晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

シデの山地名考(3) 7/1

2011-07-02 | 上林地名考

2011.7.1(金)曇

 (5)かわら
 最も単純な名前の「かわら」が一番難しい。その地を歩いていれば簡単に判ることなのかも知れないが、「シデの思い出」のなかの数枚の写真と作文、また、地図で見る地形図だけではなんとも判断できない。
 国語辞典で「かわら」を見ると河原、川原、瓦と二つの意味が出てくる。漢和辞典では多くの漢字が出てくるが意味は大体この二つである。ところが全国方言辞典をみるといろんな意味が出てくる。該当しそうなのは、「藁屋根を葺くのに棟を覆うのに使う細竹の簀」「すり鉢」ぐらいか。ひょっとしたら屋根葺きようの細竹が取れるとか、すり鉢状の地形になっているとか勘ぐるのだが、「シデの思い出」の文中にはそれらしいのは出てこない。むしろ文中には「川原」という風に書かれていて、やはりここは川原説が濃厚だ。
 川原地名は中、奥上林各町にありもっとも普遍的な地名である。これも上林川、あるいはその支流沿いに集落が存在しているためだろうか。川原は河川の流域に発生する水の枯れた岩石、土砂の地域のことを言うが、地形地名の川原は川の流域とは限らず、土砂や岩石の堆積した地域を言うそうだ。
 シデのかわらは鳥垣渓谷の源流地帯にある。もしこの地帯に石のゴロゴロしたところがあるとしたら、かわら=川原説が正しいこととなる。Img_2762

あやバス川原停留所、旧
奥上林村の中心地である。


(6)すずゆわ
 シデ山頂の下方部分である。一瞬難解地名かなと思ったが結果は単純であった。まず、すずとはなんだろうと検討してみる。古語辞典では一般的な鈴の他に篠(しの)という意味がある。細い竹つまり篠竹だ。方言辞典では清水の湧き出るところ、泉(秋田、山形県)、穂(和歌山県日高郡)などがある。三つとも候補にはなり得るが「ゆわ」とはなんだろう。”結わう”から来ているとしたら”すず”は穂だろう。”穂を結わう”なんて地名はいかにも茅かきの山にふさわしい地名だが、穂を結わう場所はなにもここに限ったことではないな。そうこうしているうちに、「シデの思い出」の中に「すず岩」という表現を見つけることとなる。
 「シデの一番高い所(すず岩)」、
 「黒く変貌した焼け跡を カワラ、スズ岩、ズンド云々」
という二文である。なんだ「すずゆわ」とは「すず岩」のことなんだ。”いわ”が”ゆわ”に訛ることは「腰をいわす」が「腰をゆわす」に変化するのと同じで、通常のことである。ひらがなで書かれるとなんとも意味不明なのが日本語である。
すずゆわ=すず岩というのは間違いないだろうけど、写真にあるシデ山山頂の岩はどう見ても鈴ではない。地元の方が知っておられたら教えて欲しいし、まず現物を見てみたいものだ。つづくImg_3235

冊子「シデの思い出」はじょんのびにあり、在庫僅少



キヌガサタケ情報7月1日(金)
 第3号、第4号 9:00発見 木小屋1号西、1,2号の一段上のところ
先日竹を刈ってその刈かすが残っているところに生えてきたので、素直に伸びることが出来ずどちらも曲がったままで無惨な状態。特に4号は傘が竹に押さえられて茎によって破られている。Img_3225 Img_3226

3,4号。笹の残骸で悲惨な状況、特に4号は傘が破れている。


 14時頃に収穫したが、どちらにも例の巨大なほたるのような昆虫が根の部分に着いており、3号の根には巨大なナメクジが居た。Img_3230 Img_3232

キヌガサダケの天敵、特に右の昆虫は団体で一気に食い荒らしてしまう。今年はまだ出現が少ない。



【作業日誌 7/1】
看板支柱立て
薪割り
夏野菜液肥追肥

今日のじょん:なまずのおんがえし(後編)
 その後夏日、猛暑日が続き、なまずのことが心配になる。水が干上がったら死んでしまうが、それ以前に水温が上がっても大変だろう。しのごの言ってないで救出しようとバケツと柄杓をもって散歩に行く。例によってじょんは怖がるので、堤防に繋いでおく。現場に着くと、いるいる、元気してそうだがバケツを差し出すと素直に入ってきた。一番大きなバケツを持ってきたのに、そこで一周している。川に流してやると堰の方へ泳いで行き姿を消した。恩返しせーよ、地震教えろよ。すっきりして堤防に上がるとじょんが情けない顔をして待っていた。Img_3202 Img_3229  

 

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衣笠茸’11  6/30

2011-07-01 | 日記・エッセイ・コラム

2011.6.30(木)曇

 6月も今日一日となった、今年はどうかなと心配していたキヌガサダケが2本出現した。今日から衣笠茸情報を提供することとする。なお、是非一目見てみたい、写真に収めたいという方には、朝の9:00から10:00の間にお電話いただければ、その日の開花?情報をお知らせすることとする。午後にはネットが溶けてしまったり、虫に食われたりするので連絡の無いときは昼頃に収穫してしまうためだ。
 さて第一号、第二号だが、発見は9:50、場所は第一木小屋の西4m辺り、発見時には完全にレースも開いており、正午頃に収穫する。所見としてはレースの色が純白でなく、妙に黄みがかっているのが特徴。一応大きさから石の下から出ていたのを一号とするが、茎の長さは19cm、二号は16cm。二号には壺(卵状のもの)が2個着いており、再度埋め
戻して後日の開花を待つ。Img_3214 Img_3215

