溝の口駅西口に行かれたことはあるだろうか。溝の口は東急田園都市線とJR南武線が交差する(南武線は武蔵溝の口駅)交通の要所であり、田園都市線の急行停車駅でもある。東口はロータリーが整備されていて2層構造、周囲にもイトーヨーカ堂やNOCTYというショッピングビル、丸井などがあり、集積度も高い。
しかし、西口を降りると風景が一変する。右手には昔ながらの町の中華屋やカレー屋、蕎麦屋などが並ぶ。
その中で戦後の闇市を彷彿させるのが西口商店街。線路に沿ってアーケードが続き、途中で二又に分かれている。
入口にはもつ焼きの店、ビールケースで作られたテーブルには『この席、1杯目は100円』『外でやるのがのぐち流』と書かれている。
その先には古本屋、110円の文庫本や250円のレコード、ゲームカセットも並んでいる。レコードの中にピーター・ポールアンドマリーのベスト盤を見つけた時、思わず買いそうになった。
その隣は和菓子屋さん、饅頭や最中、餅菓子など。ショーケースの一番上にはみたらし団子と餡団子。いずれも110円、リーズナブルである。
二又に分かれる所には八百屋さん、品物をご夫婦で並べている。みかんの橙色が眩しい。
出口には串焼き『いろは』、まだ仕込みもしておらず、ひっそり。その先は踏切で大山街道である。
調べるとここにはかつて水路(根方十三カ村堀)が線路に沿って流れていて、これを暗渠にした上にあるらしい。また、2007年2月に火災があって半分焼けてしまっている。役所がその後の建築を許さず、自転車駐輪場になっているのである。
しかし、残った店とその周囲にはかつてあった商店に代わり、居酒屋や寿司屋、焼鳥屋などの飲食店が集積して、どっこいまだまだ栄えているようである。私が訪れたのは13時頃だから閉まっている店も多いが、夜は賑やかになるだろう。
吉祥寺のハモニカ横丁と同じように陰鬱なところがなく、昼間は沢山の人の往来がある横丁である。