▲1章:オープニング「三陸花火大会が始まる!!」
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三陸花火大会、初めて聞く花火大会の名である。この言葉が目に入ってきたのは8月後半だったかと思う。
2011年の大震災の被災地で花火を打ち上げるというクラウドファンディング。2004年に故郷が被災地となった自分には、これは協賛しなくては…と心を動かされた。リターンが花火チケットというのも個人的にはうれしいものである。
会場は、陸前高田。
奇跡の一本松で知られた大きな被害を被った地である。
え、そんなところで花火大会出来るの!? 交通アクセスは!?
調べてみると、かつてのJR大船渡線の鉄路を撤去してアスファルト道にし、そこに定時にバスを走らせるBRTというシステムが公共交通機関としてあることを知った。
そして、10月末、いよいよ花火当日がやってきた。
東北の秋、海辺は寒かろうと荷物が膨らんだ。そのまま会場に持ち込むのはどうか思って、気仙沼での鮨をあきらめて宿のある大船渡へBRTで直行する。途中、花火会場となる陸前高田を通る。
奇跡の一本松のモニュメントが立ち、その脇に崩れた建物が震災遺構として残されていた。奇跡の一本松の周囲は高田松原復興祈念公園となっており、巨大な堤防を上から見ることができるようになっていた。
その背後には津波に洗われたであろう平地が広がっていた。そこにはほとんど建物はない。山沿いには新たな商業地域が出来上がっていた。
BRTは陸前高田駅で満員だった人々を下ろし、数名のみを乗せて坂道を上る。
高田高校前駅で制服姿の高校生が乗り込んできた。屈託のない笑顔の学生たち。おそらく、小学校低学年時にあの大震災にあったのであろう。
この子達、今日、花火上がること知っているのかな…?
山と海を縫ってBRTは隣町に入る。
大船渡市街も津波による甚大な被害を受けたらしいが、壊滅した界隈を再整備して、新しい街になりつつあった。まだ新しさを感じる区域の近くに建つホテルが宿泊先であった。荷物だけを預け、BRTで陸前高田に戻る。
16時ごろ会場へ到着。
リストバンドを付けて入場。広い会場にまだ人は少なく、入り口辺りでは郷土舞踊などが披露されていた。
目の前には、そそり立つ巨大な堤防。三陸の海はその向こうにあって、こちらからは見えない。時化の日はともかく、通常は波音も聞こえないだろう。
花火は、その巨大堤防の手前に小型煙火を、その背後に大型煙火を仕込んでいるらしい。それ自体はまぁ、いいのだが、席の配置が堤防に対して斜めになっているのがどうにも居心地悪い。
指定席A内はフリーなので、色々見える位置を変えてみたりするものの、こちらの可動域は小さく、巨大な堤防の斜め(見た目右側が遠ざかるのでベースラインが上がり、上空の花火は下がる)を補正するような場所はなかった。会場全体で見ても、そういう箇所はないのだろう。
今思えば、会場外で見た方が斜めのバイアスは矯正されたのかもしれない。何という皮肉。まぁ、会場外で地元の人が見られればいいのか…。そちらの方がこの花火の本質に近いような気がする。
ということで、早々にあきらめて(諦めが早い)、フードコーナーで焼きガキとかつみれ汁とかをいただく。カキは殻のまま焼くのが旨いねぇ~。
暗くなってからもう一つのフードコーナーがあることに気付き、そちらでは湯豆腐(ホヤパウダーふりかけ)をいただく。
フードコーナー、暗くなる頃には大盛況で、どこも列がすごいことになっていたらしい。
見えないけれど聞こえるフェスの音楽が止んで、ようやく花火大会が始まる。メインの打ち方は、山梨県のマルゴーさんである。
▲1章:オープニング「三陸花火大会が始まる!!」
はい、しょっぱなから飛ばし過ぎ(ほめてます)。オープニングもへったくれもないマルゴーワールドが繰り広げられたw
▲2章は全国の花火師さんから提供された名品が挙げられる(全部じゃないです)。
糸井火工(福島県)4号玉「銀角入青白点閃光」と7号玉「緑芯青紅先白群光」
▲2章:池本煙火店(滋賀県)10号玉「昇銀尾八重芯錦冠」
テレビで知った池本さんの初生花火。スーッと下りてくる冠の長さがカムロスキーにはたまらん、
▲2章:阿部煙火工業(新潟県)10号玉「晩夏の轟き」
迫力ある音が好き♡
▲3章:新しい世界へ もちろんマルゴー色が強い。これでもかって強い。
▲3章:新しい世界へ
▲3章:新しい世界へ 通称◎バウム◎がたくさん上がったw
▲4章も全国の花火師さんから提供された名品が挙げられる
菊屋小幡花火店(群馬県)10号玉「里山の忘れ柿」
ここに来る前も翌日も三陸の忘れ柿(リアル)をたくさん見ましたw
▲4章:岸火工品製造所(徳島県)10号玉「阿波しじら変化牡丹」
四国からいらしていたんですね~。しじら変化牡丹、初めて生で見られた!
阿波しじら織って、綿で作るしぼ入りの織物なのね~。小千谷縮もしぼ入りの織物なんだけど、原材料が苧麻という麻なので、夏着物用の反物なんですよ。何なら小千谷煙火さんに「小千谷縮牡丹」を作ってもらって共演しましょう(〃艸〃)ムフッ!
▲4章:北日本花火興業(秋田県)10号玉「八重芯ステンドグラス」
▲4章:マルゴー(山梨県)10号玉「スタープリズム」
向きによって見え方が異なるのも難しい花火。
▲4章:響屋大曲煙火(秋田県)0号玉「翡翠をちりばめたペンダント」
ごく個人的にはこの玉、糸魚川(ヒスイの産地)で上げてほしいのよね
▲5章:フィナーレ「みんなで夢を打ち上げよう」
今回、和火も結構使っていた。意識して使っていたのかな。和火好きにはたまらん。
▲5章:フィナーレ「みんなで夢を打ち上げよう」
お得意のえぐい色味のトラが連打され、リズムに遅れると負けるので、必死にシャッターを切る
▲5章:フィナーレ「みんなで夢を打ち上げよう」
この後、あまりの輝度の高さに真っ白になります。
はぁ、終わったぁ。終わったというか、駆け抜けた感の花火であった。
花火終了後、光のエールの交換をし、機材一式を片付けて撤収した。
しかし、このあともうひと仕事が…。
駐車場出られない問題…。まぁ、覚悟はしていたんだけれど、本当に駐車場から全然動けない状態で、ただ時間だけが過ぎていった(あ、もちろん知り合いの車に乗せてもらってます)。
どうも車の誘導員があまりいなかったらしく、出口で動けなくなっていたらしい。誘導員のいるルートだとスムーズに出られた。
ここは来年以降競技花火とする際には改善していただきたいところだなって思いました。
あ、あとね、自販機「ぬっき~」版も入れておいてください「はっけ~」ばっかりだと寒すぎました。
駐車場を出ると、北へ向かう道は快適で、ほどなくホテルに到着。無事チェックインして徒歩10分のコンビニまでビールとつまみを買いに行って杯を上げたのであった。
※当夜のうちに本部に玉名を問い合わせたのですが、翌日に返答いただいて大変ありがとうございました。そこにHPにも掲載予定と書いてあった件はいつごろに実現しますかね…。