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裸祭りポスター:JR東が「待った」…女性が不快感

2008-01-08 18:35:05 | Weblog
裸祭りポスター:JR東が「待った」…女性が不快感 2008年1月8日 毎日
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080108k0000m040136000c.html
露出が不快感を与えると掲示を断られた黒石寺の蘇民祭ポスター画像 http://mainichi.jp/select/wadai/news/images/20080108k0000m040155000p_size5.jpg
 岩手県奥州市の黒石(こくせき)寺で繰り広げられる伝統行事、蘇民祭(そみんさい)の観光ポスターを市が駅構内に掲示しようとしたところ、JR東日本から待ったがかかった。「男性の裸に不快感を覚える客が多い」というのが理由だ。数十年作製しているポスターの掲示拒否は初めてで、市は枚数を200枚減らして1400枚とし、駅で張れない分は市内や首都圏で張るという。
 祭りは、市内水沢区黒石の寺で裸の男衆が蘇民袋の争奪戦を繰り広げる。疫病よけや五穀豊穣(ほうじょう)などを願い1000年以上続くとされる。今年は2月13日夜~14日未明を予定している。
 ポスターは写真3枚を組み合わせ、ひげ面で胸毛の男性がアップに、奥に下帯姿の男性たちを配している。
 昨年11月30日に市がJR東日本盛岡支社に許可を求めた。JR側は本社の判断を仰ぎ、12月3日に図柄を変えない限り掲示できないと通知した。市は下帯など一部修正をしたものの、版下がほぼ完成しJRが求める図柄の全面変更は困難だった。
 JR東日本盛岡支社の佐藤英喜・販売促進課副課長は「セクハラが問題になる中、公共の場でのポスター掲示の基準は厳しくなっている」と説明する。そのうえで「単純に裸がダメというわけではないが、胸毛などに特に女性が不快に感じる図柄で、見たくないものを見せるのはセクハラ」と判断したという。
 奥州市水沢総合支所の佐々木禅(ゆずる)商工観光課長は「市と業者とで図柄を決めた後(の掲示拒否)で、日程的にも変更はできなかった」としたうえで「観光客が減るかもしれないが、市内に集中的に張ったり、首都圏の観光施設に掲示をお願いしたりして祭りを盛り上げたい」と話している。


 う~ん。最近は裸祭りのポスターまで、セクハラで訴えられる心配をしなければならない時代になったんですね。
 とはいえ、私もこのポスターの写真を見ましたが、はっきり言って『暑苦しい!!!』という印象しか受けませんでしたし、もし私が普段利用する駅に、このようなポスターが貼ってあったら、やはりうとましく感じたと思います。
 最近は画像加工の技術も発達していますし、例えば、胸毛男のドアップの写真と差し替えに、お寺の写真と祭りの歴史を記述するなり、いくらでも修正はできたのではないでしょうか。

