日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

乃南アサ著「いつか陽のあたる場所で」

2010-06-19 | 読書
平成19年に新潮社から刊行された単行本が文庫版化された。

このところ貫井徳郎の本ばかり読んでいた気がしたが
間に乃南アサと佐江衆一の「長きこの夜」も読んでいた。

乃南アサの本を90%以上読破していると豪語しているが
このところ新しい文庫本がないので久しぶりな気がする。



物語好きな私は、文学性などは気にせず(読みにくいのはダメだが)読み進むが
この本の主人公達の状況は変わっている。
長い刑務所暮らし(犯罪者)の後、地味に地道に目立たないようにヒッソリ生活をしている。
裕福な家庭で育ちながらも、ホストに入れあげ、詐欺をして服役した主人公
暴力夫を殺し、子供と分かれて陽気に暮らす元殺人者の女性

刑期を終えて出所し、連絡を取り助け合いながら日々を送る。
なのに、なぜか深刻にならずにユーモア漂うストーリー展開

主人公は祖母の家を相続し、親兄弟からは絶縁されて
指圧の診療所でパートをしている。
友人はパン屋開業を夢見てパン職人の修行中。
コンビニでおつまみとビールを買い、二人でおしゃべりをするのが唯一の娯楽。
犯罪を犯した人は世間並みの楽しみをしてはいけない・・
自らを拘束し、まじめに暮らす二人に
周囲の人たちの好感を呼び世界は広がるが・・

2月に見た映画
「ずっとあなたを愛している」 を思い出してしまったが
映画よりお気楽に読み進められた。

好意を抱いて付きまとう(?)警官、
パート先でセクハラに遭い、家族から最後の絶縁を言い渡され
ますますちじこまる主人公。

こんな人たちも確かに何処かにいるのだろう・・
裁判員裁判で犯罪者が身近に感じる(?)このごろ
裁判以降、服役以降の日日を彷彿とさせる1册です。
(この人たちは恵まれているのか見知れないが)

一時の激情で一生こそこそ暮らしていかなくてはならない
人たちも確かに存在しているはずだが・・

・・といいつつ、あすはいざ鎌倉!
また来週・・
だが、今夜読む本がない!
コメント
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