日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

貫井徳郎著「夜想」文春文庫

2009-12-03 | 読書
この前の土日に読んだ1冊
貫井徳郎著「夜想」文春文庫 11月10日発行 
554ページにわたる長編



交通事故に巻き込まれ妻と娘が犠牲になり自分だけが助かった主人公
救われない気持ちを引きずったまま仕事は上手く行かず
一人暮らしで殺伐としていた。
ふとしたきっかけから見ず知らずの若い女性に泣いてもらえて
救われた思いと、救って貰いたい思いになり、
女性の活動の手助けをする事になる。

活動が軌道に乗り、それなりの役目を果たしていたものの
少しずつすれ違いが出てきて大きな事故が発生する。
所々に出てくる娘に家出された世間知らずの母親
何処でクロスするのだろう??
上手く行き出した活動が何時で破綻するのだろう??
何十年も昔読んだ高橋和巳の「邪宗の門」の流れだろうか?
「これがミステリーだろうか?」

それでも引きつけられながら読み進むと
最後の50ページ当りで急転直下ミステリー色満開になる。
主人公の真相(?)が明かされ
世間知らずの母親の狂気が明かされる。

肩ひじ張った主人公の肩の力が抜け、足元を見つめる事が出来て
若い女性も普通の女の子に戻れそう。
丸く納まる結末が救われた気分になる。
(でも、仲間達はどうなるのだろうか?)

帯の記述「新興宗教」「オウム以降」と並べて読む事は出来なかったが
信頼してした人の「助けをしたい」「思いを受け止めたい」
「皆に勧めたい」ことが
そのまま新興宗教の狂気に突っ走るとは違うと思う。

それにしても巻末の北上次郎(文芸評論家)の解説は良かった。
「フムフム・なるほど」
本文を明かす事なく、読後感のプラスαを引き出してくれる。

暴力沙汰ナシ、はらはらドキドキありの、お勧めの1冊です。

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2 コメント

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漢字クイズを頂いたので来てみました (摩天楼)
2009-12-06 18:49:23
こんな所で大好きだった高橋和巳の「邪宗の門」に巡り合うとは思ってもいなかったな。
「夜草」も読んでみましょうかね。面白そうですね。

最近、続けて二冊とても面白い小説を読み、自分でも少し書いて見ようかなどと思い上がった事を考えたりしたものでした。
その二冊は、漱石お孫娘が書いた「漱石の長襦袢」と先だって直木賞を貰った「利休にたずねよ」です。僕のイメージしていた利休とは大幅に違っていましたが、人間味があって良かったです。読んだ男のほとんどが、自分に似ていると感じるのではないかと思わずにいられない小説でしたよ。まぁ、実際はどうかと思いますが、小説は創作ですから・・。
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ご無沙汰で~~す。 (いちよう)
2009-12-07 09:25:38
コメントありがとう!
お元気ですか?
高橋和巳は一時期沢山読みました。はまってしまう小説家ですよね。亡くなった後小説家になった奥様のレンガの外装に蔦を這わせた家、その後どうなっているのでしょうか?
「利休にたずねよ」は読んで見たい一冊です。
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