第一号、第二号


 昨年の様子を見てみると第一号は7月9日なので今年は随分早い。高温、晴天が続いたのが影響しているのだろうか。発見場所は昨年と同様である。一所懸命グラバを撒いた地点からは出現していなくて、見るからに条件の悪そうな処から出ているのが不思議である。
 さて3年間失敗しているキヌガサダケの乾燥保管方法について今年こそという思いでチャレンジすることにした。その方法を御紹介しておこう。
(1)収穫
 収穫は移植ゴテで根こそぎ取る。この時茎の部分が折れやすいので注意してやることと、まだこれから出てくる壺が着いている場合があるので、これを壊さないように気をつける。Img_3219

第2号には二つの壺が着いていた。


(2)乾燥
 昨年までは土などを洗っていたが、濡らすことによって乾燥が遅れ、カビが来やすいので歯ブラシなどで軽く汚れを落とすだけにした。
 竹串を用意しておいて茎の部分を串刺しにし、天日で乾燥する。特に梅雨の時分はにわか雨などに注意し、風とおしの良いところで乾燥させる。Img_3223
(3)乾燥後の処理
 天気の良い日は一日で乾燥するが、そのまま放っておくと湿気の多い日にまた湿ってしまう。スポンジ状態なので吸湿性が高いのだ。また、乾燥したと思っても青カビが発生する。これらが昨年までの失敗で、乾燥後の処理について今年は色々試してみたい。
(4)グラバの処理
 傘の黒い部分はグラバと言ってハエや昆虫の足について移動する胞子みたいなものである。従ってキヌガサタケは糞尿の臭いがするわけだ。昆虫の助けを借りなくても収穫の際に水に溶かして撒くと良い。バケツの水があっという間に黒褐色に変わり、傘は真っ白になる。きのこ博士に教えて貰ったこの方法を初年度から実践しているが、撒いたところから出てきたという感はしない。Img_3222

 というようなわけで今年も観察と実験を続けよう。

グラバを水に溶いて残渣と一緒に撒く。


【作業日誌 6/30】
草刈り(5-6)
薪割り

今日のじょん:じょんカレンダー6月号の紹介をしないままに月末になってしまった。忘れていたわけでないのだが、今年はアジサイの色づきが遅いようで、しっかり色づいてから発表しようと思っていたのである。Img_3217 Img_3216

じょんカレンダー6月号(2010.6.24撮影)
右は本日の同じ花、随分貧弱だ。

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シデの山地名考(2) 6/29

2011-07-01 | 上林地名考

2011.6.29(水)曇

 (3)おおだん
 やすみとから沢筋を離れ斜面をジグザグに登って行くと、斜面が緩やかになった広々とした感じを受けるところがある。感じと言ったのは灌木が残っているからであって、これが茅の野原であったらもっと広々とした感を受けるだろう。このあたりがおおだんなのだろう。おおだんは漢字で表すと大段とでも表そうか、文字通り大きな段、そのものである。段というのは地形語で台地状のところをさし、各地に段地名が残り、上林にも次のような地名がある。寺ノ段、下ノ段、中ノ段、段畠、段山、段、西ノ段、段ノ下、大門段、長老ノ段、上ノ段、奥ノ段、姥ヶ段、尾越段、段ヶ端など。この全てが段地形から来るものではないかもしれないが、河岸段丘に開けた上林の村々では段地名が多いのも一理ありそうだ。Img_3193
 
シデの木、おおだんもみともこのような灌木の斜面となっている。 


 (4)みと

 ここから後の地名については、私自身がまだ行ったことのない、見たことのないところである。従って地形図や「シデの思い出」の作文集などからヒントを得て考証しているものである。いつか現地を見、また、地元の方のご意見もお聞きして納得のゆく地名考証をしたいと思う。
 鳥垣林道の展望広場で熊内さんがバーベキュー会の時のことを話しておられた。「この林道の手前のところに冷たい水の出るところがあって、ジュースやら冷やしたんやで。」なるほどやすみとまではいくらでも水場があるがそれから上では水の確保が難しい。私は確認していないが水場があるとしたら鳥垣渓谷の本谷源流のかわらとやすみとから左に分かれる支流の源流みとのあたりではなかろうか。山での作業には飲料水は必需である。もしみとの辺りに湧き水などあったとしたら、「みと」は「水処」として地名に残っても不思議ではない。つづく

今日のじょん:なまずのおんがえし(中編)
 24日のことである。堰の下の大きな岩床にできた2m程の池、ちょうど湾処(わんど)のミニチュアのような処に黒々とした大きな物体を見つけた。これが噂のサンショウウオかと近づいてみるとなんとそれは大なまずである。何でこんな処にいるのか。先だっての大雨で流れ着いたところ、水が干上がって出られなくなったのだろうか。井伏鱒二の「山椒魚」を彷彿させる。Img_3141
 棒きれでつついたら暴れて飛び出し、川に戻るかなとやってみるが逃げ回るばかりでうまく行かない。諦めて帰路につく。つづく
十能の長さが44cmだから50cmぐらいかな。

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