大蔵省OB弁護士グループ、追徴減額の3億円を丸々報酬に

2008-01-08 18:29:23 | Weblog
大蔵省OB弁護士グループ、追徴減額の3億円を丸々報酬に 2008年1月6日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080106i201.htm
 旧大蔵省OBの弁護士らのグループが、約70億円の所得隠しを指摘されたパチンコ景品交換業者の追徴課税処分に対する異議申し立て手続きを代行して、3億円もの報酬を受け取っていたことがわかった。
 報酬が支払われたのは2006年だが、弁護士らは「節税対策」と称し、07年から数年に分けて支払われたことにする経理操作も依頼していた。業者側は3億円の支払いで、異議申し立てによる減額分を吐き出す形になっており、「不当に高い」として弁護士らに返却を求める考えだ。
 巨額の報酬を受け取っていたのは、元大蔵省銀行局審議官の杉井孝弁護士(60)と、元国税局OBの税理士2人。杉井弁護士は1998年に金融機関からの過剰接待で懲戒処分を受けて辞職、税理士らは東京国税局査察部次長や八王子税務署長などを務めていた。
 関係者によると、金沢市などでパチンコ景品交換業を営んでいた中村直秀氏(昨年9月に85歳で死去)は06年初め、金沢国税局から収入の多くを除外したとして04年までの7年間で約70億円の所得隠しを指摘され、重加算税を含めて所得税約38億円を追徴課税(更正処分)された。中村氏はこれを不服として、東京国税局間税部長の経験もある杉井弁護士に異議申し立ての手続きを依頼。杉井弁護士は税理士らと数人で「杉井プロジェクト」と名付けたグループを作り、中村氏の住所が移転したのに伴い、06年4月ごろ東京国税局に異議を申し立てた。
 グループへの報酬は、申し立て前の3月ごろに着手金5000万円、10月ごろに2億5000万円が支払われた。2億5000万円は銀行口座を通さずに税理士2人が金沢市に出向いて現金で受け取り、「代理業務等報酬の中間金」と記した「預かり証」を渡した。
 中村氏の遺族によると、税理士は3億円の算定根拠を、地方税も含めて70億円に上る追徴税額を10億円に減額する見込みがあるとして「差額60億円の5%」と説明。東京国税局が昨年6月に出した決定では、税額が約3億円減らされただけで中村氏側の主張はほぼ退けられたが、その後も精算されていないという。
 また、業務の大部分は06年中に終わっていたが、グループは、中村氏に2億5000万円を07年から数年に分けて支払った形にするよう要請。報酬の20%(100万円以下の部分は10%)の源泉所得税分も追加負担するよう求めてもいた。
 3億円から杉井弁護士は6500万円、税理士2人は各8000万円前後を受け取ったとみられる。弁護士や税理士の報酬基準は、規制緩和で02~04年に廃止されたが、中村氏側の新たな代理人弁護士は、「税額の減額幅は期待とかけ離れており、報酬は明らかに過大」と指摘。中村氏は20億円近くの追徴税を滞納しており、遺族は「言われるままに払ったが、納税のためにも払い過ぎた分は返してほしい」と話している。
 読売新聞の取材に対し、グループの税理士は「非常に難しい案件で、報酬額は妥当」とし、分割払いの形を装おうとした理由を「中村氏の源泉所得税の負担を軽くするため」と説明した。杉井弁護士は「中村氏との契約に基づき報酬をもらった。杉井プロジェクトなんて知らない」としている。

巨額報酬弁護士、内規で義務付けの委任契約書を交わさず 2008年1月7日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080107i401.htm?from=main4
 旧大蔵省OBの杉井孝弁護士(60)らのグループが、国税当局に所得隠しを指摘されたパチンコ景品交換業者から巨額の報酬を受け取っていた問題で、杉井弁護士は異議申し立て手続きを依頼された際、報酬などを明記した委任契約書を渡していなかったことがわかった。
 日本弁護士連合会(日弁連)は内部規定で委任契約書作成を義務付けており、業者側は杉井弁護士の懲戒請求を検討している。
 関係者によると、杉井弁護士は2005年に金沢国税局の税務調査を受けたパチンコ景品交換業・中村直秀氏(昨年9月死去)を知人から紹介され、相談に乗るようになった。06年に中村氏が約70億円の所得隠しを指摘され、重加算税を含めて約38億円を追徴課税(更正処分)されると、東京国税局OBの税理士らと作ったグループで国税当局への異議申し立て手続きの代理業務を受任。同年中に計3億円の報酬を受け取った。
 弁護士報酬については04年、業務内容などに応じて具体的に定めた基準が規制緩和で撤廃された。日弁連は弁護士と依頼者とのトラブルを防ぐため、基準に代わって新たに「弁護士の報酬に関する規程」を策定。弁護士に対し、独自の報酬基準の作成や法律事務を受ける際に依頼人に報酬額や費用を説明すること、報酬額や支払時期などを明記した委任契約書を作成することを義務付けた。
 契約当時、中村氏は療養中で、グループとの打ち合わせは親族や知人があたった。親族などによると、杉井弁護士とは委任契約書を交わしておらず、グループから口頭で着手金として5000万円、中間金として2億5000万円を支払うよう求められたという。
 中村氏側は今後、グループに支払った3億円は不当に高かったとして、過払い分の返却を求める考えだが、中村氏側の代理人弁護士は杉井弁護士が日弁連の内規に違反した点についても「懲戒請求の提起も考えたい」としている。
 一方、グループの税理士2人は3億円から各8000万円前後の報酬を受け取ったとみられるが、税理士については顧客への説明責任を義務付けた税理士会の内規はないという。
 杉井弁護士は取材に、「厳格には(委任契約書を)作成していなかったかもしれない」と述べている。




