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弱いはずの「円」急上昇 ドル・ユーロがもっと弱いだけ?

2010-05-23 06:27:19 | Weblog
弱いはずの「円」急上昇 ドル・ユーロがもっと弱いだけ? 2010年05月22日 J-CAST
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/business/n_tokyo_gaitame2__20100522_2/story/20100521jcast2010267096/
 「円」が急上昇している。2010年5月21日の東京外国為替市場で円はドルやユーロに対して上昇。前日の米ニューヨーク株式市場の株価下落を受けて、対ドルは21日午前に1ドル89円台後半を付けた。東京市場で90円を突破するのは約2か月ぶりのこと。対ユーロでも円は一時、1ユーロ112円台前半と前日の終値に比べて1円以上上昇した。
 このところ高値圏で推移していた豪ドルも下落。また、上昇基調にあった原油や金、プラチナなども下落に転じており、投資マネーが「円」に流れ込んできている。

株価は年初来安値9784円
 東京株式市場の株価下落は、米株式市場が下げた影響と、円高になって自動車や電機などの輸出関連株が大きく下落するのがパターン。つまり、株安の元凶に「円高」は付きものだ。
 2010年5月21日の日経平均株価の終値は前日比245円79銭安の9784円54銭で、年初来安値を更新。1万1000円台だった4月30日から、1か月も経たないうちに1200円超も急落した。
 株式市場の混乱は世界的に広がっていて、アジアでも韓国やシンガポール、台湾、香港など、21日は中国・上海を除いて軒並み下落した。
 その原因となった外国為替相場は、ドルもユーロも売りが優勢で、買われているのは円だけの状況。東京市場では1ドル87~90円で推移。ユーロは、ニューヨーク市場で8年半ぶりの高値となる1ユーロ109円台まで上昇したが、東京も1ユーロ112円台前半の高値水準で推移した。
 ギリシャの財政危機に端を発した欧州の経済不安によってユーロ円は、今年に入ってから20円超も下落した。国際通貨基金(IMF)などがギリシャ支援を打ち出し、いったんは収まったかにみえたが、ドイツの金融規制の強化が表面化したことで欧州連合の足並みの悪さが浮き彫りになって、「ユーロ不信」はさらに広がった。

本当に強い通貨は「中国元」
 第一生命経済研究所の主席エコノミスト嶌峰義清氏は「『円高』というからイメージとの乖離が出てくるのであって、『ドル安』『ユーロ安』と評したほうがいいでしょう」と、為替相場の現状をそう話す。
 米国での株価下落は、「発表された経済指標が思いのほか弱かったことで嫌気がさしたことがある。欧州のようすも含めて、不透明だからリスクの高い株を手放したり、益出ししたりしている」と説明する。
 欧州の財政不安に、米経済指標の悪さと心理的に後ろ向きなことが重なったところがある。いまの円高は少々行き過ぎのようでもある。
 嶌峰氏は、「本来、国の力が通貨の力と考えれば、中国元はかなり強いはず」という。中国は世界最大の経常黒字国であり、実質GDP成長率の高さをみれば明らか。内需拡大も持続的だ。欧米景気に悪化の懸念が生じても、中国が相対的に高い成長を保ってくれるという期待もあって、「人民元の独歩高になってもおかしくない」という。
 中国元といえば、「切り上げ」が話題で、エコノミストの一部には「欧州の財政問題が片付いたら、中国の元切り上げが待っている」との見方もある。
 嶌峰氏は「中国の内需がさらに高まり、インフレ圧力が著しく高まれば、切り上げも考えられる」とみている。



 先週の日経平均の急落と急激な円高進行について、興味深い分析をしている記事があったので、こちらでも掲載したいと思います。
 なるほど。円が強くなったのではなく、ドルやユーロがもっと弱いだけですか…。
 まあ、一番強いと思われる中国元が実質的な為替管理を行っている以上、比較的安全な通貨と思われている円に資金が逃げているのはわからなくもないのですが、実は円という通貨も国の借金以上に日本の金融資産が多く、郵便局や金融機関が採算度外視で国債を購入しているから、国債の金利も急騰せず、相対的に信頼されているだけのこと。
 どこかの金融大臣のように勘違いも甚だしい油断をこいていると、途端に急激な円安&輸入物価の高騰といった事態にもなりかねませんし、もし借金の額の方が多くなって海外から借金せざるを得なくなった時に、果たしてこのような余裕などぶっこいていられるのかはよく考えておきたいところです。
 どうしても株価の急落の方にばかり目移りしそうになりますが、このユーロやドルの急激な通貨安。決して日本も他人事ではないことだけは間違いないと思うんですけどね…。

飼料会社など中小企業の資金繰り支援 口蹄疫で経産省

2010-05-23 06:06:34 | Weblog
飼料会社など中小企業の資金繰り支援 口蹄疫で経産省 2010年5月22日 朝日 
http://www.asahi.com/business/update/0521/TKY201005210110.html
 家畜の伝染病の口蹄疫(こうていえき)が広がっている問題で、経済産業省は21日、宮崎、鹿児島、熊本の3県の中小企業に対する資金繰りの支援策を発表した。日本政策金融公庫の貸し付け手続きの簡素化や、商工組合中央金庫の危機対応貸し付けを使えるようにすることなどが柱。主に飲食店や小売店、畜産用の飼料メーカーなどの利用を想定している。



