三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

気づかないで迷惑をかけている心配

2014年11月21日 | 日記・エッセイ・コラム

物凄く臭いカバンの臭いを嗅ぎました。

私は電車ではあまり座らないのですが、腰痛がひどいときに電車に乗ると、席が空いていれば座ります。
先日、電車に乗ってシートの端に座ったとき、隣に立った人のカバンがひどく臭いました。ショルダーバッグです。その人が座席の仕切りに寄りかかったときに、カバンが仕切りを越えて私の目の前にきた途端に、物凄い臭いがして思わず顔をそむけてしまいました。何日も履いている靴下の臭いのかなりひどい部類の臭いです。こんなカバンを持ち歩いている人は多分相当に汚い部屋に住んでいるだろうと容易に推測できました。

振り返って自分のカバンはどうなんだろうかと確認すると、あまり臭いはしません。買ってからまだ3ヶ月ですし、有機物は入れないので大丈夫なのかなと思いました。他のカバンについても、あまり臭いはしません。しかし、自分の臭いはあまり気にならないものですし、本当に臭いがしないかどうかは客観的にはわかりません。日頃自分のカバンの臭いにあまり頓着していないのもたしかです。これまでに使って捨てたカバンも数多くありますし、それらが臭って人に迷惑をかけていたかもしれません。

人のふり見てわがふり直せと言いますが、カバンの臭いに限らず、自分でも気がつかないところで人に迷惑をかけてきたのだとしたら、ここで謝罪したい気持ちです。これからは周囲に十分気を配って、空気のように生きていきたいと思います。

俳優の高倉健さんが亡くなったと報道がありました。
高倉健さんの人となりについてはよくわかりません。一昨年観た映画「あなた」の印象が最も鮮明で、そこではごくごく一般的な老齢の男性を演じていました。同じ時期に上映されていたハリウッド映画の「アベンジャーズ」のキャッチコピーが「日本よ、これが映画だ」というものでしたが、「アベンジャーズ」は映像の迫力以外は内容が空疎で、アメリカ人の中身のなさを感じるものでしたが、「あなたへ」は逆に地味な映像でしたが内容が豊かな映画で、私はeiga.comのコラムに以下の感想を寄せました。

高倉健が演じる実直で謙虚で無欲な主人公の心模様がストレートに伝わってきて、涙が流れっぱなしでした。思い出しても、健さんの渾身の演技に涙が出てきます。本当に凄い俳優さんです。
世の中の奥様方に、ご夫婦でご覧になることを強くおすすめします。その理由は、観ればわかります。
健さんが海に散骨したあと、猟師ふたりが手を合わせて海に祈る漁船が夕日に映えるシーンは、映画ならではの素晴らしい映像でした。
こういう繊細な心模様の映画はガサツなアメリカ人には理解できないのかもしれませんが、ひとこと言わせていただければ、「アメリカ人よ、これが映画だ」
以上です。 

地上波でも放送されていましたが、公開されたときに映画館で観ていて本当によかったと思いました。

さて、健さんが亡くなったニュースを聞いて、まず「うらやましいなあ」と思いました。あんなふうに死ねるものならそうしたい。痴呆症になったり植物人間になったりして人に迷惑をかけることを、私は最も怖れています。痴呆症や植物人間になったら自分で死を選ぶことができないのが一番怖ろしい。そうならないうちに、変な言い方ですが、元気なうちに死んでしまいたいと切に願います。