晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

大原のこと(10) 5/16

2013-05-17 | 歴史・民俗

2013.5.16(木)曇り

 カミクリ、シモクリの栗地名の探究という当初の目的は終了したのだが、蛇ヶ谷左岸の残りの支流も紹介しておこう。カミクリの上流にあるのがシルマガ谷である。実は簡単そうなこの地名が一番難しい。いろいろな意味にとれるからだ。シルは一般的に湿気、湿地の意味がある。泥田のことをシル田と言うし、じめじめした状態を”じるい”というがごとしである。”マ”は場所を表す言葉としてよく使われるが、「地名の語源」に狭間という意味が載っていて岩間、藤間、間内など二百種以上あると書かれている。湿気の多い狭間という意味が妥当では無いだろうか。
 ガンド谷、大蛇ヶ谷はすでに紹介済みである。その上がコモサコである。小字としてコモヶ市、コモツキの二カ所があるがどちらがコモサコに対応しているのかは解らない。コモサコはおそらくコモ迫なんだろうがコモの意味が確定できない。語源大辞典では日本海側で小沼のこととある。この谷に沼があれば間違いないだろうが、出合付近にあるのは砂防ダムによるもので元々のものではない。「古代地名語源辞典」(楠原祐介編著)に、「コモは”籠もる”からきた、山に囲まれた地の意味か」とある。現地に行けば何か解るかもしれないが、このどちらかのような気がする。さて最後の川原田谷(かわらだだに)であるが、この谷が大成峠(おおなるとうげ)に向かう谷だと思う。そうすれば2012年3月にこの谷を歩いている。
 地名どおりの川原があるとしたら出合付近だろうが、砂防ダムもできており顕著な川原を見ることは無かった。谷は峠まで植林されており、昔の姿は解らない。出合にげんさん屋敷といわれる屋敷の跡がある。山林で財をなしたと聞くが、二棟はあろうかという大きな屋敷跡である。
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げんさん屋敷跡、川原田谷は植林の谷。

蛇ヶ谷が崩壊地形だといっても、地滑り地形とされているのは川原田谷付近のみで、やはりこの谷に地滑りが起きて土砂が流出し、礫が堆積したものと考えられる。このような軟弱な地形でありながら、針葉樹の植林を推し進めてきたことは、明らかに行政の失態ではないだろうか。砂防ダムを造ることより大切な防災施策があっただろう。つづく

【晴徨雨読】233日目(2007.5.16)羽合温泉~鳥取
長い旅の間には体調を崩すこともあるが、腰痛が数回、足の疲労1回、下痢腹痛1回、熱が出てふらふらするのが2回あった。いずれも一夜明けたら回復するのが常だったが、この日の発熱は丸1日続いた。ゴールが見えてきたのに何とも辛い2日間だった。
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大原のこと(9) 5/15

2013-05-17 | 歴史・民俗

2013.5.15(水)晴れ

 さて左岸であるが、ヒエ谷は台頭にもあり、水の冷たい沢なのだろうか、北向きの谷ではある。その隣のイモリガ谷は老富町のイモリガ嶽に関連して気になる地名だったのだが、イモレガ谷という小字があり、埋もれ谷が転訛したのではないかと予想する。
 スナシという一見不思議な地名は、砂のところという意味に単純に考えてはどうだろうか。谷筋が崩壊して砂が屈曲部や出合の付近に溜まっているのではないだろうか。
 その隣のウルシガ谷は丹波の貴重な資源である漆が採れる谷という風にも考えられるが、潤(うる)という意味で湿気の多いところという意味もあり、沖縄の方言でウルを砂としている点も気になり、そうするとウルシもスナシも同じ意味の谷となる。沖縄の方言、ウチナーグチは元々日本古語であって、本州などでは消えてしまった言葉が残されているのでは無いかと考え、もっか調査中である。
 ウルは平安時代の歌人藤原公任の歌に「うるまの島のひとなれや」という風に出てくる。”ま”は間で場所を表す言葉だから、うるの場所の島ということになるが、その時代は遣唐使船が沖縄を通っており、珊瑚礁の景色を都にも伝えていたのであろう。ウルは元々珊瑚や珊瑚礁のことを言うようだが、現在では珊瑚のかけらでできた海岸や砂そのものをいっている。ウル=砂が本州等でも言えるとしたら、各地に多くある漆地名も見直さなければならない。
 サルビシロは猿地名の一種で、サルはザレ、ザル同様崖崩れという意味である。ビシロは日向、日後のヒシロだろう。例えば岼にはサギ谷日向、サギ谷ヒシロという両方の小字がある。サルビシロは北向きの谷で崩壊した崖の日後の谷と解するのが妥当であろう。
 隣のグミは奇妙な名前であるが、台頭(だいと)にグミノキという小字も存在する。植物のグミの植生があるのかと思いがちだが、一般的にそういった地名の付き方はしない。「地名の語源」にクミ、狭間という意味がある。植物のグミの古語はクミというからクミがグミと転訛する可能性も考えられる。

 グミの上手がシモクリ、カミクリなんだが、こうなるとクリは崩壊地形と考えざるを得ない。つづく

 

【晴徨雨読】232日目(2007.5.15)湯原~羽合温泉

 

 この間はあっという間に通り過ぎたが、今ならもっとじっくり行くだろうという地域である。その後に始めた地名研究の対象となるところが沢山あるところだから。別所、引地など今になって地図で追っているところである。そしてやはりこの一帯もかつての産鉄の地であろうと思うのである。関金温泉には金屋、倉吉には鍛冶町があり、鍛冶町には現役の鍛冶屋さんがあった。
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倉吉市鍛冶町にある「野鍛冶ひろせや」、倉吉の商店街はレトロで雰囲気いいのだがカーテン街になっている。


【今日のじょん】新緑の季節となり落葉樹の新芽も出そろったのだが、なかなか出てこないのがシマトネリコである。例年雪で折れてしまうのだが、今冬はビニールで保護したので枝は残っている。ところが茶色く枯れたままで一向に新芽が出てこない。もう枯れてしまったのかとあきらめようかというとき、ポチッとかわいい新芽を発見、しかも4本ある木のすべてに出ている。南の島の木だけあってある程度の気温にならないと出ないようだ。かみさんの喜んだことは言うまでも無いが、じょんはただのいっちょかみである。

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コメント (2)
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