「原発ゼロ」7割の民意反映で苦慮 政府 意見聴取会終了 結論先延ばし論も 2012年8月5日 日経
総発電量に占める原子力の比率など2030年の望ましい電源構成を巡り、政府が国民から募った意見をどう反映するかに苦慮している。地方11都市での意見聴取会は4日で終えたが、意見表明を希望した約1400人の7割が「原発ゼロ」を支持。原発維持を探る政府との違いは鮮明となった。拙速に結論を出すべきではないとの慎重論も目立ってきた。
政府のエネルギー・環境会議が4日、高松市で開いた意見聴取会。「生活の利便性のために安全性を犠牲にしてよいか」「今後電気代が倍になるとの試算も聞く」。12人が原発存廃へ意見を表明、ほぼ半分が「原発ゼロ」を支持した。細野豪志原発事故担当相のあいさつが終わっても、立ち上がって持論を展開した登壇者が警備員に押さえられる一幕もあった。
政府は東京電力福島第1原発事故を受け、30年のエネルギー戦略を練り直している。近く原発や再生可能エネルギーなどの望ましい比率を固める方向で、原発比率は「0%」「15%」「20~25%」の3つの選択肢を用意した。4日に福岡市の聴取会に参加した古川元久国家戦略担当相は「(11回開いた聴取会での)議論を踏まえて戦略をまとめる」と語った。
政府は意見聴取会のほか、討論型世論調査、パブリック・コメントの3つを使い、国民の意見を吸い上げる。これまで目立つのは「原発ゼロ」を求める意見。聴取会で事前に参加希望者に望ましい原発比率を聞いたところ、福島を除く10都市の合計で68%が「原発ゼロ」を選んだ。「20~25%」が16%、細野担当相が妥当とした「15%」は11%にとどまった。
聴取会では、運営方法に対する不満も噴出した。開催当初は電力会社の社員が原発政策の正当性を訴えたり、首都圏からの参加者が地方で発言したり、地元参加者の神経を逆なでする場面が目立った。野田佳彦首相が「国民に誤解を与える動きがあった」と釈明し、電力会社社員の発言を制限したが、政府や電力各社への不信感はむしろ強まったといえる。
原発比率を巡ってはそれぞれの選択肢の課題や欠点が浮き彫りとなり、論点は絞られてきた。「原発ゼロ」に対しては再生エネが期待通り普及しないことなどで、電力需給が不安定になるとの懸念が浮上。産業競争力への影響を警戒する意見が多く出た。「20~25%」は原発事故の再発防止策の甘さや核燃料サイクルの是非などが不安材料として挙がった。
政府にとって“民意”の扱いは難問だ。多数意見となった「原発ゼロ」を無視するわけにいかないが、経済界は「脱原発」に猛反発。結論を出す時期を秋以降に先延ばしするよう求める声が浮上している。だが国のエネルギー政策の根幹がみえないと企業は生産・投資の計画を立てづらい。節電など国民生活へのしわ寄せも大きくなる。
う~ん。福島原発事故による環境保全意識の高まりや東電への被害者に対する対応のまずさへの反発もあるのか、原発ゼロを目指す意見が7割を占めるなど政府は対応に苦慮しているようですね。
ただ、原発ゼロと言えば聞こえはいいですが、日経オンラインの記事によれば、原発ゼロの状況で電力供給を維持しようと思えば、『重油ボイラーの原則禁止、省エネ性能に劣る空調の省エネ改修義務付け、省エネ性能に劣る設備・機器の販売制限、省エネ性能の劣る住宅・ビルの新規賃貸制限、高効率空調機器以外の暖房機器(ストーブなど)販売禁止』や中心市街地へのガソリン車の乗り入れ制限など、交通ルールの見直しによる省エネ対策なども必要になるのだとか。
日本人は、とかく「まだ使えるから買い換えるのは勿体無い」という意識が強く、また目先のキャッシュの流出への懸念から家庭用のエアコンや冷蔵庫一つとっても10年以上使っているケースが決して少なくないと思いますが、もし本当に原発ゼロ社会を目指そうと思うのならば、こういった節電努力への義務は当然ながら企業だけで収まるものではなく、個々の家庭内でも行って貰わなければ当然成立せず、当たり前と言えば当たり前の話ですが、省エネ環境の家や家電機器への買い替えも自腹で行って貰わなければならなくなりますが、はたしてそこまでの覚悟をもって、それでも原発ゼロ社会を願っているのか、それとも単なる感情論なのか…(汗
他にも、原発に代わるエネルギー源を、例えば天然ガスに依存していますが、その天然ガスのスポット市場では日本が買い占めるため価格が上昇して世界の各国に迷惑をかけるといった弊害が発生していることも、外交を考える上で決して無視できないレベルに達していると感じます。
中長期的に再生可能エネルギーの比率を増やしていくことそのものに異存はありませんが、例えば地熱発電のような比較的ハードルが低そうな再生可能エネルギー一つとっても、敷地の大半が国立公園の中にあるため急にその比率を増やすことができないなど、急激なエネルギーシフトはできないのが現実。
原発依存比率を減らしていくなら減らしていくで、足りなくなる電力供給量をどう補っていくのか、まさにその議論こそ優先してなされるべきではないでしょうか。