 この問題。報酬額が妥当かどうかもさながら、現金で受け取った2億5000万円の存在を立証できるかどうかもかなり難しい問題を抱えているように思います。
 事実杉井弁護士は『杉井プロジェクトなんて知らない』と関与を否定しているようですし、せめて2億5000万円が金融機関経由での振込ならば、キャッシュの出入りを立証できたかもしれませんが、税理士2人が金沢市に出向いて現金で受け取ったというのでは、極端な話、この2人がトンズラしてしまえば、立証そのものが非常に困難になるのではないでしょうか。
 そうなれば、3億の減額に対して5000万円の出費が妥当かどうかになりますが、この程度(3億に対して5000万円)ならば、報酬は法外とまではいえないでしょうね。
 結局のところ、中村氏側は、報酬の妥当性と、払った金額が5000万円かそれとも3億円かという双方で裁判を争わなければなりませんが、被害者にとって満足した判決を得るのは正直かなり厳しくなりそうな気がしますね。

厚生年金:給与記録改ざんが発覚 社保事務所の関与も

2008-01-08 18:22:47 | Weblog
厚生年金:給与記録改ざんが発覚 社保事務所の関与も 2008年1月6日 毎日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080106k0000m040109000c.html
 会社員が加入する厚生年金の受給額に大きく影響する「標準報酬月額」の記録に誤りが含まれている可能性が出ている。全容は不明だが、総務省の年金記録確認第三者委員会は07年末で、報酬月額が不正に引き下げられたり消されたケースを7件確認した。これとは別に、東京都内の会社社長が毎日新聞の取材に、経営難の中で社員の報酬月額に改ざんがあったことを認め、社会保険事務所の関与も証言した。
 この問題は民主党も追及する方針で、第2の年金記録問題に発展するとの声もある。
 改ざんがあったのは貿易関連会社。社長(64)によると、経営が悪化していた94年ごろ、社員10人の年金保険料が支払えなくなり、都内の社会保険事務所の職員から電話で「滞納分を現金で持参するように」との指示を受けた。数十万円を2、3回に分けて運んだ。
 その後は社員のほとんどをリストラし、経営も回復、社会保険事務所から連絡もなかった。ところが、03年に元社員の一人から「自分の標準報酬月額が過去2年分、30万円から(当時最低額の)8万円に下げられている」と指摘され、当時の社員全員の年金データが改ざんされていたことに気づいた。
 元社員には会社が支払わずに済んだ分を渡したが、他の元社員には改ざんの事実は伝えておらず、このままでは年金額は減る。社長は「改ざんはすべて社会保険事務所がやったこと。元社員が指摘するまで、そんな手口があること自体、知らなかった」と話す。
 標準報酬月額は、引き下げられれば、保険料と同時に年金受給額も比例して低額になる。過去の年金データを改ざんし、保険料の滞納額を減らせば、会社は保険料納付が容易になり、社会保険事務所にとっても見かけの徴収率をアップできる。
 社会保険庁適用・徴収対策室は「改ざんなど具体的な事実を把握していないのでコメントできない」としている。

【ことば】標準報酬月額 月給にほぼ相当し、4~6月の平均給与をもとに算出する。9万8000~62万円の30等級に分けられ、現在はそれに保険料率14.996%をかけたものが保険料となる。保険料は本人と会社が折半して負担する。


 別に、この報酬月額を不正に減額(手口としては、一旦退職してパートとして再雇用したとの偽の資格取得・喪失届を出したりします)して社会保険料を逃れる手口そのものは、多少年金に知識のある社会保険労務士の間では公然の秘密で、『何を今更…』という気もしなくもないのですが、もし社会保険事務所の職員がこの違法な手口を教えていたのだとしたら、問題になりそうですね。
 ちなみに、この不正行為がバレるのは、大概は会社を退職して、雇用保険を受給するときに、予想した額より低いことがきっかけで発覚することが多いのですが、ここまで露骨にやれば、バレるのは当たり前。もし納付率の向上目的で、職員がこのような違法な手口を教えたのだとすれば、絶対に許せない行為ですし、大至急全ての社会保険事務所内での事実確認が必要だと思います。

