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映画は1963年11月22日のダラスに始まる。暗殺の日。
遊説に訪れたケネディは市民に熱狂的に迎えられるが、副大統領のジョンソンはほとんど注目もされない。そもそも、彼がなぜ副大統領に起用されたかといえば、“史上最強の院内総務”と呼ばれるほど議会対策に長けていたジョンソンを、副大統領にまつりあげておいた方が安心だというケネディの思惑があったため。
それでも弟のロバート・ケネディは、そりの合わないジョンソンとことごとく衝突する。上流階級に属する見栄えのいいケネディ兄弟と、テキサスの田舎者のジョンソンでは、確かに水と油。しかし、それでもなおケネディの政策を継承しようとジョンソンが決意するあたりがちょっと泣かせるのだ。
たとえ話や笑話ではぐらかすのがお手のもの、というあたりはリンカーンを想起させる。
ピンチに陥ったときがチャンスだとする思い出話。
「親父とクルマに乗っているとき、おれは生意気なクチをきいたんだ。そしたら親父は怒っておれをそこで降ろして帰ってしまった。だから延々と歩かなきゃならなかった。そしたらふるいつきたくなるような女性がクルマに乗せてくれたんだ。で、これがみごとな胸なんだ。家までずーっとおっぱいを眺めてたよ。わかるか、しんどいことがあっても、おっぱいのリターンがあるってこと」
よくわからないけれども(笑)。
親に愛されなかったという思いこみもあってか、彼は他人から愛されないことを極度に恐れる。妻はそんな彼をやさしく包みこむが、心のどこかで彼はいつもおびえている。
そしてベトナム戦争という、ケネディの負の遺産も継承したことで(マクナマラを重用したつけであることもさりげなく描かれる)、彼の不人気は決定的になる。そして……
最後の字幕で、その後の彼が説明され、観客はなぜ彼が再選に向けて立候補しなかったかを悟ることになる。うまい。