 一方、殺処分する牛や豚の金銭補償問題については議論されているものの、生きている動物の出荷もできなければ、当然ながらその動物代の餌代なども余計にかかるわけで、緊急の運転資金の借り入れが必要な農家への対応はどうするのだろうと本気で心配していたのですが、こちらについても、飲食店や小売店、畜産用の飼料メーカーなどに対しては、日本政策金融公庫の貸し付け手続きの簡素化や、商工組合中央金庫の危機対応貸し付けを使えるようにする支援策を打ち出したものの、肝心の農家の資金繰り支援については、(紙面や農林水産省のHPを読む限りでは)まだ固まっていないようですね…(溜息

 実は通常の自治体融資というのは、保証協会付きの融資(要は自治体ではなく保証協会が審査を行う)となっていて、私の住む県では、バーやクラブなど風俗営業許可のいる業種や保険代理店を除いた金融機関の大半に加えて、農林水産業のほとんども保証対象外の業種とされている(おそらく農家は監督官庁が違うということで除外されているのではないでしょうか…)のですが、おそらくは宮崎県でも同様の取扱でしょうし、『本来ならば地元の金融機関と共に、このような緊急事態だからこそ、真っ先に活躍しても貰わなければならないはずの自治体融資が使えないのでは意味がなく、ますます農家の混乱を招くのではないか』という懸念をどうしても感じてしまうのですが、結局は地元の農協に頑張ってもらうしかないのでしょうか…(溜息
 農協の経営も厳しいだけに、本当に必要な資金が個々の農家に行き渡るのかという懸念はどうしても感じてしまいます。

 正直、飲食店や小売店なら保証協会付き融資だって使えるんだし、『他の業種の支援よりも、農家への緊急融資の整備を最優先しろよ!』と思いますが、このような緊急事態だからこそ、政府の取組が厳しく問われていくことになるのではないでしょうか…。

種牛「忠富士」が感染、残る5頭も同じ畜舎に

2010-05-23 05:32:43 | Weblog
種牛「忠富士」が感染、残る5頭も同じ畜舎に 2010年5月22日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100522-OYT1T00422.htm
 宮崎県産の種牛1頭が口蹄疫に感染した問題で、感染した種牛によだれなどの口蹄疫特有の症状が出ていることが22日、分かった。
 農林水産省と県は、同じ畜舎にいる残り5頭についても感染の恐れがあるとみて、今後、遺伝子検査を行いながら経過観察する。感染した種牛は同日中に殺処分される。松阪牛など全国のブランド牛を支えてきた宮崎牛の種牛が絶える可能性が出てきた。一方、同省などは同日午前、家畜の移動制限区域(半径10キロ圏)内で殺処分に向けたワクチン接種を始めた。
 22日未明に県庁で開かれた記者会見で県幹部は「ほかの種牛も厳しい。感染していれば宮崎牛は壊滅だ。深刻な事態になった」と説明。山田正彦・農林水産副大臣も読売新聞の取材に、「赤松農相や知事と協議するが、殺処分もあり得ないわけではない」と語った。
 同省などによると、感染が判明したのは「忠富士(ただふじ)」という7歳の種牛。動物衛生研究所(東京都)で行った4回の遺伝子検査で、直近の19、20日に採取した検体に陽性反応が出た。
 6頭は、県家畜改良事業団(同県高鍋町)が一括管理してきた55頭のうち最後の種牛。高鍋町周辺で感染が多発したため、今月13日、種牛を守るため、西都市の畜舎に特例として避難させていた。49頭は殺処分された。残る5頭は22日午前現在、忠富士と同じ畜舎で飼育されている。
 これまでの遺伝子検査の結果はすべて陰性だった。家畜伝染病予防法では、感染牛と同じ畜舎にいる場合は殺処分対象となるが、県は特例として21日から10日間の観察期間を設定。経過観察期間の初めの1週間は、毎日、遺伝子検査を実施する。
 一方、22日に始まったワクチン接種は、まだ感染が確認されていない農場の約16万5000頭が対象。殺処分が前提だが、埋却場所が確保されるまで、ワクチンにより感染拡大を防止する目的。ウイルスを拡散させないように、これまで感染した牛や豚の殺処分作業に従事していない県外からの応援組を中心に約30人の獣医師が担当する。県などは「農家の同意を得ながら、3~4日で終わらせたい」としている。
 県は、対象地域の外側から内側に向かって接種を進めることで感染の広がりを抑える方針で、この日は宮崎市と木城、高鍋町の養豚農家計7軒で、約1万9500頭の豚に接種する。

