解説にゲラゲラ笑い転げる。

 今年は木曜日のクラスが一番日本語ができるクラス。日本語力がかなり高いので、くすぐりや地口だじゃれも通じる。それで、私の芸人魂炸裂。

 昔の寄席中継で三平が「お客さんに笑ってもらうと、高座の花代が増えるんですから」と言っては笑いをとっていたのを思い出すが、学生を笑わせても、講師料が増えるワケじゃない。なんで、こうサービス精神旺盛になっちまったのか。
 20年前に作った講義ノートを、毎年ぼそぼそ読み上げるだけの大学者先生も多いのにねぇ。

本日のうらみ:寄席なら笑わせれば玉が上がるのに。私の講師手当、時給をあげてくれぇ!

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2003/11/07 金 晴れ 1041
ニッポニア教師日記>算盤指導

 ビデオなど3コマ。
 ビデオは、人気の授業。漢字練習文型練習で1週間詰め込まれて、いっぱいいっぱいなっている学生が、1週間の最後に、ボケッと見て、ワハハと笑って楽しむクラス。メインの授業ではなく、復習はするが、新しい文型を導入するなどの義務がないので、教師も気楽に授業ができる。

 20年前制作のビデオ。ヤンさんが郵便局で切手を買うシーンでは、局員がそろばんでおつりを計算するという近頃では見かけないシーンが出てくる。
 毎回、ヤンさん第3話の時にはそろばんを持参して、学生の前でそろばんをはじいて見せる。私は足し算のみできる。引き算はまごつく、かけ算はやり方を全く忘れているという程度のそろばん能力だが、学生はたいてい「へぇ」と感心してくれる。

 「Jananese Abacus」は、中国のものや、アジアの華僑のものと少し違うことなどを話す。 今年は中国のチェンとインドネシアのジジが「こどものころそろばんを習いました」というので、解説をまかせたら、ビデオ授業ではなく「そろばん講習会」になってしまった。これが、1を示す玉、これが「5」の玉、などと教わって、「じゃ、82ってやってみて」と玉を動かすよう、勧める。おそるおそる玉を置く。「正解!」と誉めると、大喜び。

 これも「異文化理解」で、いいのでしょう。学生同士で、「イスラム教の人は、お酒を飲むことはできない」ということすら知らない者もいる。たまたまいっしょになったクラスでお互いの文化について、同じ所違うところを認めあえれば、いいと思う。

本日のそねみ:算盤でも計算機でも、私に計算はできない
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2003/11/11 火 雨 1045
ニッポニア教師日誌>子供の病気

 漢字、会話2コマ。

 子供をおいて単身留学エンジョさん、子供緊急入院の電話で、あわてて今朝、韓国に帰国。
 私が中国に単身赴任している間、風邪くらいはひいたろうが、我が娘息子は、大きな病気をしなかった。入院もせずに済んだ。
 エンジョさん戻ってこられるといいのだが。

本日のつらみ:子を持つ母の留学至難

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2003/11/12 水 晴れ 1046
ニッポニア教師日誌>学生自慢話

 午前中Aダンス。

 午後日本語教授法2コマ。学生に発表させている「自慢話」今日も好評。
 書道師範の腕前を持つ学生の楷書草書行書と、落款の紹介。みんなあまりのうまさにびっくり。
 二人目は千葉市の「合唱団親善大使」に選ばれて、ドイツまで演奏旅行に行ってきた話。
 中国のロックグループが大好き言って、CDかけながら、どんなに彼らがかっこいいか熱弁する学生も。自分が属するアンダーグラウンドのラップが、メジャーラップとどうちがうかを語り出したらとまらない学生。ほんとに個性豊かで、この企画をはじめてよかったと思っている。 

 多摩川おじさんの「生教材をつかった授業」は、私が貸したゆかたをつかって、ゆかたの特長説明と「ゆかたの畳み方講座」。「日本事情」「日本文化紹介」の授業例として。一度たたんで片づけたが、休憩時間にまた、個人指導でたたみ方を習う学生もいて、これもまた、「日本語教師をめざさない学生にも役に立つ」日本語教授法授業として、よかったよかった。 

本日のひがみ:私も浴衣を畳むくらいはできるが、振り袖着付けはできない

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<つづく>
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ぽかぽか春庭「10年前の11月」

2013-11-02 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/11/02
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003年11月の日記(1)10年前の日常茶飯事典

 10年前の日記再録です。今おもえば。2003年と2004年は、私の人生の中では、比較的おだやかにすぎた時期だったことがわかます。
 自分の思い出では、まいちに毎日つらい思いばかりで、人生いいことなんかなんにもなかったように感じて生きてきたのですが、記録を読み返してみれば、平穏にすぎた日々もあったのだとわかります。平穏といっても、他の年に比べればであって、貧乏暮らしのつらさは他の年とかわりないのですが。
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2003/11/01 土 晴れ 1035
日常茶飯事典>旧友邂逅

 夕方4時に池袋へ。K子さんと会う約束。
 出かけるとき、娘が「お母さんの女子校同級生って、大学教授とか、校長だし、大学の友だちは文部省キャリアだし、みんなエラくなったのに、お母さんだけ出世できなかったねぇ」と言っていた。ほんとにね。
 K子さんは大学のときの友だちのなかでは、今でも行き来できる唯一の友だち。文科省上級職。大学附属図書館情報サービス課長。ほんとにみんな偉くなっちゃって。

