カツ丼というと揚げたてのトンカツを甘辛いタレの中に入れ、玉子で綴じた丼を連想するが、最近はバリエーションが増えてきた。その中でも比較的メジャーなのがソースカツ丼である。このメニューの発祥も福井県、駒ヶ根市(長野県)、会津若松市(福島県)、岩手県、秩父地方(埼玉県)、桐生市(栃木県)など日本各地にあるが、一番有名なのは福井県であろう。
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大正時代に高畠増太郎が海外留学を終え、東京早稲田で洋食店を開店、ウインナーシュニッツェルを参考にソースカツ丼を考案、好評を博す。しかし、1923年関東大震災により店は倒壊、高畠はやむなく故郷である福井市に戻り、ヨーロッパ軒を開店した。この店の看板メニューとしてソースカツ丼を提供、今は子孫が暖簾を守るというエピソードを聞いたことがある。(確か、青山にある福井県のアンテナショップだったと記憶している)
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少し長くなったが、お邪魔したのは日本橋三井タワーB1食堂街にある『奏す庵』。もちろんメニューはソースカツ丼がメイン。メニューの1番上にある『ワセカツ丼』(1100円、税込)を注文した。
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中身は厚いカツ2枚と薄いカツ3枚とのこと。(ワセカツとは早稲田生まれで薄いトンカツで早く揚がるところから命名したとあった)
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カウンターに座り、ふと前を見ると黒龍の一升瓶がずらり。秋あがり、夏しぼりなどなど、黒板には『黒龍しずく、大吟醸』も取り揃えていて、福井県のお店というのがよくわかる。
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お冷と小さく刻んだ梅干しが1つ、よく見るとかなり広い店である。また、季節限定の『カツカレー丼』が人気で注文も多い。
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5分もしないうちに私の丼は到着。丼の横にはマスタードソースが付いていて好みで掛けるらしい。他に小鉢(肉じゃが)、漬物、味噌汁が付いている。まずは味噌汁、丼には千切りキャベツはないが、その分味噌汁にはたっぷりキャベツの葉を粗く刻んだものが入っている。
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あまり長く煮ていないせいか、かなりシャキシャキとしている。個人的にはもう少し煮ると甘みが出たほうが好みである。
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丼を開けるとびっしりとタレの染みたカツが乗っている。大きい方が厚いカツ、小さい方が薄いカツ。一旦は丼の蓋に大きいカツを移し、小さなカツから食べ始める。
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ソース味のタレに浸してあり、脂も少なめなカツを一口、サクッとした後、肉の旨みも来て、中々美味い。タレはご飯によく合う味、さらに付いてきた辛子ソースを少し乗せて食べると辛味もあり、味がしっかりしてさらに美味くなる。
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(甘酢生姜)
漬物や味噌汁を飲みながらカツを食べ進めるが、新潟県のタレカツには甘酢生姜が付いていてこれを齧りながら食べる方が飽きがこないことを思い出した。そんな工夫もあるともっと嬉しい。
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野菜のフライと混ぜたベジミックス丼の方がバリエーションを求めるならばいい。また、注文を聞いていると人気のカツカレー丼、こちらにも食指が動く。改めて食べに来たいものだ。ご馳走さまでした。
奏す庵(ソース庵)
中央区日本橋室町2ー1ー1日本橋三井タワーB1
0362626842