日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

林真理子著「女文士」

2015-10-10 | 読書
先週読み終えた
林真理子著「女文士」集英社文庫刊



何とも心淋しい一冊である。
戦前から戦中戦後の中途半端な女文士眞杉静江(wiki)の物語
そして林真理子のシニカルさ全開の小説

台湾の神官を務める父の元で育った、勤勉には馴染めぬ娘
無理矢理結婚されたが逃げ出して、大阪で暮らす。
当初は自立心旺盛だったが、武者小路実篤の愛人となり
東京の実篤の店を取り仕切り、引きで短編を発表し
戦前の女文士の一画を担うとされたが
次第に力量の差が出て来て取り残される。

実篤と分かれ年下の男性と同居して逃げられ
生活の安定を図って(?)芥川賞の作家と正式結婚するが
短期間で別れて、陸軍中佐や外国の若者と付き合ったり・・

ほぼ無給の秘書の目線で描かれる。
計算高く、策略で男と付き合い、
自惚れが過ぎて、過大評価する鼻持ちならない面がこれでもか・・と書かれている。

林真理子の皮肉屋の側面とトコトン突き詰めて書く筆力

柳原白蓮を書いた「白蓮れんれん」と相対する人物評価

実力のある女性の大嫌いなタイプの眞杉静江をなんで書いたか?
そう言う私も、イヤだイヤだと思いながら読んでしまった。
きっと林真理子も毛嫌いしながらも筆が止まらなかった?

誰に薦めていい本なのか??
コメント
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