ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

ヤクシマルリシジミ

2016-11-06 20:56:45 | チョウ/シジミチョウ科

 ヤクシマルリシジミ Acytolepis puspa ishigakiana (Matsumura, 1929)は、シジミチョウ科(Family Lycaenidae)/ヤクシマルリシジミ属(Genus Acytolepis)のチョウで、本州では紀伊半島中南部、四国では高知県南部海岸地域、そして九州南部と南西諸島に分布する普通種で、和名は、屋久島で最初に発見されたことによる。ルリシジミ Celastrina argiolus ladonides (de l'Orza, 1869) に似ているが、オスの翅表は鮮やかな青色に幾分広い黒縁があり、翅裏の黒点斑の違いで区別がつく。また、ヤクシマルリシジミは翅裏斑紋の変異が多く、別種のように見えるほど違う個体も存在する。
 幼虫の食草は、バラ科、トウダイグサ科、マンサク科、ツツジ科、ブナ科、ヤマモモ科など多岐にわたり、それらの新芽や花蕾などを食べ、海岸付近の照葉樹林の周りで多く見られる。成虫は年4回ほど発生し、3~11月頃まで見られるが、春の発生は少なく、夏から秋にかけて多く見られるチョウである。

 11月3日は兵庫県県内でオオキトンボを撮影した後、和歌山県に移動して車中泊。午前2時に東京の自宅を出発して兵庫、和歌山と走ったため、和歌山に到着後は、ワインを一本半空けたところで爆睡。快晴の夜空に流れる「秋の天の川」を撮り損ねてしまった。
 4日は、朝6時から行動開始。太平洋から昇る朝日を浴びながらポイントを探して海岸沿いを歩き、行けるところまで行って引き返す。8時頃になってようやくチョウが飛び出してきた。 たくさんのヤマトシジミ、ウラナミシジミがチラチラと飛び交うが、止まった時に確認すると、ヤクシマルリシジミもかなりの数がいる。オスよりもメスの方が圧倒的に多いようだ。ヤクシマルリシジミは、朝日が当たる地面近くの草に止まって翅を開いて体を温め、その後は木の上の方に飛んで行くという行動。メスは、十分な開翅写真を撮ることができたが、オスは1頭だけ証拠程度の撮影。飛んでいるとヤマトシジミとの区別ができないため、見逃した可能性もある。いずれチャンスがあれば、オスの全開翅写真を撮りたいと思う。
 撮影したい本命の種は別のチョウであったが、1頭も見られない状況。仕方なく10時半で現地を引き上げ東京に向かったが、ヤクシマルリシジミも今回の遠征では目標の1種であり、本州では和歌山県でなければ見ることのできないので、有意義な遠征であった。

 当ブログでは、チョウとトンボのみ撮影した種をカウントしているが(撮影済み昆虫リストと撮影機材)、久しぶりに初見初撮影の種が増えた。ヤクシマルリシジミは、当ブログ「鱗翅目」で、136種類目となる。

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ヤクシマルリシジミ

ヤクシマルリシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 200(2016.11.4)

ヤクシマルリシジミ

ヤクシマルリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 400 +1EV(2016.11.4)

ヤクシマルリシジミ

ヤクシマルリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 400 +1EV(2016.11.4)

ヤクシマルリシジミ

ヤクシマルリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 320 +1EV(2016.11.4)

ヤクシマルリシジミ

ヤクシマルリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 320 +1EV(2016.11.4)

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