北朝鮮の問題について、世界中の人がすでにみんな気付いていることだが、誰も言い出せない解決策がある。
それはアメリカが核兵器を廃絶することだ。現実的にはトランプにはもちろんできないだろうし、議会も承認しないだろう。アメリカの世論も核兵器廃絶には反対だろうし、軍需産業も黙ってはいないだろう。
しかし北朝鮮の核がダメでアメリカの核はOKだというのはどう考えても道理が通らない。日本で警察官が拳銃の所持が許されて一般人はダメだというのとは話が違うのだ。国と国とは対等でなければならないし、アメリカはもはや世界の警察としての役割を果たし得ない。日本の警察官も職務以外の拳銃の携行は許されないのだ。
オバマはそれがわかっていた。世界を核の脅威から救い出すためには、まずアメリカが核を廃絶しなければならない。無論大変な勇気のいる決断である。その勇気を彼はアメリカ国民に訴えた。やればできる、イエス、ウイキャン。
しかし残念ながらアメリカ国民はオバマの期待に応えることができなかった。軍需産業複合体と全米ライフル協会に代表される抵抗勢力が先頭に立ち、オバマの願いを悉く踏みにじったのだ。それは世界が核の脅威にさらされ続けることで緊張が持続し、武器の需要が継続するからだ。戦争は人と人との争いが生むのではない。武器が戦争を生み出すのだ。中東の紛争でどの国の武器が使われているか、報道を見てみればいい、大半がアメリカ製かロシア製だ。
もしトランプが世界一の権力者である合衆国大統領として、数十兆円の収益を上げる軍産複合体関係者の全員を無職に追い込むことも辞せず、侵略兵器の放棄に踏み出すなら、稀代の大統領としてリンカーンを抜いて歴史的に最高の評価を受けることができるだろう。オバマに続いてノーベル平和賞を受賞もするだろう。
軍需産業の収益は、大半がアメリカ国民の税金だ。それが侵略兵器でないものに使われれば、社会の底辺をさまよう膨大な人数が、人間の尊厳を回復できるだけの暮らしに復帰できるだろう。武器を作っていた人々は、平和のために働くことができ、尊敬を受けるだろう。アメリカが武器を作らなければロシアも作らなくなる。中東に回る武器がなくなって、子供たちが爆弾や銃弾や地雷の犠牲になることもなくなるだろう。
こんなことは世界中の人が分かり切っている。しかし誰も言葉にできない。何故なのか。そこに人類の不幸の秘密がある。武器商人はいつまでもいつまでも武器で稼ぎ続けたいのだ。日本の原子力ムラと同じ構図である。人類がアメリカの核を肯定し続ける限り、世界に平和が訪れることはない。