忠富士、既に症状…周囲にウイルスまき散らす? 2010年5月22日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20100518-296281/news/20100522-OYT1T00550.htm
 宮崎県で口蹄疫に感染した忠富士と残る5頭の種牛は、避難のために同県西都市の山奥に設けられた同じ仮設畜舎で管理されている。
 忠富士が神経質な性格のため、ほかの5頭との間には1頭分のスペースが設けられていたものの、それぞれの種牛を仕切るのは高さ約3メートルの板1枚。上部は吹き通しで、前後に壁はなかった。
 また6頭は今月13日の移動の際、2台のトラックに分乗して運ばれたが、途中、荷台で1泊野営したという。
 忠富士には既に、よだれが出るなど口蹄疫の症状が出始めており、周辺にウイルスをまき散らしている可能性もある。口蹄疫のウイルスは空気感染するとされている。
 22日未明に行われた県の記者会見では、管理体制への質問も出たが、県側は、「一人が同時に複数の牛の世話をしないようにしたり、ふん尿が隣の牛がいるスペースに流れ込まないようにしたりした」などと説明し、「対策は万全を尽くした」と強調した。

1滴25万円 種主の精子の値段 2010年05月22日 ゲンダイネット
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_fmd2__20100522_3/story/22gendainet000113587/
 宮崎県の家畜改良事業団は、避難させていた優秀な種牛6頭を残して、残る種牛49頭を殺処分する。
 宮崎県の肉用子牛の生産頭数は全国2位。ブランド牛の最高峰である松阪牛の子牛も、約4割が宮崎県の供給だ。口蹄疫の感染拡大は、ブランド牛の危機に直結だが、気になるのは種牛の“実力”だ。超優秀な種牛の精液は、1ストロー(0.5C.C.)当たり25万円の値が付いたこともあるという。
 畜産関係者が言う。「種牛は平均して週に2度、擬牝台に乗せられ、筒状の人工膣に精液を放出します。1回の射精で5C.C.。1C.C.に15億匹の精子がいますから、1ストローの0.5C.C.には7億~8億匹が存在することになります。それを家畜人工授精士が雌牛に注射器で注入。約8割が受精します」
 ちなみに人間は、1回の射精で2~3C.C.、精子は1C.C.当たり2000万~1億匹だから、量は種牛の半分、数は圧倒的に少ない。
 宮崎県の畜産課によると1ストローの価格は300~6000円。25万円はベラボーということになるが、「闇マーケットに流れれば、それぐらいになってもおかしくない」(畜産関係者)という。
 口蹄疫で種牛は減る一方だから、精子の値段は25万円どころでは済まなくなるかもしれない。



 10年前にも発生して、本来ならばもっと抜本的な拡大防止手順が練られていなければならなかったはずの宮崎で、再び口蹄疫騒動があっという間に広がってしまったことにも吃驚しましたが、この感染。どうやら6頭いるエース級の種牛の1頭にも感染していて、同じ宿舎に緊急避難させていた残りの5頭は(本来ならば殺処分も検討しないといけないところを)特例措置として経過観察することに決まったようです。
 う~ん。一消費者としては、いくら人体に害がないとはいえ、ひょっとしたら他の産地にも空気感染経由で病気が広まるかもしれないリスクを考慮すれば、他の5頭も本当に安全なのかとどうしても心配になりますが、この特例措置についてはその是非もさながら、一番不可解だったのが、なぜ『感染防止目的のための緊急避難なのに、避難させるための種牛を1頭ずつ別の場所に避難させずに、6頭共同じ宿舎に避難させたのか???』なんですよね…。
 空気感染もする病気である以上、その空気の流れも遮断&汚染された空気をろ過するような環境の整った特殊な研究施設で様子を見るというのならば、まだ理解できなくもないのですが、この6頭の隔離?されていた場所というのは、飼料を与える係員は分け、しかも仕切りも設けるなど一応の対策はとられていたとはいえ、上部には隙間があいていたそうで、インフルエンザ同様空気感染している可能性は完全には否定できないところ。
 まあ、いきなりのことで、収容を受け入れてくれる施設の確保そのものに手間取ったのだろうな…とは思いますが、種の保存を最優先するならば、やはり退避させる段階で、1頭ずつ別のしかもある程度距離が離れた場所に避難させるのがリスク管理の基本中の基本だったのではないでしょうか…。

 高価な値段で売れるブランド牛だけに、もし感染していなければ、引き続き種牛として使いたいという農業関係者の気持ちは痛い程わかりますし、彼ら農家にだって生活があることも十分わかっているつもりですが、だからといって、消費者の側から見れば、ひょっとしたら感染しているかもしれない種牛の精子を使った牛肉など食べたくもないでしょうし、種牛と一般の牛に対する取扱の違い(口蹄疫は、伝染力が非常に強いため、蔓延を防ぐため、家蓄伝染病予防法によって、本来ならば1頭でも感染した家畜が見つかると、その農場の家畜はすべて殺処分されるそうです。)について、人間の都合で同じ貴重な命の扱いに差を設けるのかという心情的な納得のいかなさを感じると共に、政府の初期対応の遅さだけでなく、その後の退避手法にもかなり問題があったのではないかと感じました。