PART1「CHANGE」はこちら。
「お前の組織は最低だ」
「黙れ」
「フェイク=FAKE(偽)ニュースだ」
ドナルド・トランプ米大統領が就任前にCNNの記者に向かって。就任後には、保守派メディアであるFOXニュースを持ち上げ、そのあからさまな態度は選挙戦のときとなにも変わらない。
部下も部下で
「トランプは就任演説でアメリカ史上最多の聴衆を集めた」
と報道担当官ショーン・スパイサーはコメントしたが、どう見ても嘘。
「就任式の観衆の人数が少なく見えるのは、芝生保護のための白いシートのせいだ」
これが全世界に配信されたのである。
もちろん政治家というのは嘘をつくものだ。ではあるだろうが、もうちょっとうまい嘘がつけないものだろうか……と極東の地方公務員は思う。
しかし、このことはトランプへの本当の逆風にはなっていない。それはそうだろう。投票日前にセックスや脱税などのスキャンダルをあふれるほど報じられながら、それでも当選した人なのだ。多少の誤謬など気にするはずはない。
それどころか、メキシコに国境に壁を作らせると豪語し、向こうが作らないならこちらで作って請求書を送りつけるとした人だ。財源はメキシコへの関税で賄えるともつぶやいている。
もちろん、ちょっと考えれば無理なことを言っているのは誰だってわかる。
でも彼は吠えつづける。いや吠え続けなければならないのだ。悪評よりも無視されることの方がよほどダメージが大きいことを彼は十分に承知しているに違いないし(あまり買いかぶるのもよくないが)、マーケットに道徳は存在しないので、アナウンス効果で株価が上昇し、短期的にでも失業率が下がれば、しばらくは安泰なのかもしれない。めぐまれた人。しかし、長期的に見ればつけはアメリカ国民に確実に回ってくる。そのときに、この人物が責任をとるとでも?
なにより、この男が核兵器のスイッチを押すパスワードを持っていることが怖くないですか。
PART3「保護なめんな」につづく。