船場吉兆の再開、本店以外は困難 博多保健所が立ち入り

2008-01-08 18:19:55 | Weblog
船場吉兆の再開、本店以外は困難 博多保健所が立ち入り 2008年01月07日 朝日夕刊
http://www.asahi.com/national/update/0107/SEB200801070001.html
 産地偽装や賞味・消費期限の改ざん問題で全店舗が営業を自粛中の高級料亭「船場吉兆」(大阪市中央区)の博多店(福岡市博多区)に7日、市博多保健所が立ち入り調査した。同社は今月中にも本店や心斎橋店(大阪市中央区)、博多店の営業を再開したい意向だったが難しい状況で、本店だけで再開する予定だ。
 船場吉兆は昨年末、同保健所に博多店を再開したい意向を伝えており、職員が博多店の衛生状況などを確認した。
 だが、博多店が入る商業施設「イニミニマニモ」の担当者は「大阪府警の捜査の結論が出ない限り、再開を許可することはない。船場吉兆は信頼を回復できていないし、今の時点で再開してしまうと、非難が私どもにもきてしまう」と語り、再開には否定的だ。一方、心斎橋店が入る「心斎橋OPA」の運営会社は昨年末に契約解除の方針を伝えている。
 船場吉兆の関係者は「本店は今月中にも再開したいが、心斎橋店や博多店の再開は難しい」と話している。
 船場吉兆は昨年末、大阪市保健所に3店の営業を再開する意向を伝えていた。


 船場吉兆ですが、会社側の希望とは裏腹に、当面は再開は本店のみとなりそうです。まあ、博多の担当者としては、『(もし契約を解除したところで)吉兆以上に売り上げを上げることができる後継テナントが見つかるか?』という思いと『(下手に営業再開許可を出して)もし再開した後に不祥事が発生したら、今度はこちらが世論に叩かれるかもしれない』という思いを天秤にかけて、リスクの低い方を選ばざるを得なかったのだとは思いますが、大阪のミナミと博多の集客力の差が、対応の違いの差も見せつけた気もしますね。
 私も、今は経営資源を大阪と博多の2拠点に分散することは得策とは思えませんし、もし本店の営業だけでは人が余るというのならば、(逃げられては困る高度な人材の慰留工作を行った上で)再就職先探しの援助付きで希望退職第二段を募集する(あくまでも“希望”する方に留める方がポイントです)方が、会社が生き残る確立は高いと思います。

二重派遣:佐川グループ企業に改善命令へ…厚労省

2008-01-08 18:15:35 | Weblog
二重派遣:佐川グループ企業に改善命令へ…厚労省 2008年1月7日 
毎日夕刊 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080107k0000e040023000c.html
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080107i104.htm
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080107/crm0801071108004-n1.htm
 佐川急便グループの佐川グローバルロジスティクス(SGL、本社・東京都品川区)が派遣会社から受け入れた労働者を別の企業に派遣する「二重派遣」をしていたとして、厚生労働省は労働者派遣法に基づく事業改善命令を出す方針を決めた。二重派遣での改善命令は初のケースという。
 SGLは、佐川急便グループの持ち株会社SGホールディングス(京都市)の子会社。
 厚労省などによると、倉庫業務などを行っているSGLは、04年11月から07年8月まで、日雇い派遣大手のグッドウィルから受け入れた延べ約1万1000人を、浜松市の大手通販会社の倉庫に派遣して働かせたという。二重派遣は、派遣労働者の安全管理など雇用者の責任があいまいとなることや会社側によるマージンの二重取りで賃金が低くなることなどから禁止されている。
 SGLは、労働者派遣法の派遣事業許可を得ている。典型的な二重派遣に当たり、期間が長く規模も大きいことから、同法の処分対象となった。東京労働局が昨年末に同社へ不利益処分の予定を通知しており、弁明を聞いたうえで最終的な処分が決まる。
 派遣労働を巡っては、グッドウィルが港湾倉庫や建設など派遣が禁じられている業務に違法な派遣を続けていたとして、厚労省は昨年末、事業停止命令の通知を出している。今月中にも処分が決まる見込みだが、違法行為の広がりが問題化していた。厚労省は次期通常国会での労働者派遣法改正を見送っているが、日雇い派遣労働に関しては省令などでの規制強化を検討している。
▽佐川グローバルロジスティクス総務課の話 法令順守の体制に問題があった。厳粛に受け止め、厚労省の処分を受け入れたい。


