日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

桜木紫乃著「凍原」

2012-08-28 | 読書
初めて読む作家・桜木紫乃著「凍原」小学館文庫



物語は三つの時代が行き来する
敗戦間際の1945年から敗戦後の数年
1992年に湿原で起きた小学4年生の行方不明事件
そして青い目の日本人が殺害された2009年

帯に書かれた
「少女は、刑事にならねばならなかった。」
2009年の担当になった女性刑事
「顔のない女の一生が浮かび上がる」

話の始まりは釧路湿原で行方不明になった少年
湿原の捜索は5日に及んだが発見されずに
捜査が打ち切りになり関わった人々にしこりが残った。

ソ連軍が上陸する前の樺太の逃避行
家族を殺され、親戚の男を殺され、一人で北海道に引き上げた女
懐の深い同行者と共に親戚の家に転がり込む
自立したかに見えたが遁走・・・

3つの時代の事情が絡みより合わさり
青い目の青年が殺害される。

一番恐いのは人に慕われ、取り巻きに囲まれた「顔の無い女」

隠し事を抱えると知らず知らずのうちに周りを不幸にさせる。
一旦隠し事を胸に秘めた者は
生涯にわたって一人で生きなくてはならない
本音は死ぬ迄漏らしてはいけない。

罪の無い青年をおとしめた代償は何をもっても代えられない。

評判通りのお勧めの一冊です。
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