労働法制見直し、中間報告見送り 労使からの反発で 2006年07月19日
朝日 http://www.asahi.com/life/update/0718/007.html
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20060719AT3S1802118072006.html
働く人と会社の雇用契約の基本ルールを定める新たな「労働契約法」や労働時間法制の見直しで、厚生労働省は18日に予定していた中間報告の取りまとめを見送った。当初から反発の強かった労働側に加え、残業代の割増率アップなどに使用者側からも反発が出ているためだ。同省は年内に最終報告をまとめ来年の通常国会に関連法案を提出する方針を変えていないが、今後の議論の立て直しや合意形成への道筋は見えていない。
労働法制の見直しの議論は、労使の代表と公益委員で作る労働政策審議会の分科会で昨秋から始まり、7月18日の分科会で中間報告の取りまとめを予定していた。
6月13日の分科会で、厚労省は中間報告の「素案」として、時間外が月30時間を超える場合の残業代の割増率を5割に引き上げる ▽長時間残業した人の休日取得を企業に義務づける ▽年収の高い人などを労働時間規制から外して残業代をなくす「自律的労働制度」の創設 ▽解雇の金銭解決の導入の検討――などを提案した。
しかし、労使双方が「これまでの議論が反映されていない」「議論不足だ」などと反発を強め、審議の中断を要求。労働側が自律的労働制度や解雇の金銭解決に、使用者側が割増率アップや休日確保義務などにそれぞれ強く反対している。
とりわけ、使用者側の中には、中小企業を中心に「恩恵を受けるのは大企業ばかりではないのか」との不信感もくすぶっており、使用者側の中での足並みの乱れも目立ってきた。
同省は、「中間報告」は行わないまま労使の意向を再調整して、年末の分科会答申に一気にこぎつけたい考えだ
厚労省はまだ諦めていないようですが、労働者側も使用者側も強行に反対している現実を考慮すれば、中間報告を取りやめる形になったのも無理ないでしょうね。
時間外労働の割増は資金繰りに苦しむ中小企業の体力を奪いかねませんし、自律的労働制度(難しい言葉を使っていますが、要はホワイトカラーイグゼンプション=一定年収以上の人には残業代を合法的に払わない制度 のこと)は年収ボーダーラインの設定次第では、かなりの方がサービス残業を合法化されるリスクがあります。解雇の金銭解決も、中小企業では現実的な路線なのかもしれませんが、勤続年数ごとの最低基準額(例えば勤続年数1年ごとに基本給の1か月分を加算するなど)が決められていない等の問題もあり、運用次第では解雇規制を骨抜きにしてしまう可能性を否定できません。
そういった問題点を深く洗い出さないで、先に法案を通すために、年末の分科会で取り決めるありきの厚労省の姿勢ってどうなんでしょうね。労働規制の緩和は一歩間違うと、ますます過重労働が進みかねないだけに、期限を設定することはあまり好ましくないと、個人的には考えます。
朝日 http://www.asahi.com/life/update/0718/007.html
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20060719AT3S1802118072006.html
働く人と会社の雇用契約の基本ルールを定める新たな「労働契約法」や労働時間法制の見直しで、厚生労働省は18日に予定していた中間報告の取りまとめを見送った。当初から反発の強かった労働側に加え、残業代の割増率アップなどに使用者側からも反発が出ているためだ。同省は年内に最終報告をまとめ来年の通常国会に関連法案を提出する方針を変えていないが、今後の議論の立て直しや合意形成への道筋は見えていない。
労働法制の見直しの議論は、労使の代表と公益委員で作る労働政策審議会の分科会で昨秋から始まり、7月18日の分科会で中間報告の取りまとめを予定していた。
6月13日の分科会で、厚労省は中間報告の「素案」として、時間外が月30時間を超える場合の残業代の割増率を5割に引き上げる ▽長時間残業した人の休日取得を企業に義務づける ▽年収の高い人などを労働時間規制から外して残業代をなくす「自律的労働制度」の創設 ▽解雇の金銭解決の導入の検討――などを提案した。
しかし、労使双方が「これまでの議論が反映されていない」「議論不足だ」などと反発を強め、審議の中断を要求。労働側が自律的労働制度や解雇の金銭解決に、使用者側が割増率アップや休日確保義務などにそれぞれ強く反対している。
とりわけ、使用者側の中には、中小企業を中心に「恩恵を受けるのは大企業ばかりではないのか」との不信感もくすぶっており、使用者側の中での足並みの乱れも目立ってきた。
同省は、「中間報告」は行わないまま労使の意向を再調整して、年末の分科会答申に一気にこぎつけたい考えだ
厚労省はまだ諦めていないようですが、労働者側も使用者側も強行に反対している現実を考慮すれば、中間報告を取りやめる形になったのも無理ないでしょうね。
時間外労働の割増は資金繰りに苦しむ中小企業の体力を奪いかねませんし、自律的労働制度(難しい言葉を使っていますが、要はホワイトカラーイグゼンプション=一定年収以上の人には残業代を合法的に払わない制度 のこと)は年収ボーダーラインの設定次第では、かなりの方がサービス残業を合法化されるリスクがあります。解雇の金銭解決も、中小企業では現実的な路線なのかもしれませんが、勤続年数ごとの最低基準額(例えば勤続年数1年ごとに基本給の1か月分を加算するなど)が決められていない等の問題もあり、運用次第では解雇規制を骨抜きにしてしまう可能性を否定できません。
そういった問題点を深く洗い出さないで、先に法案を通すために、年末の分科会で取り決めるありきの厚労省の姿勢ってどうなんでしょうね。労働規制の緩和は一歩間違うと、ますます過重労働が進みかねないだけに、期限を設定することはあまり好ましくないと、個人的には考えます。