『日本そばにこだわる』9杯目。今回は『たぬきとむじな』という題で考える。関東でたぬきそばというとかけそばに揚げ玉(天かす)を乗せたもので蕎麦屋では一般的にかけそば・もりそばに次いで安いメニューである。
揚げ玉も天ぷらを揚げた際の副産物を入れている店が多いが、中にはたぬきそばのためにわざわざ揚げ玉を作っている店もある。人形町の老舗の蕎麦屋である東嶋屋もそんな店の一軒。
たぬきそばを注文するとかけそばの上に小松菜、ピンクの麩、蒲鉾が乗って来て、山盛りの『揚げ玉』。
よく見ると中に桜海老の姿が確認できる。この揚げ玉がサクサクで海老の香りが素晴らしい。これで650円は大変有り難い。
翌日には同じ東嶋屋に行き、今度はむじなそばを頂く。むじなそばとはと思って注文するとかけそばの上にほうれん草、ピンクの麩、蒲鉾に加えて細かく刻んだ油揚げと例の揚げ玉が乗っているではないか。
『きつね』と『たぬき』が同居すると『むじな』になるらしい。ムジナという動物の正体はアナグマやハクビシンを指すらしく、さらにタヌキと同じ巣穴を使うこともあるため、『同じ穴のムジナ』と言われるようになったとか。
そばの方はきつねそばもたぬきそばも楽しめ、ツユにもその味が溶け出して中々美味いものとなっていた。因みにたぬきそばが650円、きつねそばは700円、むじなそばは750円である。ご馳走さまでした。
東嶋屋
中央区日本語人形町2ー4ー9
0336666964