 一言に二重派遣と言っても、ソフトウェア業界では半数近くが “派遣元の社員を名乗っているが、実は二重派遣されている方” というケースも珍しくないのですが、こちらのケースでは、①日雇い派遣労働者を二重派遣した、②違法派遣の人数が述べ約11000人と、スキル不足や人手不足のために、臨時的に他の会社から来て貰うレベルを完全に逸脱している、③倉庫派遣の仕事の場合、危険な就業場所もあり、この状態を放置すれば港湾倉庫などにも派遣しかねない などの諸条件が重なり、見せしめをかねて処分したというのが実態でしょうね。
 (法的にはともかく)臨時的・スキル的に二重派遣を利用するのは必要悪としても、さすがにマージン目的ありきだと、いつのまにかそれが当たり前となる怖さがありますし、こういうケースは処分もやむを得ないと思います。

3児死亡事故、被告に懲役7年6カ月 危険運転適用せず

2008-01-08 18:09:23 | Weblog
3児死亡事故、被告に懲役7年6カ月 危険運転適用せず 2008年01月08日
朝日夕刊 http://www.asahi.com/national/update/0108/TKY200801080043.html
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080108AT1G0800J08012008.html
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080108i204.htm?from=main2
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080108/trl0801081218002-n1.htm
毎日夕刊 http://mainichi.jp/select/today/news/20080108k0000e040012000c.html
 福岡市東区で06年8月、幼児3人が死亡した飲酒運転事故で、危険運転致死傷罪と道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われ、懲役25年を求刑されていた元同市職員・今林大被告(23)の判決公判が8日、福岡地裁であった。川口宰護(しょうご)裁判長は危険運転致死傷罪の成立を否定したうえで、予備的訴因として追加された業務上過失致死傷罪などを適用。業務上過失致死傷と道交法違反の組み合わせでは最高刑に当たる懲役7年6カ月を言い渡した。
 川口裁判長は危険運転致死傷罪の要件である「酒の影響で正常な運転が困難な状態」について「正常な運転ができない可能性がある状態では足りず、現実に道路・交通状況に応じた運転操作が困難な心身状態にあることが必要」と判示した。
 そのうえで本件を検討。被告の飲酒量については検察側の主張通り、自宅や居酒屋、スナックで缶ビール1本と焼酎のロック8~9杯、ブランデーの水割り数杯を飲んだと認定した。が、事故後の飲酒検知は呼気1リットルあたり0.25ミリグラムで酒気帯び程度だったことなどから「泥酔状態」との検察側主張を退けた。
 そして「被告はスナックから現場まで約8分間、普通に右左折やカーブ走行を繰り返し、蛇行運転などの事実は認められない。事故直前も衝突回避措置を講じており、正常な運転が困難な状態にはなかったと強く推認される」と述べ、故意犯である危険運転致死傷罪の成立を否定。事故原因を脇見運転と認定したうえで、「過失程度の大きさ、結果の重大性、酒気帯び運転とひき逃げの悪質性から、刑の上限に当たる7年6カ月が相当」と量刑理由を述べた。
 川口裁判長は「一生かけて罪を償ってほしい」と説諭。今林被告は即日収監された。
 公判では、被告が「正常な運転が困難な状態」にあると認識しながらあえて運転したかどうかや、事故当時の酔いの程度が争われてきた。
 検察側は(1)居酒屋の店員に「酔うとります」と言った(2)現場直前の交差点を大きくふくらみながら左折(3)見通しのよい直線道路なのに約12メートル手前まで被害車両に気付かなかった、などを挙げ、「被告は正常な運転が困難な状態にあり、かつ、その認識があったのは明らか」と訴えていた。弁護側は、飲酒検知結果などに基づき危険運転致死傷罪を否認。脇見運転が原因と主張し、量刑の軽い業務上過失致死傷罪の適用と執行猶予付きの判決を求めていた。
 地裁は結審後の昨年12月、予備的訴因として業務上過失致死傷罪と道交法違反(酒気帯び運転)の追加を福岡地検に命じた。地検は、命令に応じなければ危険運転については無罪となる見通しとなったため、追加に応じたが、危険運転致死傷罪を適用すべきとの立場は変えておらず、控訴を検討するとみられる。同地検の吉浦正明次席検事は「判決を子細に検討したうえで上級庁とも協議して適切に対応したい」とのコメントを出した。
 判決によると、今林被告は06年8月25日午後10時50分ごろ、福岡市東区の「海の中道大橋」で、乗用車を時速100キロで飲酒運転。大上哲央(あきお)さん(34)のRVに追突して海に転落させ、長男紘彬(ひろあき)ちゃん(当時4)、次男倫彬(ともあき)ちゃん(同3)、長女紗彬(さあや)ちゃん(同1)を水死させ、哲央さんと妻かおりさん(31)にも軽傷を負わせて現場から逃げた

