事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

勝手に人生相談 Vol.04 披露宴でご披露 Bill Evans - Waltz For Debby

2017-09-25 | うんちく・小ネタ

Bill Evans - Waltz For Debby

Vol.3「5月になれば彼女は」はこちら

20代の会社員女性。私の結婚披露宴で余興をお願いしている人が練習をしてくれません。心配です。

結婚式を挙げるのは秋です。昨年末にはすでに式場を決め、披露宴に来ていただく方も考えていました。

余興も早い段階でお願いしてありました。私は以前、三味線を習っていたことがあり、私も余興として、当時の仲間と一緒に披露したいと考えました。仲間に頼むと、快く引き受けてくれました。

ところが、最近になって一緒に練習をしようと持ちかけたところ、「忙しくて練習する時間がない。式の直前まで待ってほしい」と言われたのです。これまでも練習はほとんどしていないようで、式本番で失敗されるのではないかと、怖くてたまりません。

「一緒にやりたい」と言ってくれたため、安心してお願いしていました。あまりの言われように、無責任な人だなと思ってしまう自分がいます。

できないようであれば、はっきりと断ってしまった方がいいのでしょうか。(大阪・F子)

……うわあ。人生相談にこんなネタが来るとは。マリッジブルーの一形態なのかと思ってもみたけれど、しかしこれはいくらなんでも。

【人生案内】の回答者、出久根達郎さんは例によってみごとな切り返しを。

「結婚披露宴の余興は客が祝意を表すためのもので、本来、当事者のあなたが出演するものではありません。あなたの三味線の腕前は、夫にだけ披露すればよいのです。」

座布団三枚級の回答ですね。習い事の発表会じゃあるまいし、と。

わたしは別の意味でこのF子さんはうかつだと思う。

①この秋に結婚する

②むかし三味線を習っていた

③大阪の二十代の会社員

これだけの条件がそろうと個人が特定されてしまうだろう。なにしろ世界最大の発行部数を誇る新聞に投稿しているのだから。「あんた読売に投稿したやろ」と突っこまれる可能性が大きい。

……ん?ひょっとしたら彼女は、そうなることを見越して、友人に練習させるために投稿したのだろうか。だとしたらこれはマリッジブルーどころか周到な作戦では?(笑)

久しぶりに本日の一曲。ビル・エバンスの「ワルツ・フォー・デビー」。中学生にジャズを紹介するとしたら、とはよく考えるんだけど、これはひょっとしたら世界でいちばん有名なジャズの名曲かもしれない。88鍵のこの楽器がいかに凄いかを思い知らせてもくれる。

でも先週、音楽室に業者と入ったときに、暇だったので壁に貼られた音楽年表を眺めていてびっくり。ピアノの成立よりバッハの活躍の方が早い!ってことはあの人はピアノを使ってなかったのか。はあ。いろいろあるもんだ。

Vol.05「やさしい“父親”」につづく

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「僕が殺した人と僕を殺した人」東山彰良著 文藝春秋

2017-09-25 | 本と雑誌

「流」の事件が序盤で語られるなどの読者サービスもありつつ、それにしても壮絶なお話。登場人物のひとりは、自分が何人の少年を殺したかもおぼえていないくらいの連続殺人鬼。

1980年代の台湾と現在のデトロイト。かつて友情を深め合った(とかいうレベルではないくらい濃い関係の)少年三人が、その後どのような人生を送ったか……

ミステリとしてのひっかけには途中で気づく。そうなったらしんどいなあ、という方向にどんどんお話は進んでいく。結果的に最悪の結末を迎えるのだが、それでも後味がいいのはこの作家がほんとうにうまいからなんでしょう。

台湾版スタンド・バイ・ミーという側面はもちろんすばらしい。そして日本と同じように西欧に憧れ続けた台湾の少年たちの日常がまたいいのだ。エア・サプライが「空気補給合唱團」になるあたりの感じも笑える。台湾と日本は地続きではないけれど、それ以上に密接につながっていることを思い知らせてくれる傑作。

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