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越後牛の角突き小千谷場所千秋楽

2019-11-15 00:05:00 | 新潟ネタ

▲自分の牛を引き回す勢子と息子(3歳)。地域文化はこうやって引き継がれていく。

 故郷には、角突きの文化がある。
 江戸時代にはすでに文献に残るほど有名で、今は国指定重要無形民俗文化財に指定されている。
 越後の角突きは神事として行われ、すべての取り組みが引き分けで終わる。もともと農耕牛を使っていたこともあり、牛が大きなケガをしないように勢子が取り囲んで見守り、危ない状況になる前に牛を分ける。そういう角突きである。

 例年5月のゴールデンウィークに初場所が行われ、11月上旬に千秋楽を迎える。今年は久々に千秋楽の角突きを見に行った。


▲角突きをしている牛の周りで腰を落として両手を広げ「よしたー」っと気合をかける勢子たち


▲粕牛(かすうし)の中でも珍しい白い牛同士の取り組み。一回り大きい方がこの辺りの小学校で代々世話をしている「牛太郎」
 確かこの子が2代目だっけ…。デビューしたころにも見たことがあり、大きくなったなぁという感慨。


▲全校生徒が牛太郎の応援。角突き場の中に入れるのは高学年の男性のみ(引き回しのみで取り組みには出ません)。女性は子供と言えども入ることが許されない。これは今も昔も変わらない。それでも子供たちは柵の外から大声で「頑張れー」「牛太郎頑張れー」と応援する。


▲勢子は牛の目を見て様子を図る


▲勢子の間から牛の目を見せるのが撮影のポイントだったりする。なかなかそんな奇跡のようなタイミングには出会えない。


▲「よしたー!」の掛け声は、勢子の自発タイミングで行われるので、揃うことは少ない


▲飛夢皇(ひむおう)は。勢子の誘導なく場内に駆け踊り、自ら相手に頭を付ける「山ぬぎ」という技を持つ牛(小千谷まつりで大型花火を上げる「ヒム」グループの持ち牛)
 普通の牛は、牛持ちが頭を突き合わせるようにして、鼻ひもを抜く。それが角突き開始の合図。


▲角突きに疲れた牛を離すのは勢子の役目。危険を顧みず、鼻の穴に指を突っ込んでグイっと引っ張り、牛を離す。牛は鼻の穴が弱点なので、町中で牛に襲われそうになったら試してみよう!!(そんなシチュエーション来るのか!?)


▲放送席の上では、小さな子供とともにお母さんも観覧。見よ、幼児の真剣な眼差し。勢子さんのご家族かな…(加工してるから分からんかw)。


▲後半になるにしたがって、年齢の高い牛の取り組みとなる。年を重ねるとそれだけ大きくなるので、制御する勢子の数も増える


▲横綱牛は取り組みも長く、それを分ける勢子の技が光る


 越後の角突きは、かつて二十村郷と呼ばれるエリアで行われていた。旧山古志村~小千谷市東山~旧川口町~旧広神村がその辺りで、現自治体名で言うと、長岡市~小千谷市~魚沼市の山間部を指す。これらの地域は山伝いにつながりがあったとされる。父がこのエリアの出身になる(旧川口町木沢出身)。かつてはもっと多くの場所で角突きが行われて来たが、現在は東山と山古志の2か所で行われるのみである。
 この角突きエリアと、錦鯉発祥エリアはほぼ重なる。山深く、雪も大量に降るこの土地は地味が肥え、その豊かさを求めて人々が1000年以上前から山を上り、暮らしてきたという。

 15年前の地震の時、この地区も大きな被害を負った。一時は角突きが途絶えるかもしれないという危機感もあったがこうやって15年後も角突きができている。地元の方々の努力のたまものだと思う。そして角突きを応援してくれる人がいるからだと思う。

 山の人が少なくなっていくかもしれないけれど、こういう文化がいつまでも残るような日本であって欲しいと思う。