「過失」の判断、やりきれなさ残す 福岡3児死亡判決 2008年01月08日 朝日夕刊
http://www.asahi.com/national/update/0108/SEB200801080009.html
 幼い3人の命を奪った飲酒事故は「危険運転」ではなく「過失」と判断された。福岡市で06年8月に起きた3児死亡事故で、8日の福岡地裁判決は危険運転致死傷罪の成立を否定して業務上過失致死傷罪を適用。そのうえで量刑は道路交通法違反罪との併合で上限となる懲役7年6カ月とした。遺族はやりきれなさを抱えつつ、減刑しなかった判決に一定の理解を示した。主張が認められた形の今林大被告(23)はうつむいたままほとんど身動きしなかった。
 遺族の大上哲央(あきお)さん(34)、かおりさん(31)夫妻は午前9時40分ごろ、福岡地裁に姿を見せた。哲央さんは3人の子どもたちの遺影を手に、かおりさんは事故後の昨年9月に生まれた次女愛子ちゃんを胸に抱いていた。
 2人は傍聴席の前から4列目の中央付近に座った。危険運転致死傷罪が適用されれば最高刑は懲役25年だが、昨年12月の地裁による訴因変更命令で、その可能性は薄らいでいた。
 「懲役7年6カ月」。主文が言い渡されると、哲央さんは大きく息をついた。かおりさんは厳しい表情のまま、ひざの上に乗せた左手でハンカチを握りしめた。判決理由の中で裁判長が「3児はいずれも宝物」と述べると、こらえきれずに涙を流した。
 閉廷後、夫妻は代理人の弁護士とともに記者会見した。哲央さんは判決について、「当初から裁判所の判断に委ねると言ってきたので、それはそれとして受け止めたい」とひと言ずつしぼり出すように語った。
 かおりさんは涙を浮かべながら、「危険運転致死傷罪の適用には高いハードルがあることを実感した」。一方、業務上過失致死傷罪適用での最高刑が下されたことには「裁判官の思いが伝わってきた」と評価した。3人の子どもの遺影を持ってきた理由について尋ねられると、「3人の大きな命を奪い取ったという事実を、被告にわかってほしいと思ったから」と話した。
 今林被告への憤りは消えない。哲央さんは「彼の顔をきちんと見て、私たちや子どもたちの未来を壊したんだと改めて感じた」。かおりさんは「被告の表情がないことに違和感を覚えた。3人の命を奪ったことをどう感じているのか。彼が事故後に自己保身に動いている中で子どもたちが亡くなったことを考えると、たまらなくなった」と話した。
 今後の見通しについて、代理人の弁護士は「大上さん夫妻から控訴の要請などに動くことはないが、厳罰に処してほしいと思っているので、検察が判断すると思う」と述べた。
 表面的には落ち着きを取り戻しつつある様子も見せていた夫妻だが、幸せな家庭を破壊された心の傷はいまも癒えない。
 事故直後は2人とも「なぜ子どもたちを助けることができなかったのか」と自分たちを責めた。昨年9月に法廷で証言した哲央さんは「私たちの宝である貴い命を奪った被告を厳重に処罰してほしい」と厳しい遺族感情を吐露。同じ日、「懲役25年の刑が下ると確信している」というかおりさんの供述調書も読み上げられた。
 ただ、飲酒運転の厳罰化だけを望んできたわけではない。事故の後で逃げずに救助活動をした人には寛大な処置も必要だと考えている。根底にあるのは「今林被告が救助に当たってくれていたら、子どもたちは助かったかもしれない」との思いだ。

