事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

極私的大河ドラマ史PART1 花の生涯

2017-01-04 | 大河ドラマ

さて、朝ドラにつづいて極私的な特集はもちろん大河ドラマ。朝ドラは女優を語るのに最適なシリーズだったけれど、こちらは(よくも悪しくも)男優中心になるかも。

真田丸」は大好きだったからいいとしても、しかし見てないのもけっこうあります。そのあたりはご容赦を。参考にしたのは「NHK大河ドラマ大全」(NHK出版)や「大河ドラマと日本人」星亮一、一坂太郎著(イースト・プレス)、「大河ドラマの50年 放送文化の中の歴史ドラマ」鈴木嘉一著(中央公論新社)がメイン。

さっそく一作目からいきましょう。

◆「花の生涯」(1963)

まだまだ稚拙な時代だったテレビドラマという存在を、大勝負をかけて進化させようと考えたのが当時の芸能局長、長沢泰治。そのためには豪華なキャスティングがどうしても必要だった。

しかしそのころ、テレビは映画よりも数段落ちる存在だと認識されていたことと、映画会社が役者を拘束する五社協定があったためにNHKは相当苦労したようだ。特に、松竹のスターだった佐田啓二はなかなか首を縦にふらなかったことが語られている。現在の尊大なNHKを基準にして考えてはいけないんでしょう。当時の彼らは必死だった。

企画も難航。岡本綺堂の「半七捕物帳」、久生十蘭の「顎十郎捕物帳」、中里介山の「大菩薩峠」が候補。大菩薩峠は最後まで残ったが、テレビで取り上げるには内容が暗すぎると判断された様子。確かにね。

また、加賀藩の騒動に巻き込まれた金澤の豪商、銭屋五兵衛、江戸時代の豪商紀伊国屋文左衛門、江戸初期にシャム(現在のタイ)に渡り、日本人町を拠点にして東南アジアで活躍した山田長政が主役候補。そしてなんと滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」も検討材料の一つになったとか。実現していたとしたら、あの名作人形劇はなかったな。

第一作がこれらの作品に決まっていたとすれば、五十年以上も続く“大河”(当時はまだそのように呼ばれてはいなかったわけだが)になりえただろうか。なにはともあれ、第一作は井伊直弼を主人公にした舟橋聖一原作の「花の生涯」に決定した。以下次号

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