手嶌葵さんのコンサートに行ってきました。今年2回目です。春に聴いたときは、なんとも不思議な声を出す人だなという印象で、ハスキーなのに透明感のある声に寝そうになりました。今回は、だいぶ上手になっているというか、パワーアップしている印象を受けました。やっぱりまた寝そうになりましたけど。
私は声を張り上げて高音を出すタイプの歌手がちょっと苦手でして、そういう人のコンサートにはもちろん行きません。最近流行のカラオケ採点番組で高得点を連発している「Let it go」の女性歌手などは苦手の最たるものでして、たしかに歌は上手ですけれども、私の耳にはちっとも響いてきません。
多分ですけど、手嶌葵さんがカラオケの採点に挑戦したら、相当に低い点が期待できると思います。70点台とか。だから絶対に出ないでほしい。彼女の歌は、機械に採点されるような歌ではないのです。
声はハスキーです。たくさん息を出しながら歌う感じで、低音はあまり得意ではないように感じます。しかし高音はハスキーなまま高い音にすっと入っていくので、まったく無理がなく歌っているように聴こえます。そして音程が決してぶれません。声を張り上げることなく高音に入っていくことと、音程がぶれないことの2点の特徴が聴く側にはとても心地よく、歌詞が直接心に入ってくるような感じがするのでしょう。
コンサートの何曲かは、出だしからしばらくアカペラで歌っていました。やり直しのきかないコンサートでアカペラを歌うのは相当に勇気のいることではないかと、素人ながら思ってしまいます。おそらく地声に自信があるんですね。だから堂々とアカペラで歌うのでしょう。カラオケの採点機にその自信が壊されることはないとは思いますが、変なトラウマにならないとも限りません。決してカラオケの採点番組に出ないでほしいものです。
手嶌葵という個性は、かつて聞いたことのない歌い方ができる稀有なものです。そしてその歌い方が聞く人の心に響きます。日本語の歌をたくさんカバーしていますから、ひとつでも聴いてみると、声を張り上げる系の女性歌手とは一線を画していることがわかります。CMソングに数多く登場していますが、何故CMに手嶌葵が起用されるのか、やっぱり歌を聴けばわかります。
このまま手嶌葵という個性を完成させるように頑張ってほしいものです。