故意犯の危険運転致死傷罪 立証困難、判断もばらつき 2008年1月8日 産経
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080108/dst0801080902004-n1.htm
毎日夕刊 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080108k0000e040053000c.html
 構成要件が厳しく、故意の認識を立証しなければならない危険運転致死傷罪には、常に適用の難しさが付きまとう。起訴に持ち込んでも、1審と控訴審で結論が分かれた事故もあり、司法判断の基準も定着しているとはいえないのが現状だ。
 愛知県春日井市で平成18年2月、乗用車が赤信号の交差点に進入し4人を死亡させた事故では、福岡市の3幼児死亡事故と同様に、名古屋地裁が業務上過失致死傷罪の予備的追加を検察側に求めた。判決は同罪を適用し、懲役6年を言い渡した。
 ところが名古屋高裁は昨年12月、ほぼ同じ証拠を用いながら、事故現場の見通しが良かった点などの客観的状況から故意を認定。「赤信号を殊更に無視した」と判断し、危険運転罪を適用、懲役18年としている。
 千葉県松尾町(現山武市)で17年2月、飲酒運転車が男女8人をひき逃げした事故は、自首が事故の翌日で、運転当時の正確な飲酒量が分からないケースだった。その後の捜査で日本酒5、6合などを飲んでいたことが判明したものの「運転が困難なほど酔っていなかった」と無罪を主張。
 千葉地裁は目撃証言や「酒に酔い、いつものハンドル操作ができなかった」とする捜査段階の供述などから危険運転を認定。懲役20年とし、最高裁で確定している。
 18年9月に埼玉県川口市で園児の列に車が突っ込み女児4人が死亡した事故では、飲酒や高速走行などの要件を満たさないため、捜査段階で適用が見送られた。遺族らが強く適用を求めたが、前方不注視による業務上過失致死傷罪で起訴。さいたま地裁判決は懲役5年を言い渡した。




 この事件。飲酒運転撲滅のイメージCMにも採用されるなど、社会的関心はかなり高いものと思われるのですが、地裁判決は危険運転致死傷罪の適用は見送り、業務上過失致死傷と道交法違反の組み合わせでの上限に当たる懲役7年6カ月を言い渡しました。
 まあ、昨年の12月に地裁が『予備的訴因として業務上過失致死傷罪と道交法違反(酒気帯び運転)の追加を福岡地検に命じた』あたりから、嫌な予感はしていたのですが、直接人を3人も殺せば “無期懲役~死刑” の重い判決が出るのに、車の事故による死亡となると、途端に罪が大幅に軽くなるのはやはり納得がいかないものがありますし、『ここまで危険運転致死傷罪の適用が難しいのならば、一体何のためにこの量刑を新設したのかな…』とどうしても考えさせられるものがあります。
 それはそうと、気になるのは『(知人に)水の持参を頼んだ言動』を川口裁判長が『判断能力があった』とむしろ減刑材料としている一件。この行為は水をがぶ飲みして、被告の体内のアルコール濃度を減らすことが目的だったと思われますし、道義的には飲酒運転を隠蔽しようとした分だけ罪は重いはずなのに、皮肉にも被告を危険運転致死傷罪の適用から逃すことになってしまいました。
 別に危険運転致死傷罪が適用されたからといって、必ずしも上限あるいは上限ぎりぎりの量刑を適用しなければならない決まりはありませんし、上限はあくまでも上限。一旦上限を適用した上で、本人が本当に心底反省しているのならば少し早く釈放することを適用する選択肢だってありますし、もう少し弾力的に危険運転致死傷罪を適用しても良いのではないかと思いますね。