トム・クルーズが日本のSFライトノベルを映画化。ほう。
ストーリーはなかなかこみいっている。ざっくり紹介すると、宇宙から侵略者(マトリックスの化け物に近い)がやってきて、地球人が団結(内輪揉めもあり)して対抗。トムは地球防衛軍の広報係なのに、戦闘に強引に参加させられる。でも弱いのであっという間に死亡してしまい……しかしすぐに戦闘開始直前まで戻ってしまう。
ということで、理屈はいろいろついているけれど、ゲームと同じで
キャラの死亡→リセットして再開
というパターン。しかしプレイヤーはダンジョンを記憶しているし、スキルも獲得しているので、弱っちいチキン野郎(経営していた広告代理店が倒産したので軍に参加した)が、次第に古参兵のように成長していくあたりが役者としてのトムの見せ場。金をかける価値があるとこのあたりで判断したんだろう。
かつてケン・グリムウッドが「リプレイ」という傑作小説で、人生を何度もやりなおす男の数奇な物語を絶妙に描いたが、リセットできるということはそんなにいいことばかりではなくて、前の人生で得た娘を喪失して立ち直れなくなるなど、なるほどと唸った。
こちらのトムはひたすら強くなっていく。同じ能力をかつてもっていた戦場のヒロインであるエミリー・ブラント(フルメタル・ビッチという称号が笑える)を次第に凌駕し、世界を救う。これはこれでありだと思う。
オープニングの、というか何度も繰り返される戦闘シーンは確実に「プライベート・ライアン」だし、ビル・パクストンが出ているからだけではなくて、パワードスーツや戦闘員たちは「エイリアン2」そのまんま。
宇宙生物が単一の有機体だからクイーンを倒せばみんな滅ぶというのもエイリアン2だ。いいのか、こんなにまんまで。いいんだろうな、トムだから。だってどんなストーリーでも、結局はトム・クルーズの映画になっているんだし。
画面の迫力は圧倒的。そりゃ、欠点はかなりあるけれどもわたしはこの映画が好き。トムの映画は、やっぱり何か持っている。