黒松内ぶなの森自然学校は、元黒松内町立作開小学校の校舎を拠点として使わせてもらっています。つまり、廃校利用なのですが、校舎内にはかつての小学校時代の名残のモノが一部掲示されたままになっています。
その中に、かつての小学生が描いた集合絵があります。この地域の未来の想像図です。たぶん高度成長時代の1980年頃の卒業記念製作でしょう。未来の電磁自動車なのでしょうか、チューブ状の高速道路を未来カーが行き来し(海中の高速道路かもしれない)、高層ビルが立ち並び、寿都湾には海底都市も描かれ、実在のお宅の苗字を冠した近未来的なデパートや原子力研究所もあります。
あの頃、私は不動産開発の仕事をしていました。都市は世界中をマーケットとして二十四時間眠らない街となると、社長から平社員まで信じて疑わなかったのです。まさしくこの絵あるような未来がやってくると考えていました。 その空想の世界は、田舎でも同じだったんだなあ・・・と、子どもたちは何らかの影響を大人たちから受けて、このような夢の絵を描いたのだろう。なにか感慨深く廊下に掲示されているこの絵を毎日のように見ています。
しかし、本物の時代のこの地は、20年前と今の風景はほとんど変わらぬものの、人がすまなくなった家が増えて超高齢時代の先取りをしています。 今は子どもがほとんどいない集落ですが、もしいたら・・、彼らはどんな未来図を描くだろうか。
変わらぬ、田園と川や海、そこにのどやかに豊かに暮らすわずかな人々・・・。そんな未来図を描けるだろうか。