 K子さんとデパ地下で待ち合わせ。とってもとっても久しぶり。ちょっとやせていた。夏に風邪ばかりひいていたのだという。大学が休みのときは、池袋に購入したマンションに戻っているのだという。マンションローンを払うために働いているのだと言っていたが、女ひとりで、ほんとにエライわぁ。「娘に友だちが出世したっていう自慢話をするからちょうだい」と、名詞をもらった。

 池袋の居酒屋で生ビールとサワーをちょこっと飲んで、話して楽しかった。長崎チャンポンもらった。私が家族持ちだと思って、あまり連絡してくれないけど、もはや準未亡人にして、子供は母親なんかうるさがっているだけだから、もっと遊んでぇ、と頼んできた。

本日のうらみ:準未亡人には、遺族年金もなし
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2003/11/02 日 晴れ 1036
日常茶飯事典>文化祭Show must go on

 9時半に姑と待ち合わせ。10時から息子のクラス演劇を見た。
 とっても面白かった。去年は三谷幸喜の『ラジオの時間』を翻案したオリジナル作品にして、男だけで演じられるように作り替えていたが、今年は『Show must go on』をそのまま使っている。へたっぴの中3が演じて果たして、いい作品になるのかと心配していたが、三谷は天才ですね。中3素人が演じても、ものすごく笑えた。中3の演技で笑える脚本のうまさ!

 息子は、「おバカな大根役者の役」滑舌は一番いい。
 役者志望のアシスタント舞監女性の役、舞台監督の奥さん役も、中3の男の子にしては、すごくいい感じの女形だった。

 中1のときは、担任の先生がだいぶ手伝ってくれたそうだが、中3ともなれば、2時間の芝居の、大道具小道具照明音楽効果を含め、生徒だけでやる。中3は、3クラスとも演劇。高校生は映画を制作するクラスも多いが、中3は、皆演劇好きで息子にとっては、いい学年。

 喫茶班のスパゲッティがアルデンテというより「ゆだってねぇよ」という歯ごたえだったのが、イマイチだったが、ウェイターは合格。去年は一昨年に比べて美形度がややオチだったが、今年はまたすこぶる美形ぞろいで、けっこうでありました。でも、姑が注文したパンナコッタに添えられていたのはフォーク。おいおい、フォークでパンナコッタを食べるのは、スプーンでところてんを食べるより難しいぞ。あんた、来年は東大ね、っていうウェイターに給仕してもらうところがミソ。

 息子の美術科授業提出作品、うさぎタイムの肖像画。とても上手に仕上がっていた。作品が戻ってきたらかざろう。美形アスカの写真はたくさん残っているが、タイムはいつもぶーたれた顔をしているし、なかなかシャッターチャンスがなかったのだが、息子がいいのを作ってくれた。

 2時半に学校を出て、姑と別れる。東陽町の江東区文化センター。美ダンスグループの発表会。タキシードジャンクション、ライオンは寝ているなど、みな上手だった。クラシックバレエの発表も見た。

本日のひがみ:すらりとしたボディで踊るタキシードジャンクション、カッコよかった
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2003/11/03 月 雨 1037
日常茶飯事典>文化祭二日目
 ひとりで文化祭へ。10時半からワ息子の劇。二度目なのに笑えた。
 そのあと高2の『赤鬼』をみた。英国版の演出ではなく、オリジナルの「とんび」たちと村人を3人だけで演じ分ける難しいほうの演出。「あの女」役の男の子はとてもいい女形だったが、とんびの役の子が「ぼくはあたまが弱いから」とか「ぼくにはよくわかりません、頭、足りないから」と、台詞を言うたびに「でも、あんた、どう見ても東大一直線に見えちゃうよ」と、突っ込みをいれたくなった。

 赤鬼アンガスが「僕には夢がある」と言う部分で、英語でキング牧師の「I have a dream」演説をやったので、ひとりでウケて、笑ってしまった。キング牧師の「いつか、白人も黒人も鐘を鳴らすだろう」という平等と和平への祈りが、強烈な皮肉に聞こえてしまう、昨今のイラク情勢。
 
 コント班をみたり。雨だからすぐに帰ろうと思ったが、結局体育館のステージ班ファイナルまでいた。
 息子クラスは中学校2位。高校は赤鬼のクラスが優勝。

本日のねたみ:「頭が足りないとんび」を演じても、隠しきれない偏差値75
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2003/11/04 火 くもり1038
日常茶飯事典>ついに圧力鍋購入 

 息子は文化祭かたづけのあと、役者打ち上げで、「舞監夫人」役の子の家に集まって泊めていただくことになった。息子が友だちの家にとまるのは初めて。一度家に帰り、夕食を食べてから、コントローラー3本持参で出かける。一晩中ゲーム三昧お泊まり会。

 ダイエーにいって、優勝セール最終日に圧力鍋を買った。

本日のつらみ:圧力鍋がこわれて、6ヶ月間新しいのが買えなかった。王監督ありがとう

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2003/11/05 水 晴れ 1039
日常茶飯事典>Aダンスビデオ

 午前中Aダンス。発表会のビデオを見た。とてもいいビデオで、みな「このビデオは縦長にのびる撮影で、足が長く写っている」と言う。私も、思ったより太くみえなかった。ああよかった。実物よりきれいにうつすビデオの腕。むかしの修正写真のように、修正ビデオが出るようになったのか。
 
本日の負け惜しみ:修正すれば私も美人
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