総発電量に占める原子力の比率など2030年の望ましい電源構成を巡り、政府が国民から募った意見をどう反映するかに苦慮している。地方11都市での意見聴取会は4日で終えたが、意見表明を希望した約1400人の7割が「原発ゼロ」を支持。原発維持を探る政府との違いは鮮明となった。拙速に結論を出すべきではないとの慎重論も目立ってきた。
政府のエネルギー・環境会議が4日、高松市で開いた意見聴取会。「生活の利便性のために安全性を犠牲にしてよいか」「今後電気代が倍になるとの試算も聞く」。12人が原発存廃へ意見を表明、ほぼ半分が「原発ゼロ」を支持した。細野豪志原発事故担当相のあいさつが終わっても、立ち上がって持論を展開した登壇者が警備員に押さえられる一幕もあった。
政府は東京電力福島第1原発事故を受け、30年のエネルギー戦略を練り直している。近く原発や再生可能エネルギーなどの望ましい比率を固める方向で、原発比率は「0%」「15%」「20~25%」の3つの選択肢を用意した。4日に福岡市の聴取会に参加した古川元久国家戦略担当相は「(11回開いた聴取会での)議論を踏まえて戦略をまとめる」と語った。
政府は意見聴取会のほか、討論型世論調査、パブリック・コメントの3つを使い、国民の意見を吸い上げる。これまで目立つのは「原発ゼロ」を求める意見。聴取会で事前に参加希望者に望ましい原発比率を聞いたところ、福島を除く10都市の合計で68%が「原発ゼロ」を選んだ。「20~25%」が16%、細野担当相が妥当とした「15%」は11%にとどまった。
聴取会では、運営方法に対する不満も噴出した。開催当初は電力会社の社員が原発政策の正当性を訴えたり、首都圏からの参加者が地方で発言したり、地元参加者の神経を逆なでする場面が目立った。野田佳彦首相が「国民に誤解を与える動きがあった」と釈明し、電力会社社員の発言を制限したが、政府や電力各社への不信感はむしろ強まったといえる。
原発比率を巡ってはそれぞれの選択肢の課題や欠点が浮き彫りとなり、論点は絞られてきた。「原発ゼロ」に対しては再生エネが期待通り普及しないことなどで、電力需給が不安定になるとの懸念が浮上。産業競争力への影響を警戒する意見が多く出た。「20~25%」は原発事故の再発防止策の甘さや核燃料サイクルの是非などが不安材料として挙がった。
政府にとって“民意”の扱いは難問だ。多数意見となった「原発ゼロ」を無視するわけにいかないが、経済界は「脱原発」に猛反発。結論を出す時期を秋以降に先延ばしするよう求める声が浮上している。だが国のエネルギー政策の根幹がみえないと企業は生産・投資の計画を立てづらい。節電など国民生活へのしわ寄せも大きくなる。
う~ん。福島原発事故による環境保全意識の高まりや東電への被害者に対する対応のまずさへの反発もあるのか、原発ゼロを目指す意見が7割を占めるなど政府は対応に苦慮しているようですね。
ただ、原発ゼロと言えば聞こえはいいですが、日経オンラインの記事によれば、原発ゼロの状況で電力供給を維持しようと思えば、『重油ボイラーの原則禁止、省エネ性能に劣る空調の省エネ改修義務付け、省エネ性能に劣る設備・機器の販売制限、省エネ性能の劣る住宅・ビルの新規賃貸制限、高効率空調機器以外の暖房機器(ストーブなど)販売禁止』や中心市街地へのガソリン車の乗り入れ制限など、交通ルールの見直しによる省エネ対策なども必要になるのだとか。
日本人は、とかく「まだ使えるから買い換えるのは勿体無い」という意識が強く、また目先のキャッシュの流出への懸念から家庭用のエアコンや冷蔵庫一つとっても10年以上使っているケースが決して少なくないと思いますが、もし本当に原発ゼロ社会を目指そうと思うのならば、こういった節電努力への義務は当然ながら企業だけで収まるものではなく、個々の家庭内でも行って貰わなければ当然成立せず、当たり前と言えば当たり前の話ですが、省エネ環境の家や家電機器への買い替えも自腹で行って貰わなければならなくなりますが、はたしてそこまでの覚悟をもって、それでも原発ゼロ社会を願っているのか、それとも単なる感情論なのか…(汗
他にも、原発に代わるエネルギー源を、例えば天然ガスに依存していますが、その天然ガスのスポット市場では日本が買い占めるため価格が上昇して世界の各国に迷惑をかけるといった弊害が発生していることも、外交を考える上で決して無視できないレベルに達していると感じます。
中長期的に再生可能エネルギーの比率を増やしていくことそのものに異存はありませんが、例えば地熱発電のような比較的ハードルが低そうな再生可能エネルギー一つとっても、敷地の大半が国立公園の中にあるため急にその比率を増やすことができないなど、急激なエネルギーシフトはできないのが現実。
原発依存比率を減らしていくなら減らしていくで、足りなくなる電力供給量をどう補っていくのか、まさにその議論こそ優先してなされるべきではないでしょうか。