優我(ゆうが)と風我(ふうが)は双子の兄弟。彼らは誕生日になると2時間ごとに身体が入れ替わる。その能力を使って彼らは不幸な境遇(その多くは父親の虐待によるものだ)を、精神的にも肉体的にもはね返してきた。優我は年上の子持ちの女性と知り合い、いつの間にか彼女にひかれていることに気づく。しかし……
平仄が合わないような気がするのだ。伊坂作品にしてはめずらしく。どんな不幸も軽快な文体と会話で爽快な読後感を残すのが常だったのに、あまりにも登場人物たちに襲いかかる不幸(それは残酷な社会の具現化だが。)が強すぎるような。
伏線がバリバリにはられていて、しかも例によって他作品との連関もあってサービス満点。しかしちょっと哀しすぎる。この哀しさは「重力ピエロ」以来かな。