もう30年以上も前の話。
マクドナルド千歳船橋店のバイトに採用されたわたしは、あれはどこだったかなあ、小田急線沿いのどこかで(ひょっとしたら西新宿だったかもしれない)、あるビデオだかフィルムを見せられた。マクドナルドの社史に始まる、プロモーション的なもの。
「むかしむかし、マクドナルド兄弟がはじめたハンバーガーショップは、某人物によって拡大をつづけ……」
その、某人物とマクドナルド兄弟をめぐるお話が「ファウンダー」だ。
新しいものにすぐ飛びつき、しかし失敗も多い、バイタリティはあるが決して有能ではないセールスマン。それが主人公のレイ・クロック(マイケル・キートン)。
彼の開発したマルチミキサーを、発注ミスかと思えるほどオーダーするカリフォルニアの「マクドナルド」なるバーガーショップにレイは興味を持ち、遠路はるばる訪れる。
ディックとマックのマクドナルド兄弟がその店で行っていたことは、まさしく“革命”だった。
・クルーの動線を徹底的に研究し
・省力化するために新たに工夫された器具を使用し(だからレイにオーダーした)
・ウエイトレスに届けさせず、客みずからがカウンターでハンバーガーを受け取り
・皿を使わずに紙で包装して使い捨てにし
・ドライブイン形式は不良のたまり場になりがちだったので、店のイメージをファミリー向けに特化した
……その結果、オーダーしてから30秒で客がハンバーガーを受け取るシステムを完成していたのだ。わたしたちはハンバーガーを(ポパイに登場するウィンピーをのぞけば)マクドナルドで学習したので、そういうものだと思っていたけれども、当時としては画期的。
クロックは商売人としてひらめく。
「フランチャイズだっ!」
以下次号。