三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

舞台「シャンハイムーン」

2018年03月11日 | 映画・舞台・コンサート

 世田谷パブリックシアターで劇団こまつ座の芝居「シャンハイムーン」を観た。
 https://setagaya-pt.jp/performances/201802shanghaimoon.html

 上海での魯迅と日本人居住者との関わり合いを描いたヒューマンドラマで、井上ひさしらしい人間愛に溢れた芝居である。野村萬斎が魯迅を演じ、理論的でありながら頑固でもある人柄を生き生きと表現していた。この人の芝居は本当にハズレがない。
 魯迅の夫人役の広末涼子は意外と地味な印象だった。2年前にPARCO劇場で観た「猟銃」の中谷美紀さんが輝くような美しさだったので、同じようなオーラを期待していたが、ちょっと違っていた。演技は割といい。声ものびやかに出ているし発音もしっかりしている。芝居はとにかく言葉がちゃんと伝わるのが大事だ。まずは合格点といったところ。
 辻萬長、山崎一の二人が重要な役どころをしっかり押さえる。辻萬長は流石にこまつ座の俳優だけあって、井上ひさしの台詞の隅々を知り尽くしている。笑わせてくれるし、泣かせてもくれる。
 3時間5分(休憩15分)の長い芝居だったが、井上ひさしのこだわりの台詞が続いて、まったく飽きずに見られた。こまつ座の芝居は永作博美主演の「頭痛肩こり樋口一葉」と大谷亮介主演の「イヌの仇討」を観たが、今日の芝居も含めてどれも傑作だ。